ロクスビーダウンズ(Roxby Downs)は、巨大なオリンピック・ダム鉱山を支えるために造られた計画都市。観光地らしい観光地が並ぶ町ではありませんが、「鉱山のために砂漠の中へ町をひとつ造った」という成り立ちそのものが、とても興味深い場所です。
近くには「Olympic Dam(オリンピックダム)」という名前の鉱山と空港もあり、アウトバックにあるオパールの産地、アンダムーカへ向かう途中に、食料の買い出しなどで立ち寄る場所としても利用できます。
ビジターインフォメーションセンターもあるので、このエリアの情報収集もこの町で。
この記事では、ロクスビーダウンズの歴史、オリンピックダムとの関係、短時間でも見られるスポット、アンダムーカへ向かう前の買い出し情報をまとめます。
事前調査版:2026年8月15日現在
営業時間やツアー内容は変更されることがあります。訪問直前に公式サイトまたは電話で再確認してください。
ロクスビーダウンズと周辺の町

ロクスビーダウンズ(Roxby Downs)の近くには、「Olympic Dam」という名前の鉱山と空港もあります。ログスビーダウンズとオリンピックダムはそれぞれ別の場所ですが、ひとつの鉱山開発によって強く結びついています。
ロクスビーダウンズ: 住宅、スーパー、学校、病院、カフェなどが集まる町(この地域の生活・買い出し拠点)
オリンピックダム鉱山: BHPが操業する銅・ウラン・金・銀の巨大鉱山(町の北側。一般向け鉱山ツアーはない)
オリンピックダム空港: アデレード便が発着する空港(町の中心から約10km)
アンダムーカ: オパール採掘で生まれた町(ロクスビーダウンズから車でおよそ30~35km)
空港名が「Roxby Downs Airport」ではなく「Olympic Dam Airport」なのは、ここが観光空港というより、もともと鉱山と地域を支える交通拠点だからでしょう。BHP(Broken Hill Proprietary Company Limited )が運営する小規模な民間空港で、鉱山で働くFIFO労働者の利用が多いですが、一般客も利用できるAlliance Airlines の定期便がアデレード間を飛んでいます。
アデレードからロクスビーダウンズまでは陸路で約560km。一方、アデレードからオリンピックダム空港までは飛行機で約1時間10分、空港から町までは約10kmです。
出典:Roxby Council – Traveller Information & Resources
ロクスビー・ダウンズとは?
ロクスビーダウンズは、南オーストラリア州のアウトバックにある比較的新しい町です。
もともとこの一帯には、Roxby Downs Stationという牧羊・牧牛のための広大な牧場がありました。1975年、その地下に大規模な鉱床があることが確認され、鉱山開発とともに労働者や家族が暮らす町が必要になります。
こうして計画的に整備されたのが、現在のロクスビー・ダウンズです。Roxby Councilの町史によると、町のインフラは1987~1988年に完成し、1988年11月5日に正式オープンしました。BHPの資料(PDF)では、オリンピック・ダムで銅の生産が始まった年も1988年とされています。
つまり、アンダムーカが1930年代から鉱夫たちの手で少しずつ形づくられた“自然発生的なオパールの町”なのに対し、ロクスビーダウンズは1980年代に設計された“計画的な鉱山都市”。近接する二つの町ですが、成り立ちは正反対です。
2021年国勢調査による町の人口は3,671人、年齢中央値は30歳。南オーストラリア州全体の年齢中央値41歳よりかなり若く、鉱山で働く人々と若い家族が多い町であることが数字にも表れています。
「オリンピックダム」という少し不思議な名前の由来
そして、Olympic Dam。名前だけを見ると、オリンピック競技のために造られた巨大なダムを想像してしまいそうですが、実際の由来はもっと素朴です。
1956年、メルボルン・オリンピックが開催された年に、Roxby Downs Stationの家畜用の水場として小さなダムが造られました。そのダムが鉱床発見のための掘削地点に近かったため、鉱山は「Olympic Dam」と呼ばれるようになったそうです。
現在のオリンピックダムは、BHPが所有する地下鉱山と地上の処理施設からなり、銅・ウラン・金・銀を生産しています。Roxby Councilの案内によると、地下には約700kmもの道路とトンネルがあり、最深部は約930m。地上からは想像しにくい規模の世界が、足元に広がっています。
オリンピックダムとロクスビーダウンズ周辺は、コカタ(Kokatha)、ディエリ(Dieri)、アラバナ(Arabana)の人々が長く関わってきた土地でもあります。鉱山の現在の概要はBHP公式ページで確認できます。
見学・撮影時の注意
オリンピック・ダム鉱山は現在稼働中の産業施設で、一般向けツアーはありません。門、標識、立入禁止区域には必ず従い、鉱山施設や空港周辺で撮影したい場合は、その場のスタッフに確認してください。
町の一般的な公共スペースや外観を撮る場合でも、人物が写り込むときは配慮を。とくに鉱山労働者、空港スタッフ、セキュリティ設備、保安検査付近は、許可なく撮らない方が安心です。
ロクスビーダウンズで見ておきたい場所
ロックスビーダウンズに立ち寄ったら、見ておきたい場所をまとめました。
ロクスビー・ダウンズ・ビジター・インフォメーション・センター
まず立ち寄りたいのがビジター・インフォメーション・センターです。町の中心部、Richardson Placeにある複合施設「Roxbylink」の中に、図書館と併設されています。
ここではロクスビー・ダウンズだけでなく、アンダムーカや周辺地域の地図・パンフレット、アウトバックの道路情報なども入手できるので、アンダムーカへ向かう前に、現地の営業状況や見どころを尋ねてみるのもよさそうです。
そして何より見逃せないのが、無料の「Olympic Dam Video」。上映時間はわずか12分ですが、鉱山と町の歴史、地上の処理施設、地下鉱山の様子を映像で紹介し、バーチャル地下ツアーも含まれています。
現在、オリンピック・ダム鉱山では一般向けの見学ツアーは行われていないため、旅行者が内部を知ることのできる、もっとも手軽で確実な方法です。少人数なら開館中に申し込めます。
詳細:Roxby Council – Olympic Dam Video
1–15 Richardson Place, Roxby Downs SA 5725
月~金 9:00~17:00、土・日 10:00~14:00
※ 駐車場・公衆トイレあり、バリアフリー対応あり(詳しい設備は事前確認がおすすめ)※ 営業時間は変更されることがあります。最新情報はSouth Australia公式観光サイトで確認してください。
Roxbylinkとアートギャラリー
Roxbylinkには、ビジターセンターのほか、図書館、Dunes Cafe、映画館、プール、アートギャラリーなどが集まっています。
大きく歩き回らなくても、ひとつの建物内で休憩・情報収集・展示鑑賞ができるのが便利なところ。足の不自由な人が同行する場合にも、比較的立ち寄りやすい候補です。
旅行予定時期の2026年8月には、アートギャラリーで 「Light & Shadow – Anu & Ann Artistry」 が開催予定です。会期は2026年8月3日~9月18日。光と影、人間性を通して、愛、記憶、狂気、謎、アイデンティティを探るSALA関連展です。展示替えや開館状況は訪問前に公式プログラムで確認してください。
町の中心部とパブリックアート
Richardson Place周辺には、町の主要施設やショップがコンパクトに集まり、ところどころにパブリックアートがあります。ビジターセンターでアートの場所が分かる地図や、おすすめの作品を尋ねるのが確実です。
「アウトバックの鉱山町」と聞いて想像する無骨な景色とは違い、ロクスビー・ダウンズには街路樹、公園、レジャー施設が整えられています。砂漠の中で人々が暮らし続けられるよう、最初から生活環境を考えて設計された町だと意識して眺めると、普通のショッピングエリアや住宅街も興味深く見えてきます。
Emu Walk(時間と体力に余裕があれば)
Emu Walkは、住宅地、コミュニティガーデン、砂丘、自然保護区を通る約3kmのセルフガイド・サーキットです。所要時間の目安は約1時間、難易度は低~中程度とされています。
出発地点はRichardson PlaceのDunes Cafe/ビジターセンター付近。町の中心から歩き始められますが、砂丘を含むため、歩行に不安がある人には無理をしない方がよいでしょう。
詳細:Roxby Council – Emu Walk
Arid Recovery(予約できるなら別枠で)
Arid Recoveryは、外来捕食動物を防ぐフェンスで囲まれた保護区で、絶滅危惧種と乾燥地の生態系を守りながら研究を行う独立非営利団体です。
一般旅行者が参加しやすいのは、夕暮れから夜にかけて行われる少人数制のSunset Tour。砂丘の展望台で夕日を眺め、日没後には夜行性動物を探します。
- 所要時間:約2時間30分
- 通常開催:4~10月の金曜日(学校休暇中は水曜日の追加設定あり)
- 集合:日没30分前
- 定員:最大10人
- 料金:大人100豪ドル+予約手数料(2026年8月確認)
- 歩行:未舗装・不整地や砂丘を合計最大3km
- 予約必須
歩行に不安がある人向けの対応が可能な場合もあるため、参加を考えるなら予約前に直接相談を。
詳細・予約:Arid Recovery – Sunset Tours
アンダムーカへ行く前の買い出し拠点として
ロクスビー・ダウンズは、この地域では貴重な本格的な買い出し拠点です。
町の中心部にあるRoxby Central Tradersには、Woolworths、薬局、郵便局、Subwayなどがあります。BPサービスステーションもOlympic Way沿いにあります。店舗や飲食店の構成はRoxby Councilの旅行者向けページで確認できます。
アンダムーカ側の店舗は、営業日や取扱商品が変わる可能性があります。数日滞在するなら、ロクスビー・ダウンズで次のものをまとめて確保しておくと安心です。
- 滞在日数分の主食、肉・魚、野菜、冷凍食品
- 朝食、昼食、すぐ食べられる軽食
- 飲料水と車内用の予備水
- 牛乳、コーヒー・紅茶、調味料
- 常備薬、日用品、トイレットペーパー
- 帰りの日まで必要な分を考えた予備食
ビジターセンターとWoolworthsはどちらもRichardson Place周辺にあるため、観光と買い出しを一度の停車で組み合わせやすいのがうれしいところです。
所要時間別・ロクスビー・ダウンズの回り方
30分しかない場合
1. Roxbylinkに駐車
2. ビジターセンターでアンダムーカの地図とパンフレットをもらう
3. 12分のOlympic Dam Videoを見る
これだけでも、「なぜ砂漠にこの町があるのか」がかなり分かるはずです。
45~60分ある場合:歩行少なめのおすすめコース
1. ビジターセンターで情報収集
2. Olympic Dam Videoを鑑賞
3. 同じ建物内のアートギャラリーを見る
4. Richardson Place周辺で町の中心部を短時間見学
駐車場所を何度も変えず、座って見られる映像を中心にできるため、今回のように長く歩くのが難しい人が一緒でも組みやすいコースです。
1時間30分~2時間ある場合
上のコースに、カフェ休憩、パブリックアート、買い出しを加えます。買い物の量が多ければ、観光時間とは別に30~60分ほど見ておくと安心です。
2時間30分~3時間ある場合
町の見学にEmu Walkを追加。ただし、歩く人と休憩する人に分かれる場合は、集合場所と時間を先に決めておきましょう。
夕方を丸ごと使える場合
事前予約したArid RecoveryのSunset Tourへ。町歩きとは別の体験として考えるのがおすすめです。
8月に訪れるときの服装
オーストラリア気象局(BOM)によると、オリンピック・ダム空港観測地点の8月の平均最高気温は約21.0℃、平均最低気温は約5.8℃です。
日中は動きやすくても、朝晩はかなり冷えることがあります。風があると体感温度も下がるため、重ね着できる服、風を通しにくい上着、歩くならつま先の覆われた靴が安心です。アウトバックは乾燥しているので、冬でも飲料水、帽子、日焼け止めを忘れずに。
ロクスビー・ダウンズは「観光地」ではなくても面白い
ロクスビー・ダウンズには、歴史的建造物が何十軒も並んでいるわけでも、有名な展望台があるわけでもありません。
けれど、1970年代に地下資源が見つかり、1980年代に砂漠の中へ町が造られ、今も巨大鉱山とともに人々の生活が続いている——その町全体の物語こそが、ここで見るべきものなのだと思います。
自由な鉱夫たちが造ったアンダムーカへ向かう前に、計画都市ロクスビー・ダウンズを見ておけば、二つの鉱山町の違いがいっそう鮮やかに感じられそうです。
買い出しだけで通り過ぎるのは、少しもったいない町。時間が許せば、まずはビジターセンターの12分映像から、ロクスビー・ダウンズとオリンピック・ダムの世界をのぞいてみてください。
取材用メモ
現地で確認したいこと
● ビジターセンターにアンダムーカのパンフレットがあるか
● Olympic Dam Videoは申し込み後すぐ見られるか、座席や字幕はどうか
● 30年史展示が現在も館内にあるか
● アートギャラリーへの入口、段差、椅子の有無
● Woolworthsの実際の営業時間と品ぞろえ
● アンダムーカで現在営業している食料品店・飲食店
● 空港や鉱山外周で撮影できる範囲
● 地元の人が感じる「ロクスビー・ダウンズらしい場所」
撮っておきたい写真
● Olympic Dam Airportの外観と到着時の景色(許可される範囲で)
● Roxby Downs入口の町名標識
● Richardson Placeの全景
● Roxbylink/ビジターセンターの外観と入口
● Olympic Dam Videoの案内表示(上映画面は許可を確認)
● アートギャラリーと開催中の展示(撮影可否を確認)
● Woolworthsなど、アウトバックの生活拠点が分かる風景
● 砂丘、街路樹、住宅地など「砂漠の計画都市」らしい対比
● アンダムーカへ続く道路
記事公開前に更新する箇所
● 冒頭に実際の到着・買い出し体験を追加
● 所要時間を実測値へ変更
● 営業時間と料金を再確認
● 「行って分かったこと」「行けなかった場所」を正直に追記
● 地図と自分で撮影した写真を挿入
主な参考資料
Roxby Council – About Roxby Downs
Roxby Council – About Olympic Dam
Roxby Council – Traveller Information & Resources
Roxby Council – Olympic Dam Video
South Australia – Roxby Downs Visitor Information Centre
BHP – Olympic Dam, South Australia
Australian Bureau of Statistics – 2021 Census, Roxby Downs
Bureau of Meteorology – Roxby Downs climate statistics
Arid Recovery – Sunset Tours