特別な許可を持った人しか入れない聖なる山へのツアー

これは私が2006年11月に参加したアボリジニツアーの話です。

このツアーは、私がケアンズに住んでいた時に日系のツアー会社でパンフレットを見付け、ずっと絶対行きたいと思っていたツアーでした。

最初にお断りしないといけないのですが、このツアーはオーナーさんが定年されたらしく、2018年現在はもう行われていないようです。
だから、あまり特定できる情報を詳しく書かない事にしました。申し訳ありません。

でもとにかくこのツアーは私の印象にかなり強く残っており、ツアーが終わってから忘れないようにと書き残したメモも残っています。

いつかどこかで紹介出来たらという想いもありましたので、今回そのメモと写真で思い出しながら紹介したいと思います。

当時、私の勝手な日程の都合により、たったひとりだけの参加者、しかもケアンズではなくポートダグラスまで迎えに来て欲しいなど、私のワガママなお願いを聞いてくれた旅行会社の方には今でも本当に感謝しています。

 

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プロローグ

「いや〜、ひとりしか参加者がいない時もたまにあるから。でも、そういう時の参加者の方が意味がある事が多いから受けたんで、別に気にしなくて良いよ!」

恐縮する私にそう言ってツアーガイドのおじさんは笑いました。

まさかのツアーガイドさんと私の1対1!
ひとりのツアーガイドさんを私専属の貸し切り状態にしてしまうとは!

ツアー代は確か$150くらいだったから大した利益は出ないだろうし、それなのに私ひとりの為に半日拘束させちゃって、何だか申し訳ない気分でした。

「大丈夫、大丈夫。僕は僕で楽しむから!」

その時ガイドのおじさんが言った通り、現地に着いたらガイドのおじさん自身も写真を撮って楽しんでいるように見えて、この山の事が好きなんだろうなあと思いました。

そう、私が行きたかったというツアーというのは、政府認可の特別な資格を持った人と一緒ではないと入れないアボリジニの神聖な山に入るツアーなんです!

このおじさんがその特別な免許を持ったガイドさんで、彼と一緒なら一般の人は立ち入りを禁止されている聖なる山に入る事が出来るんです!

旅行しながら目的地に着く計画

多くのケアンズにある日本語ツアーがそうであるように、本当はこのツアーもケアンズ市内が発着場所に指定されていました。

でも、その時私はケアンズから車だと6時間くらいかかる僻地を目指しており、旅行しながら目的地に着こう計画を実施中でした。

まあ要するに、最終的には僻地のファームに着きたかったのですが、移動しながら旅行すれば交通費と時間の節約になるのでは、というセコイ考えから生まれた作戦です(^_^;)

そして、その最初の滞在場所がポートダグラスという有名な観光地。

行きたいツアーがあれば、普通に滞在先のバックパッカーズホテルから英語の現地ツアーを申し込めば良いのですが、こういう日本語ツアーはケアンズ市内にある日系ツアー会社で申し込まなければいけません。

ツアーの場所がポートダグラス周辺だったので、送迎をケアンズではなくポートダグラス発着でお願いしたいと出発数日前に交渉してオッケーをもらってました。

でも申し込む時、受付のお姉さんがまだ他の参加者がいないとは言っているのは聞きましたが、まさか当日まで私ひとりだけとは…。

ちなみにこのツアーガイドのおじさん、話していたら私がケアンズで住んでた家のシェアメイトの元上司だという事が発覚し、つくづく日本人コミュニティは小さいなあ、と思いました。

⚠️おことわり

実はこの前日に、買ったばかりのデジカメを砂浜に落として壊してしまった為、このツアーは慌てて買ったインストカメラで撮影しています。
画質の悪さはご了承ください。すみません。

スマホなんてなかった時代ですし、日本から持って来てた携帯電話のカメラも画質が良くなく、カメラ屋さんも閉まる時間に壊れたので泣く泣くフィルムカメラを探しました(T ^ T)

今回に限らず私の大事なデジタルカメラ、いつも「何で今このタイミング!?」と思うほど、ここぞという時によく壊れてました(>_<)

ツアーにて

ケアンズ近郊は、ウエット・トロピクス(Wet Tropics)と呼ばれるユネスコ世界遺産にも登録されている熱帯雨林がある事で有名です。

ケアンズ市内から車やバスで1時間ほど北上すると、観光地で有名なポートダグラス (Port Douglas) やモスマン渓谷 (Mossman Gorge) などがあります。
ツアーの目的地であるアボリジニの山は、そのモスマン渓谷周辺にある山です。

一応付け加えておくと、アボリジニとは先住民という意味で、民族ではありませんので、ここで紹介する事は、もしかしたらアボリジニ全体に当てはまる事もあれば当てはまらない事もあるかもしれません。

でも、何万年も前からこの地で生活していた人たちの生活の歴史である事には間違いないでしょう。

後日撮った写真をもとにまとめたもの

アボリジニの聖なる山へ

まず、山に入る前にユーカリの木を燃やして煙を体に浴びます。
これは他のアボリジニ行事でもたまに見る儀式ですが、これによって心などが外部から守られると言われているそうです。

ここから先は、許可を得たガイドと一緒でないと入れません。
山に入る前には神様にご挨拶を。
ちょっと日本の昔ながらの習慣に似てますね。

それにしても…。

フイルムカメラだと24枚とか36枚とか撮れる枚数が制限されているので、無駄にパシャパシャ写せないんですよね。

だから、この時の写真は風景だけの写真が比較的少なくて、記念撮影みたいに人物(12年前の私)が入ってる写真が多いです。

でも楽しかったんでしょう、私の表情はイキイキしています。写真は嘘をつけませんからね。

かつてのアボリジニの人たちは狩をしながら移動し、草と木で作った住居で暮らしていました。

そして上の写真は女性と子供しか入れなかった癒しの場所。
水底にはクリスタルのかけらがたくさんあり、幻想的で不思議な光を放っています。

植物

ここの植物の話もすごくおもしろくて、特にびっくりしたのがソープリーフという葉っぱ!

一見ただの葉っぱですが、水をつけて揉むと泡が出るのです!
ガイドのおじさん曰く「鼻詰まりなども取れスッキリする」そうで、おじさんめちゃめちゃふつうに顔洗ってました(笑)。

アロマセラピーだと、ユーカリオイルに鼻詰まりを取る効果があるんですけど、この葉っぱの茎はサロンパスのような匂いがし、肩こりにも良いとの事。

アロマでサロンパスと言えばウインターグリーンというオイルなのですが、あれは結局何の葉だったんだろう。この頃全くそういう知識がなかったもんで…。誰か知ってますか?

あと写真がでは分かりにくいのですが、ロウソクの代わりに使われていた、よく燃える木の実もおもしろかったです。

 

食べられる木の実も。私のメモには「おいしかった」と書かれてます(笑)。

 

ケアンズでも有名なカーティンフィグツリー(Curtain Fig Tree)、日本語では絞め殺しのイチジクと呼ばれる木がここにもあって、一緒に写真を撮りました。

この木には本当に精霊が宿っているらしく、ガイドのおじさんのデジカメに何度も不思議な光が写り込んだそうです。私のインスタントカメラには写りませんでしたが。

わりとどこでも見る事が出来るアボリジニのブーメランの材料になる木は、ここにもやっぱりありました。

 

そして危険な棘のある葉も!
この木は “Stinging Tree” と呼ばれていて熱帯雨林で見られる植物なんですが、葉に絶対触れてはいけません!
触れたら最後、細かい棘が皮膚に刺って半年くらい痛みや吐き気に襲われ、ひどい時には死に至ります。

第二次世界大戦中、日本兵が用を足した後にこの葉でお尻を拭いて、のたうちまわりながら死んだという話を聞いた事がありますが、それくらい強い毒を持ってます。

文化

他にも一族の長老が亡くなった時にミイラになるまで置かれたという場所にも行きました。

それから、昔の壁画が残されている岩の前で記念撮影。

エミューや人間や、よく見ると白人が乗ってきたであろう船の絵も。

と、ガイドのおじさんが、実際にアボリジニの人たちが使っている石を水で溶いて絵の具にし、アボリジナルペインティングを施してくれました。何かちょっと嬉しい。

基本は赤・黄・黒・白の4色だそうです。

山から戻ってきたら、最後にティータイム(アボリジニは関係なし)もあって、ご満悦。
この山での所要時間はだいたい1時間半くらいだったと思います。

その他のオプション

メインのツアーは終わって、この後はツアーに含まれていた他のオプションのワイナリーや絶景スポットなどに。

モスマンいえばこの景色

ワイナリーでは数種類のワインをテイスティングしたので、おいしかったワインを指差して「This is my best! 」とスタッフのおばちゃんに言ってみました。

どれが人気か分かった方がおばちゃんも良いかなと変に気をまわしたのと、ただ会話を楽しみたかっただけで深い意味はなかったんです。

でも、おばちゃんは私が買いたいという意味だと思ったらしく、そのワインを包み始めようとしたので慌てて断りました。(旅の途中で重い荷物を増やすのは無理。)そっか、そうなるのか…。

英語で意思疎通って時々難しいな、と思った瞬間でした(笑)

ポートダグラスに行ったらだいたいみんな記念撮影するスポット。

あと、オーストラリア有数のリゾートホテル、Sheraton Grand Mirage Resortでハイティーなども頂きました。

当時の地球の歩き方によると、ポートダグラスはアメリカのクリントン大統領がお気に入りの場所だったそうです。

確かに良い所ではありますけど、正直何がそこまで良いのか私にはよく分かりませんでした。

でも、こういうステキなホテルに泊まれるなら、私も大好きになるかもしれないですね!(笑)
下の写真、ホテル内にある人口のプールですよ!
ワーホリの貧乏旅行者だった私には夢のまた夢!! なホテル。

Sheraton Grand Mirage Resort, Port Douglas
http://www.sheratongrandmirageportdouglas.com

最後に

他にもツアーガイドのおじさんさんから色々な事を教えてもらいました。

アボリジニの親は12歳の儀式が終わるまで、子供を決して叱らないという事。
木に縛って、飲まず食わすで数日耐える大人の儀式が終わると精霊が見えるようになり、しっかり罰も与えられるようになる事。

それに代々一族には必ずメディスンマンと呼ばれる選ばれた人がいて、その人はオーラやハンドパワーで人の病を治せるんだそうです。
その人は現在でも存在し、今でもちゃんと力は受け継がれているらしいです。

世の中には気功で病気を治す人もいますし、私もレイキという手から流れる力を使ってマッサージをしているので、こういう人が普通に存在しても不思議はないと思います。
ましてや自然と一体になって生きてきた人たちですからね。

「でもアボリジニって、白人に迫害されてたくさんの人が殺されてるんですよね?じゃあ、アボリジニの成仏してない魂がオーストラリア各地にたくさん残ってるんですかねえ?」

何気なく聞いたこの質問に、ガイドのおじさんはこう言いました。

「良い質問だね。でもアボリジニは、もともとは人を恨まない穏やかな人たちだったから、もうほとんど魂は浄化されているよ。それよりもオーストラリアは開拓時代の白人の霊が多くて、そっちの方が怖いんだよ。」

そう言えば、シドニーのゴーストツアーでも紹介される心霊スポットは、出るのは全部白人の幽霊と言われています。

以前アボリジニの悲しい過去の記事でも書いたように、幼い頃に無理矢理親から引き離された為に独自の言葉も文化を失い病んでしまった人たち、苦しんでいる人たちが現在でもたくさんいて問題になったりしています。
アボリジニの悲しくなる歴史的背景

でも本来はすばらしい文化を持っていた人たちで、自然と共存する姿勢は見習うところがたくさんあるし、何よりも密かにメディスンマンに憧れてしまった私なのでした。