映画 Japanese Story (ジャパニーズストーリー) あらすじ・感想

先週『ウルフクリーク』という実話ベースのホラー映画を紹介しましたが、今週も同じ西オーストラリア州が舞台の『Japanese Story (ジャパニーズストーリー)』という映画の紹介です。

(出典: https://en.m.wikipedia)

“オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞 (AACTA Awards)” など、オーストラリア国内で数多くの賞を受賞し、アメリカでも高い評価を受けたというこの作品。でも、日本では日本人が出演しているにも関わらず日本劇場未公開、DVDも出なかったようです。

まあ、日本人からするとタイトルもちょっと変だし、作中でよく流れてる沖縄民謡 “ちんさぐの花” も外国人が聴くと「日本っぽい!」と思うのかもしれないですが、日本人からすると「え?何でオーストラリアでこれ?」って思うし、ツッコミどころがちょこちょこありますからね〜💦

ちなみにタチバナ ヒロミツという日本人役の人は綱島郷太郎という舞台やテレビドラマで活躍している、はしのえみの旦那さんです。この映画によってオーストラリアではちょっとした有名人になったのだとか。

タイトル Japanese Story (ジャパニーズストーリー)
監督 Sue Brooks
脚本 Alison Tilson
製作 Sue Maslin
公開 2003年
上映時間 100分

 

出演:
Sandy Edwards 役:
トニ・コレット (Toni Collette) 🇦🇺
タチバナ ヒロミツ 役:
綱島郷太郎 🇯🇵
Bill Baird 役:
マシュウ・ディクティンスキ (Matthew Dyktynski) 🇦🇺
母親 役:
リネット・カレン (Lynette Curran) 🇦🇺

 

 

私の総合的感想:

あらすじを全く知らなかったので、どうせツッコミどころがいっぱいのラブストーリーなんでしょー?という感じで途中までケラケラ観てたんですけど、そこからまさかの急展開。「はあ?冗談でしょ?」って不意を突かれました。これ泣きますよ、多分。

 

 

⚠️ ここから先はネタバレあります。

 

[adchord]

あらすじ

西オーストラリア州パースの地質学ソフトウェア会社で働くサンディは、ある日突然、ビジネスパートナーからタチバナ ヒロミツという日本人にピルバラの砂漠にある鉱山の案内を頼まれました。

日本について何も知らないサンディは「私はゲイシャじゃないのよ!」と文句を言い乗り気ではありませんでしたが、仕事なので渋々ヒロミツの案内役を務める事に。

しかし、ヒロミツはいつも携帯電話で日本語のおしゃべりばかりだし、彼の態度に呆れるサンディ。しかも、ついには石のサンプルを見て「ここに行きたい!」とオーストラリア人でも行くのに骨が折れるような砂漠地帯へ今すぐ連れて行けと強引に要求してきました。

仕方なく車を走らせるサンディですが、途中でタイヤが砂に取られて動かなくなってしまいます。

もしかしたら命を落とすかもしれないという状況なのに、ヒロミツは手伝おうとせず電話ばかり。ついにサンディはキレました。

結局、頑固で強情なヒロミツのお陰で夜はマイナスまで冷える砂漠地帯で野宿するしかなくなり、反省したヒロミツは、次の日に彼のアイディアを駆使して何とか脱出に成功。

困難を乗り越えた事で、2人の仲は急速に深まっていくのですが…。

※ 前半と後半では物語の雰囲気がガラッと変わります。あとは観てからのお楽しみに。

感想

この映画、ツッコミどころがあって絶対面白いだろうな、と軽い気持ちで観始めました。だって、オーストラリア人女性と日本人男性の恋愛物語ですよ?

というのも、オーストラリア人男性と日本人女性のカップルは山ほどいるのに、オーストラリア人女性と日本人男性のカップルは珍しいんですよね。いや、いない事はないんですけど、割合的にかなり少ないんです。

日本人男性って基本的に草食系で押しが弱いし、レディファーストの意識もないし、言わなくても察しろよと思っている印象があります。

だから、この2人はどんな風にくっつくんだろう?ってちょっと興味がありました。

この映画が公開されたのは2003年。

私がワーキングホリデーに向けてオーストラリアの情報を集めだしたのが翌年2004年頃だったのですけど、この時代はギリギリオーストラリアは物価が安くて、オーストラリア人はみんなTシャツとジーンズと言われていた最後の時だと思います。物価が高いと言われている今では考えられないかもしれないですけどね。

そんな2003年頃にしても、このタチバナ ヒロミツって言う人、ちょっとツッコミどころが満載なんですよね。持ってるフイルム式のカメラがやたらと古めかしいし、スーツをしっかり着込んでわざとらしいおじぎをして、日本人をバカにしてんの?オーストラリア人が思う日本人のイメージを強調してるだろう、という感じ。

何よりも、英語で話しかけられてるのに、普通「はい」とは返事しないだろー!しゃべれなくてもさすがに「Yes」って言うだろー(笑)って、日本人が観たらきっと思うはず。

じゃあ、よっぽど英語が出来ない日本人の設定なのかな?と思いきやそうでもないらしく、意外としゃべれるしネイティブの言う事も理解出来てる。なんじゃそりゃ。ただ、彼は日本人独特のものすごいカタカナ英語でしゃべります。

でも、すごいと思ったのは彼がしゃべってても字幕は一切出なかったんですよね。という事はネイティブが観てもちゃんと彼の英語が理解出来るって事です。

ほら、だから英語に自信がないとか言ってるそこのあなた、カタカナ英語でもわりと通じるから、恥ずかしがらずに自信持ってしゃべろうよ!と思いました(笑)

まあ、この2人がくっついたのは、要するにあれです、吊り橋効果。不安な状況を一緒に過ごすと恋愛感情が湧きやすいっていうやつ。

それにしてもヒロミツのやつ、サンディがひとりで必死になって砂に埋もれたタイヤの周りを掘り起こしたり色々して頑張ってるのに、車の中で電話?そりゃこれは私だってキレます。いや、でも普通こんな状況になったら大概の日本人は手伝わないかな〜?こんなKY?

サンディがお手上げで危険なので助けを呼ぼうと言っているのに、アウトバックのど真ん中で「大丈夫、何とかする」とか「歩いて人を探す」とか無謀な根性論を言い出したヒロミツは、昭和の匂いがプンプンでした。

まあ、結局はヒロミツが自分たちの置かれている状況を理解して反省し、彼の工夫によって何とか脱出出来たのですが、その困難を一緒に乗り越えた後の2人は、まんまとムードが最初の頃と一転して親密に。気持ちは分かるけど単純だなあ(笑)

しかも、作中では分かりにくいですが、アウトバックを車で走ってる間って本当に何時間も木や草や砂漠ばっかりとかで、とにかく暇なんですよ。暇だと食に走るか恋愛するかしかないんですよね〜。ワーホリが多いど田舎のファームとかでよく起こる現象と同じ原理がここに。

で、物語の途中までそんな半笑いの甘ったるい恋愛劇を観させられるんですけど、いきなり事件が起こってガラッと雰囲気が変わったので驚きました。

正直、それまで一回観るのやめて休憩入れようかな〜?とか思っていたんですけど、事件後の描写が細かくてとてもリアルだったので、そこから目が離せなくなりました。

何百キロも何もないアウトバック。いちばん近い町に着いてもお医者さんもいないし病気になったら飛行機で都会まで運ばないといけないような僻地。

そんな場所で突然のアクシデントに見舞われたら、そうだよなー、ネイティブのオーストラリア人でもどうすれば良いのか困ってしまうよなー。

後半はトニ・コレットの名演技で、完全に感情移入してしまったんですけど、結局この映画は何が言いたかったのかな。愛は国籍を超えるって事?とにかく、不覚にも泣けました。

おわりに

とにかくこの映画を観て欲しいです。そして感想を聞いてみたいですね〜!

 

 

オーストラリア映画一覧はこちら

Down Under オーストラリア

こちらは今まで書いたオーストラリアの映画のレビュー記事の一覧です。有名な作品から […]…

最新情報をチェックしよう!