惜しまれつつ閉店した南オーストラリア州の『ビッグオレンジ』の復活はあるか

巨大な建造物 “ビッグシングス (Big things)” は、オーストラリア国内を旅する人々の目的地のひとつとして人気があり、その中にはカフェやお土産屋さんになっている場合も珍しくありません。

ただ、残念ながら地元の人たちに惜しまれながらも存続出来ず消えてしまうビジネスも少なくなく、南オーストラリア州のベリー (Berri) にあったビッグオレンジもそのひとつです。

しかし2008年に閉店したにも関わらず、10年以上経った現在も、まだちょこちょことネット上に現地に行った人のレビューが更新され続けています。

昔はそれなりに有名で、ちゃんとオーストラリアのビッグシングスリストに入っていた場所だったんですよね。

ベリーのビッグオレンジ

Berri

私がそのビッグオレンジを実際に目にしたのは、シドニーから南オーストラリア州アデレードに住んでいるパートナーのお父さん夫婦に会いに車を走らせていた2009年の12月25日、クリスマスの日でした。

パートナーと私が出会ってから、実質初めての長期オーストラリア旅行。

彼は私がビッグシングスのファンだというのをよく知っていたので、わざわざ寄ってくれたんです。

Big Orange Berri

ビッグオレンジは、南オーストラリア州リバーランド (Riverland) にある町のひとつ、ベリーというマレー川の北岸にある町の近くにあります。州都アデレードからは北東に約238km くらいです。

The Big Orange
Old Sturt Highway, South Australia, 5345

ビッグオレンジの高さは15メートル、直径12メートル、重さ約85トン、写真では小さく見えるかもしれませんが、なんと4階建てなんだそう。

アデレードを拠点とする建築家 John Twopenny によってデザインされ、かつては1階にファンクションルームがあり、2階にはカフェやお土産屋さん、3階は地元の風景が360度描かれた壁画、そして最上階の4階にある展望台から周りの果樹園が見渡せたんだとか。

ビックシングス建設ラッシュだった80年代に建てられたこのビッグオレンジは、当時 “南半球最大のフルーツを型取った丸い建物” と話題になったそうです。

Big Orange Berri

私たちが行った時は閉店してから1年ほどしか経っていなかったので、まだお店の看板も残されたままでした。

ああ、中に入ってみたかったなあ…。

Big Orange Berri

本当はもっと側に行って見てみたかったのですが、建物の周りはぐるっとフェンスで囲まれていたので近寄れず、遠くから眺める事しか出来ませんでした。

「あともう少し早く来ていたら…」と悔やまれはしたものの、でもまだオレンジ色できれいな状態を見れたので良かったのかもしれません。

ネットのレビューを読むと、現在はオレンジ色だった建物がオリーブ色に変色しているとの事。

というか、そもそも今でもまだ残っていてフェンス越しに見る事が出来るのが驚きです。いつか機会があれば、また覗いてみたいと思います。

所有者が変わり最終的に閉店

地元のアイコンとして、旅行者だけではなく地元の人たちもコーヒーなどを楽しんでいた場所は、なぜ閉店してしまったのでしょうか。

それは、経営上の問題だったようです。

実はビックオレンジの所有者は何度か変わっていて、1980年1月14日にオープンした後、2002年に所有者が変わったものの、経営が上手くいかずに2年で閉店。

その2年後の2006年に再び所有者が変わり、再オープン。将来的にはトロピカルガーデンの中に鳥や蝶が舞う檻などを作る計画も検討されていたのですが、長期にわたる干ばつで旅行者が減り利益も減少したため、また閉店を余儀なくされてしまいました。

その後、売りに出され、今度はビッグゴルフボールにしようかという案も出されてたものの、それは実現せず、結局地元でビジネスをしている男性が購入して今に至ります。

新しい所有者である彼は、いつかまた復活させたいという希望はあるようですが、今のところ特に何も動きはありません。

 

果樹園やブドウ畑が多い町

Berri

さて、このビッグオレンジがあるベリー (Berri) は、柑橘類の果樹園やブドウの木が多く栽培されています。

Berri道路沿いには果物を売るお店も

ベリーと言えば、スーパーマーケットに出荷されているベリー産のオレンジジュースも有名なので、見た事がある人も多いのではないでしょうか。

Big Orange Berri
そしてこの地域はワインの生産地でもあり、上の写真は『Berri Estates』という南半球で最大のブドウ加工会社です。ここで年間約22万トンのブドウがクラッシュされ、1億リットル以上のワインを世界へ輸出しているんだそう。

もっとゆっくりここで過ごしてみたら、色んな発見があるかもしれませんね。

隣町ワイケリーもオレンジが有名

Big Orange Berri

更に足を伸ばして、ベリーから Sturt Highway を西へ50kmほど行ったワイケリー (Waikerie) という町に行くと、インフォメーションセンターにもオレンジの木のモニュメントがありました。

実はこの町も柑橘類や果物の産地なんです。

このお店は後に『Orange Tree Giftmania』という名前に変更して地元の果物やプロダクトを売っていたようですが、2021年現在は閉店してもうありません。

Waikerie

ちなみに2020年の初めに、私たちはまたこの町に来ました。

改めて町を見てみると、至る所にオレンジのゴミ箱があってかわいかったですよ。

これもいずれ記事にしますね!

おわりに

Marray River

リバーランド周辺はオーストラリア最大の川マレーリバーが近く、マリーンスポーツも盛んで気持ちの良い場所だと思います。

ビッグオレンジは残念でしたが、いつかまた再開する日は来るのでしょうか。オレンジジュースを飲みながら思いを馳せてみるのも良いかもしれません。

 

(参考: Hopes Big Orange revival could bear fruit for Australia’s other ‘big things’ – ABC News / The Big Orange (Monash): UPDATED 2021 All You Need to Know Before You Go (with PHOTOS) – TripAdvisor / Big Orange (South Australia) – Wikipedia