メルボルン発祥の味・多文化料理・地方の名産など、ビクトリア州で食べたいもの決定版

ビクトリア州の食というと、まずメルボルンのカフェやレストランを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし調べてみると、オーストラリア式のディムシムやVegemite、Four’N Twenty、Cherry Ripe、Freddo Frogなど、全国的に知られる食品と深い関係を持つ州でもあります。

さらにメルボルンでは、イタリア、ギリシャ、中国、ベトナム、中東、アフリカなど、移民がもたらした食文化が地域ごとに育ってきました。都市を離れれば、冷涼な気候を生かしたワイン、チーズ、果物、ナッツ、オリーブ、海産物など、産地を訪ねて楽しめる食も豊富です。

この記事では、ビクトリア州の食を「この州で生まれたもの」「メルボルンで体験したい食文化」「地方へ出かけて味わいたい名産」の3方向から紹介します。

 

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発祥地、有名な産地、現在よく食べられている場所、人気店がある場所は、それぞれ別の情報です。ビクトリア州生まれでも全国で販売されている食品もあれば、海外にルーツを持ちながらメルボルンの暮らしに深く定着した料理もあります。その違いが分かるように整理しました。
発祥や歴史を知る ディムシム、Vegemite、Four’N Twenty、Chiko Roll、Cherry Ripe、Freddo Frog メルボルン市内やベンディゴの歴史と組み合わせる
メルボルンで食べ歩く Magic、ホットジャムドーナツ、ディムシム、スブラキ、多文化料理 カフェ、マーケット、移民街を徒歩・電車・トラムで巡る
産地を訪ねる ワイン、チーズ、ムール貝、果物、ナッツ、オリーブ、地域の農産物 日帰りツアーまたは車でファームゲートやセラードアへ

ビクトリア州の食は、植民地化以前から続いている

メルボルン/Narrmを含むビクトリア州では、ヨーロッパ人が到来するはるか以前から、First Peoplesが季節や土地の状態を読み、植物や動物を食料、薬、道具などに利用してきました。

そのひとつが、黄色い花を咲かせるヤムデイジーのMurnong(地域の言語によってMurrnong、Mirnongなどの表記もあります)です。根は、ビクトリア州のAboriginal groupsにとって重要な主食のひとつでした。メルボルン博物館内のBunjilaka Aboriginal Cultural CentreのMilarri Gardenでは、ビクトリア州のFirst Peoplesにとって意味のある植物について学べます。

現代の「ビクトリア州グルメ」だけでなく、その土地で長く受け継がれてきた食の知識を知ることも、この州の食文化を理解する入口になります。

ビクトリア州・メルボルンで生まれた食べ物

オーストラリア式ディムシム|メルボルンを代表する庶民の味

ビクトリア州の食べ物として、特に注目したいのがdim sim(ディムシム)です。中国料理のdim sum(点心)や焼売をもとに、メルボルンで量産・販売しやすい形へ発展したオーストラリア独自の食品です。

City of Melbourneの資料によると、1940年代に中国系オーストラリア人の料理人・実業家William Chen Wing Youngが、小さな点心を大量生産し、仕事を必要としていた高齢の中国人移民が販売できるようにしようと考えました。やがてフィッシュ&チップス店などにも広まり、蒸したものと揚げたものの両方が親しまれるようになりました。

現在はオーストラリア各地で食べられますが、メルボルンとの結びつきは特に深く、South Melbourne Marketでは1949年から続く大ぶりの「South Melbourne Market Dim Sim」が名物になっています。

Vegemite|全国的な食品はメルボルン生まれ

オーストラリアを代表する食品のひとつ、Vegemiteもメルボルンで開発されました。1920年代初め、食品技術者Cyril P. Callisterが酵母エキスを使って開発し、1923年に販売が始まりました。詳しい歩みはNational Museum of AustraliaやVegemite公式サイトで確認できます。

現在は州を問わずスーパーマーケットで購入できるため、ビクトリア州だけの郷土料理とはいえません。一方で、メルボルンで生まれ、現在もPort Melbourneに製造拠点を持つという歴史は、ビクトリア州の食産業を語るうえで欠かせません。

味や食べ方については、別記事の「ベジマイト完全攻略!まずいのは食べ方を間違ってる!?」で詳しく紹介しています。

Four’N Twenty|ベンディゴから広がったミートパイ

ミートパイ自体はビクトリア州独自の料理ではありませんが、オーストラリアを代表するパイブランドFour’N Twentyは、この州から始まりました。

Melbourne Royalの記録によると、ベンディゴのパイ職人Les McClureが1947年のRoyal Melbourne ShowでFour’N Twentyのパイを販売し、人気を集めました。その後メルボルンへ生産を広げ、現在はフッティー観戦とも結びついた身近な食品になっています。

「ビクトリア州でしか食べられないパイ」ではなく、ベンディゴ、農業ショー、メルボルン、AFL文化をつなぐ食品として楽しむと、このブランドの背景が見えてきます。

Chiko Roll|考案者はベンディゴ、初披露はNSW州

太い春巻きのような見た目をしたChiko Rollも、ビクトリア州との関係が深いスナックです。考案したFrank McEncroeはベンディゴのボイラーメーカーで、フットボール会場などで片手でも食べやすい食品として開発しました。

ただし、Chiko公式サイトによると、最初の公式な販売は1951年、NSW州のWagga Wagga Agricultural Showでした。考案者と着想はビクトリア州、初披露はNSW州という、州境をまたぐ発祥史を持っています。

Chiko RollやVegemiteを含む全国的な料理の概要は、メインブログの「これだけは押さえておきたい!オーストラリアの伝統料理(食事編)」にもまとめています。

Cherry RipeとFreddo Frog|フィッツロイのチョコレート産業

メルボルンのFitzroyには、かつてMacRobertson’sの大規模な菓子工場がありました。ここから生まれた代表的な商品が、1924年発売のCherry Ripeと、1930年に登場したカエル形のFreddo Frogです。

現在はいずれも全国で販売されている身近なチョコレートですが、背景には「チョコレート王」と呼ばれたMacpherson Robertsonと、メルボルンの製造業の歴史があります。詳しい物語は、State Library Victoriaの資料でも紹介されています。

メルボルンで体験したい食文化

カフェ文化と「Magic」を楽しむ

メルボルンのカフェ文化は、単にカフェの数が多いというだけではありません。19世紀のコーヒーパレスや街角のコーヒースタンド、20世紀のコーヒーラウンジを経て、第二次世界大戦後に移住したイタリア系住民がエスプレッソ文化を街へ根づかせました。Museums Victoriaは、Carlton、Brunswick、Collingwood、Richmond、Fitzroy、North Melbourneなどを、ヨーロッパ式カフェ文化が育った地域として挙げています。

メルボルンらしい注文を試すなら、Magicも候補です。一般的にはダブルリストレットにスチームミルクを加え、約5オンスの小さなカップで提供するコーヒーで、ビクトリア州公式観光情報ではメルボルンで生まれたスタイルとして紹介されています。

ただし、すべてのカフェで同じ抽出や分量になるとは限りません。また、flat whiteの発祥には複数の説があるため、メルボルン独自の飲み物として断定せず、オーストラリアのカフェ文化全体の中で楽しむのがよいでしょう。コーヒーの基本的な種類は「コーヒーの種類を把握してオーストラリアのカフェ文化を楽しもう」でも解説しています。

マーケットでメルボルンの日常を味わう

食材と軽食を一度に楽しみたいなら、メルボルンのマーケットが便利です。

  • Queen Victoria Market:生鮮食品、デリ、パン、チーズ、屋台料理などが集まる大型市場。1950年から営業するAmerican Doughnut Kitchenの、熱々のホットジャムドーナツも名物です。
  • South Melbourne Market:大ぶりのSouth Melbourne Market Dim Simを試したい場所。生鮮食品やデリ、シーフード、飲食店もあります。
  • Prahran Market:1864年から続く食のマーケット。食材を眺めるだけでなく、周辺のカフェや飲食店と組み合わせて楽しめます。

Queen Victoria Marketについては、訪問記事「メルボルンで買い物するならクイーンビクトリアマーケットへ!」も参考にしてください。営業日、ナイトマーケットの開催時期、各店の営業時間は変わるため、訪問前に各マーケットの公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。

多文化料理は「料理名+街」で探す

スブラキ、パスタ、フォーなどは、ビクトリア州で発明された料理ではありません。しかし移民の歴史とともに地域へ定着し、現在のメルボルンらしさを形作ってきた重要な食文化です。

Carlton/Lygon Street イタリア料理、エスプレッソ、ジェラート、パスティッチェリア CBDからトラムで行きやすい
Richmond/Victoria Street ベトナム料理を中心としたアジア料理 電車またはトラム
Brunswick/Sydney Road レバノン・中東系料理、多国籍レストラン、カフェ 電車またはトラム
Oakleigh ギリシャ料理、スブラキ、菓子、ギリシャ式コーヒー CBDから電車で移動可能
Footscray ベトナム、中国、アフリカ系など幅広い料理 CBDから電車で行きやすい

店は入れ替わっても、地域に根づいた食文化や移民史は簡単には消えません。メルボルンでは店名だけで検索するより、食べたい料理と地域を組み合わせて街を歩くと、観光と食事を一緒に楽しめます。

地方へ出かけて味わいたいビクトリア州の名産

ビクトリア州の食の魅力はメルボルンだけではありません。州内各地にはワイン産地、酪農地域、果樹園、漁港、農園があり、ファームゲート、ファーマーズマーケット、セラードア、地域のレストランを訪ねる旅ができます。州全体の生産者や季節の楽しみ方は、Visit VictoriaのLocal produceでも探せます。

Yarra Valley 冷涼気候のワイン、チーズ、果物、地域のレストラン メルボルンから約1時間。車またはワイナリーツアー向き
Mornington Peninsula Pinot Noir、Chardonnay、農園、果樹園、海沿いの食 温泉や海岸観光と組み合わせやすい。車が便利
Geelong & Bellarine Peninsula Portarlingtonのムール貝、魚介類、オリーブオイル、チーズ、ワイン 海辺の町とワイナリーを巡る日帰り・1泊旅行向き
Great Ocean Road & Otways 魚介類、チーズ、ベリー、パン、チョコレート、蒸留酒 海岸ドライブに生産者やファームゲートを加える
Gippsland 牛乳とチーズ、ベリー、オーガニック果物、魚介類、冷涼気候のワイン 地域が広いため、目的地を決めたドライブ向き
High Country/King Valley/Rutherglen Proseccoなどのイタリア系品種、Muscat、チーズ、肉、ベリー、リンゴ、栗 移民文化、山岳地域、ワインを組み合わせた周遊旅行
Daylesford & Macedon Ranges チーズ、パン、シャルキュトリ、季節の農産物、冷涼気候のワイン 温泉、村歩き、ファームゲート巡りと相性がよい
Grampians/西部・中部のワイン地域 Shiraz、オリーブ、ラム、ナッツ、ハーブ 国立公園、歴史ある町、セラードアを車で巡る
The Murray/Mildura ブドウ、柑橘などの果物、野菜、ナッツ、Murray River Salt、ラム、淡水魚 メルボルンから距離があるため、数日間のロードトリップ向き

ワインは品種だけでなく地域の物語も楽しむ

ビクトリア州では、Yarra ValleyやMornington Peninsulaなどの冷涼地域、Shirazで知られるGrampians・Pyrenees・Heathcote周辺、イタリア系移民の歴史が息づくKing Valley、Muscatなどで知られるRutherglenと、地域によって得意なワインや景観が異なります。

特にKing Valleyでは、イタリア系移民の文化とワイン産業が結びつき、Prosecco Roadのような食とワインのルートも作られています。ワインの基本は「これだけは押さえておきたい!オーストラリアワイン基礎の基礎」も参考にしてください。

海産物ならBellarine PeninsulaとGippsland

Bellarine PeninsulaのPortarlingtonはムール貝で知られ、桟橋周辺で新鮮な海産物を買ったり、地域の料理として味わったりできます。Gippslandでも、Gippsland Lakesや沿岸部を中心に魚介類を楽しめます。

同じ「シーフード」でも、メルボルンのレストランで食べるのと、漁港や養殖地の近くまで出かけるのでは旅の意味が変わります。産地では季節、漁獲、販売日を事前に確認しておきましょう。

果物・ナッツ・チーズは季節と販売場所を確認

High Countryではベリー、サクランボ、リンゴ、栗など、Murray地域ではブドウ、柑橘、野菜、ナッツなどが生産されています。GippslandやGreat Ocean Road周辺は乳製品とチーズ、Daylesford周辺はチーズやシャルキュトリなどの生産者巡りも楽しめます。

果物狩りやファームゲートは通年営業とは限りません。天候によって収穫期や販売状況も変わるため、「この地域の名産だから必ず買える」と考えず、営業日と旬を確認してから出かけてください。

車がなくても楽しめる?目的別の選び方

公共交通だけで楽しむなら

  • CBDや内側のサバーブでカフェ巡り
  • Queen Victoria Market、South Melbourne Market、Prahran Market
  • Carlton、Richmond、Brunswick、Footscray、Oakleighの多文化料理
  • スーパーでVegemite、Cherry Ripe、Freddo Frog、Four’N Twentyなどを探す

メルボルンから日帰りするなら

  • Yarra Valleyのワイナリーツアー
  • 車でMornington Peninsulaのワイナリーや農園を巡る
  • GeelongやBellarine Peninsulaで海産物とワインを楽しむ
  • DaylesfordやMacedon Rangesで温泉・村歩き・地域の食を組み合わせる

食を目的にロードトリップするなら

  • Great Ocean RoadにOtway Harvest Trailや地域の生産者を加える
  • High Country、King Valley、Rutherglenでワインと移民文化を巡る
  • Gippslandでチーズ、農産物、魚介類を追う
  • Murray River沿いからMilduraまで、農業地域の食を訪ねる
訪問前に確認したいこと
マーケットの開催日、店の営業時間、料理の提供時間、セラードアの予約、果物狩りのシーズン、ファームゲートの営業日は変わります。地方では携帯電話の電波や公共交通が限られる場所もあるため、公式サイトで最新情報を確認し、車の場合は飲酒運転を避けられる計画を立ててください。

ビクトリア州の食は「料理・街・産地」をつなげると面白い

ビクトリア州には、ひと目で分かる州独自の料理だけでなく、全国へ広がった発祥食品、移民が育てた都市の食文化、豊かな農業・酪農・漁業地域があります。

メルボルンでディムシムやMagicを試し、マーケットや移民街を歩く。時間があれば、ワイン、チーズ、ムール貝、果物などを求めて地方へ出かける。そんなふうに「何を食べるか」から「どこへ行くか」へ広げられるのが、ビクトリア州の食の大きな魅力です。

※掲載内容は2026年9月に確認しました。営業状況、イベント、ツアー、収穫時期などは変更されることがあります。