貧乏だった私もホテルで特別な食事が出来るようになったという話

10年前、私はシドニーでひっそりと30歳の誕生日を迎えました。

というのも、その時私はワーキングホリデー中で、つい数週間にゴールドコーストからシドニーに移動して来たばかり。仕事もやっと見つけたものの、親しい人はまだほとんどいなかったからです。

そんな中、ただひとりだけお祝いしてくれた人がいて、それが知り合って間もない今のパートナーでした。

いやー、まさかあの頃はその10年後の誕生日も、同じ人と同じシェラトンホテルのレストランに来るとは、夢にも思ってもみませんでしたよ。人生って本当に不思議ですね!

 

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あまりにも違いすぎる感覚

そうじゃない人もいますが、基本的にワーキングホリデーの人たちって節約が命じゃないですか。日本の物価や品質と比べてしまって買う気にならないというのもありますし、旅費や今後の生活の為に切り詰められるところは切り詰めたいという人も多いです。

ご多分にもれず、私も貧乏バックパッカーをしながら町を移動していたような人間なので、現地に住むオーストラリア人の感覚の違いにはギャップを感じざるを得ませんでした。

しかも今でこそ彼は大切なパートナーですが、その時の私はただ彼の家をシェアさせてもらってるだけで「何で勝手に彼女に扱いみたいになってるの?」くらいの感覚で、彼に対して警戒もしていました。

私の誕生日の前日に私が仕事から戻って来たら、彼が香水やら石鹸やらノートやらが入ったプレゼントの包みがたくさんくれて、その上「明日、一緒に食事をして、改めてプレゼントを買いに行こう。何が欲しい?」なんて言うんですよ。

今ならプレゼント好きな彼の性格も分かるんですけど、あの時は警戒心マックスでした(笑) 普通そうなりませんか?

そして、普段は普通のレストランでさえもったいなくてほとんど行った事なかった私が次の日連れて行ってもらったレストランは、まさかの高級感溢れるシェラトンホテルのレストラン!ビビりましたよ。

Sheraton on the Park
161 Elizabeth Street, Sydney, NSW 2000

http://www.sheratonontheparksydney.com/dining

この後バイトもあったので、私はパンツにバンダバーグラムのキャミソールという格好をしていて、場違いかもと気後れする私をよそに「君の誕生日なんだから、金額は気にせずに好きなの頼んでね。」と言う彼。

あーこのパターン…。

ゴールドコーストでも食事に連れて行ってくれてプレゼントをたくさんくれたギリシア系オーストラリア人のおじさんに遭遇した事があったのですが、その後色々と面倒だったんです。

うーん、でもここまで来たら食べない理由もないし、結局コースメニューを頼みました。(これがオーストラリアで初めてのコース料理)。もちろん最高においしかった、と思います。(覚えてない 笑)

この後、バイトに1分くらい遅れてしまったんですけど、今思えばあの時、彼がひとりで何人分にも勝るお祝いをしてくれたんですよね。

そして10年後

あれから色んな事があって、あっという間の10年。

ま・さ・か、ね、10年もこの人と一緒にいるなんて!というか、ついに私も40歳…。もうお祝いも別にいらないから、どっちかというとひっそりと誕生日を過ごしたい。

10年もシドニーにいたら、さぞや賑やかな誕生日になるのかと思いきや、お祝いの言葉をくれた人は3人。いや、それだけで充分過ぎるくらい嬉しかったです。

毎日毎日 Facebook で上がってくる誰かの誕生日にうんざりしてました。そして自分の誕生日にも、ほぼ SNSでしか繋がってない知人
にも「おめでとう」を言ってもらえるけど、それを何十分もかけて返事するのに疲れて、誕生日登録も消去しました。これで職場で無意味に気を遣われる必要もないし。

10年前は mixi 全盛期で Facebook も日本人にはほとんど知名度がなかったのに、いつの間にあんなに増えたんだろう。

ワーホリ時代に知り合った友人、旅行で一瞬だけ一緒に過ごした人、元クラスメイト、地元の友達、シドニーのイベント等で知りあった人、元職場の人…、パートナーの関係の人…、何もかも一緒くたに繋がっていて、もう訳がわからない。

本当におめでとうを言いたいなら、ちゃんと覚えててあげて個人にメッセージをすれば良いじゃないですか。もう、薄っぺらなおめでとうはいらない。

そんな風に思ってたら、誕生日の日に朝イチにバースデーメッセージをくれたのはなんと、パートナーのお母さんと、アデレードにいるパートナーのお父さんの奥さん!

パートナーのお母さんは「今日って誕生日じゃなかったっけ?おめでとう!」というメールが来て、アデレードの彼女はカレンダーにしっかりと家族の誕生日を書いているのを知っています。

こんなよく分からないアジア人の私をすんなりと受け入れてくれて、誕生日にメッセージまでくれる2人のお義母さんの気遣いに、涙が出るほど嬉しかったです。

そして、記念日の好きなうちのパートナーが私の誕生日を忘れる事はあり得ません。

思い出の場所、再び

「やっぱり思い出のシェラトンホテルに行くべきだよ!」

パートナーはそう言って、その日の夜に例のシェラトンホテルに連れて行ってくれました。

レストランとバーがあるのですが、前に行ったレストランではなくてバーの方へ。やっぱりそこそこ良い値段ですよ、さすがにここ10年で物価には慣れて「まあ、こんなもんだろうなあ〜」という感じでしたが。

「君の誕生日なんだから、金額は気にせずに好きなの頼んでね。」と、以前にも聞いた事のあるセリフ。

「今日は特別なんだからカクテル頼みなよ。」とパートナーがいうので、結局2杯も飲んじゃいました。オーストラリアのカクテルは高いのですが、ここも普通に$19と$22。これだけあれば、安い店なら一食分余裕で食べれますね。

そして私たちが頼んだのは$75のシーフードシェアプレート。

Tiger Prawns / Grilled Bugs / Smoked Scallops / Fried Gyoza / Oyster/ Garlic Bread

特にこのカキが驚くほどおいしくて、口の中でとろ〜んととろけるようでした。この間の旅行した時にも高いレストランでカキをいっぱい食べましたが、ここのカキは別格!さすがシェラトン。ギョウザは豆やらトウモロコシやら入ってて不思議な感じでしたが。

バグって何よ!

「ああ、ここのオイスターはシドニーロックオイスターだな。」

「えっ、何が違うの?何で分かるの?」

「分かるから分かるんだ。」

パートナーは昔、シドニーのヘッドシェフだったので、時々料理について語ります。

「えー、カキってタスマニアが有名だけど、一体全部で何種類くらいあるの?」

「ん?100種類くらいじゃないの。」

ひゃ…100種類?そんなに!?

オーストラリアで有名なカキは、タスマニア産のパシフィックオイスターやシドニー産のシドニーロックオイスターなどですが、まさかそんなに種類があるとは…。

「んー、これはバルメインバグだな!」

「えー、何でバルメインのって分かるの?ってかバルメインで採れたらバルメインバグ?この間の旅行ではモートンベイバグって言ってたよね?じゃあ他の場所で採れたら他の場所の名前がつく訳?」

「うん、そうだな。」(←テキトー)

「でもさあ、バグ(虫)なんて変な名前付けないで普通にカニとか言ったら良くない?」

「え、バグはカニじゃないよ、もっとロブスター寄りの、ほら。」

そう言って2つに切ってあったバグの甲羅をひとつにくっつけたら…。

ギャー!!😱

 ➡︎ 

うん、これはバグだね。なんかこうするとグロテスク。

帰り道

やあ、でもおいしいものを食べると心が満たされますね。

28歳というある程度の年齢になってからオーストラリアに来たので、シドニーには青春時代を過ごした場所のような特別な思い入れなどは特になく、私にとってはただの町というかただのなじみある近所というか、まあ、そういう場所。

つまりロマンのかけらも感じた事がない場所だったんですけど、今日ばかりはお酒も入っていたせいか、パートナーとおいしい料理を食べて、気持ちの良い風に吹かれながら、最高の気分で家までの短い道のりを歩きました。

最近はお酒は飲まなくなったらめっきり弱くなって、家に帰ったらいつの間にか爆睡してました。もうちょっと気分を味わいたかったなあ〜。

 

ちなみにこの時買ってくれたブレスレッドが次の年はこうなりました

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