オーストラリアの各地にある巨大建造物 “Big Things” は、私たちに町や人の物語を伝えてくれる大きな指標になる事がよくあります。
西オーストラリア州の州都パースから南に約380km ほど行った小さな町ナリカップ (Narrikup) もそのひとつで、現在は南半球最大の “ジャイアントクリケットバット” と世界初の “クリケットで出来たフェンス” がある町として知られています。
この国の人気スポーツと言えばクリケットですよね!
でもこの町、クリケットファンだけではなく、旅行付きの人にとっても興味がそそられる場所なのではないでしょうか。
巨大なクリケットバットとフェンス
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私は西オーストラリア州にまだ行った事がないので、他の方のインスタの写真からどうぞ。
このユニークなプロジェクトの中心となったのは、元建設業に携わっていたトニー・ポッド氏 (Tony Poad) ですが、なんと実は彼、もともとはクリケットに大した興味を持っていなかったそうです。
ではなぜ、クリケットのバットやボールに触れた事もなければ試合すら観た事がなかった彼が、クリケットプロジェクトの中心人物になったのか?
人生は分からないものですね。
きっかけは、この町に引っ越して来た時、子供がクリケットチームに入った事でした。
当時新参者だったポッド氏の家族を地元の人たちは暖かく迎えてくれたそうで、ポッド氏は子供のクリケットチーム参加によってクリケットに関わっていくようになったのです。
クリケットバットのフェンス
2011年に定年退職した彼は、クラブのメンバーだった Chris Norton に敬意を表してゲートを作った後、クリケットのバットでフェンスを作るという事を思い付きました。
さっそく捨てられる予定だったり、使われなくなったりしたクリケットのバットを集め、フェンスの作成を開始。
ひとつのパネルに17本のバットが埋め込まれ、2018年の時点では26パネルが作られたそうですが、クリケット場をぐるっと囲むにはあと2000個は必要だと見積もっており、まだまだ完成には遠い道のりのようです。
ちなみに、もしいらないクリケットバットを送りたい人は Narrikup Cricket Club の Facebook ページからコンタクトが取れるみたいですよ。
あれから数年、今はどれくらい完成しているのでしょうか。
この記事のために初めて役に立った (?) クリケットバット
それから、高さ8.5m の巨大なクリケットバッドもその頃に作られ、人口500人ちょっとの町が観光マップに載る事にも貢献しています。
クリケット博物館が閉施されたお店をオープン
そして2018年11月には、トニー・ポッド氏によってクリケット博物館が併設された雑貨屋さん『Narrikup Country Store』がオープンしました。
2018年初旬、ポッド氏は90年以上前に建てられ、ほぼ10年放置されて荒れていた雑貨店を購入。使える状態にするまで5カ月を費やしたそうです。
お店には署名されたクリケットバットや歴史的なチームの写真、トロフィー、記念品が並べられていて、このお店の歴史なども展示されているとの事。
コーヒーなども飲めるそうなので、シドニーからもパースからも気が遠くなるような遠い場所に感じますが、私もいつか行く機会があると良いなあと思ってみたりします。
おわりに
この話を聞いて思ったのは、人との出会いは時にその人の人生に大きな影響を与えるものだなあ、という事。
そして、このアイディアによって小さな町がテレビで放送されたり、記事になったりする事で知名度が上がり、観光に立ち寄る人が増える…、オーストラリアではよくある事ですがほっこりしますね。
Big Things を始め、こういうモニュメントは「ここに町があるよ!」というアッピールでもあり、旅行者がそこに住む人たちの文化や歴史に触れる足掛かりなんです。
という事で、引き続き追いかけていこうと思います。
もっと写真を見たい人は、下のリンクにある参考ニュース記事からどうぞ。
(参考: Giant cricket bat and a ‘world-first’ fence — inside a unique cricket revival project – ABC News / ‘World first’ cricket bat fence draws tourists to small country town – ABC News)