オージーの大好きなベジマイトって何なの?

オージーの大好きなベジマイトって何なの?

オーストラリアを代表する食べ物のひとつでもあるベジマイト(Vegemite)

本当にオーストラリアの家庭には必ず置いてあると言っても過言ではないこのベジマイトは、独特の塩辛い味がして初めて食べる人は驚きます。

一体この謎の食べ物は何なんだろう?どうしてオーストラリア人はこれが好きなんだろう?と不思議ではないですか?

という事でベジマイトについて、徹底的に調べてみました!

 

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オージーには欠かせないベジマイト

ベジマイトは、オーストラリアで年間22万個が販売されているという人気商品で、酵母を主原料として塩や野菜の抽出物を混ぜて作られた粘着性のある黒いペーストの発酵食品で、独特の匂いと味がします。

かつて私がホームスティをしてたケアンズのホストファミリーも、出張の準備中冗談で「ベジマイトも持って行かなくちゃ」とか言っていましたし、我が家の棚にもいつも常備されています。

 

オレが覚えている限りでは、4歳の頃にはもうベジマイトを食べていたよ。

それくらいオーストラリアでは子供の時から親まれている食べ物。

実はベジマイトはビタミンB群が豊富に含まれていて栄養満点。疲労回復や美肌にも良いらしいく、第二次世界大戦の頃から今でも軍の栄養補給として食べられたり、赤ちゃんの離乳食にも使われる事があるんだそうですよ。

80年代に世界的にヒットしたMen at Work の『Down Under』という歌詞の中でも “ベジマイトサンドイッチ” というフレーズが出て来て、ベジマイト はオーストラリアの象徴としても用いられます。

 

オーストラリアのホテルやバックパッカーズホテルの朝食には、必ずと言って良いほどベジマイトも置いてあります。

一見チョコレートのようですが、そのつもりで食べると大変! かく言う私も、2007年にサンシャインコーストのホテルに付いていた無料の朝食でやってしまいました☆

だって、大きなボウルにベジマイトがたっぷり入っていたので、チョコレートと疑わずトーストにたっぷり塗ってしまったのですよ…。気付いた時にはすでに遅く、もったいないので全部食べようとしましたが気持ち悪くなって、それ以来トラウマです(笑) こういう事もあるので注意!(笑)

絶対にチョコレートと間違わないように!

ベジマイト はまずいって本当?

よく日本人は「ベジマイトはまずい‼︎」とよく言いますが、実際のところどうなのでしょうか?

まずいと言う人の食べ方を聞いていると、高確率で食べ方自体が間違っている場合が多く、オーストラリア人だってしないような食べ方をしているので「そりゃ、まずいわ。」ってなります。

例えば、日本の料理にみりんは欠かせないですが、一口飲んで「まずい」と言ったらどうですか? 当たり前ですよね(笑) そんな感じです。

正しい食べ方

ベジマイト はマフィンに塗ったり、料理の隠し味にするなどの使い方もあるようですが、もっともよく食べられるポピュラーな食べ方は、トーストに薄く塗って食べる方法。

まずトーストにバターを塗って、その上から薄くベジマイトを塗ると、塩加減のお陰でチーズのような味になっておいしいのです。

薄く塗るだけなので、ひと瓶買ったらかなり長持ちします。そんなにいらないという人は、小分けにされたベジマイトも売ってますので、そちらで挑戦すると良いですよ。(売ってないスーパーもあるので注意。)

ベジマイト関連の商品

最近オーストラリア国内では、クリームチーズが入ったベジマイトなども発売された他、1950年代からベジマイトに並んでMasterfoods社から “Promite” という製品も密かに人気を博しているようですし、名前の違う類似品も色々あります。


商標登録で裁判沙汰になってしまったのが Dick Smith とアデレードの会社が出す “AussieMite” と名前が被ってしまった問題。結局 Dick Smith が “OzEmite” と名前を変えて決着したようです。

この OzEmite はベジマイトが麦の酵母から出来ているのに対して、トウモロコシから出来ているのでグルテンフリーなんだそうですよ。

Limited Edition 2015

2015年にはチョコレートでおなじみCadburyから、ベジマイト味のチョコレートなる物が発売された事もありました。ベジマイトが好きなパートナーもさすがに手を出す気にはなれなかった謎の限定販売でした。

ベジマイトはオーストラリアだけじゃない?

さて、今までベジマイトはオーストラリア特有の食べ物と言ってきましたが、ベジマイト の原型はイギリスのマーマイト(Marmite) です。

ベジマイトが発売されたのは1923年ですが、それは第一次世界大戦が勃発した影響でマーマイトがオーストラリアに輸入されなくなったので、オーストラリア独自に開発された事に起因しています。

もともとヨーロッパでビールの醸造が始まった17世紀から、イギリスではビールを生産する時に出来る副産物のビール酵母の沈殿物を食べる習慣がありました。20世紀に入り、ドイツの科学者がその酵母を凝縮する方法を発明し、マーマイトとして商品化されたのです。

ちょっとややこしいマーマイト事情

マーマイトは1902年からイギリスのマーマイト社が発売を開始しましたが、オーストラリアのお隣の国ニュージーランドでも同じようなマーマイトが発売されています。

イギリス

ニュージーランド

写真を見比べると分かりますが、入れ物が違いますよね?実はニュージーランドではSanitarium社がニュージーランド独自のマーマイトを製造しているんです。

しかし、商標登録を同じマーマイトという名前にしてしまったので、ややこしい事になっています。というのも、イギリスのマーマイトをニュージーランド・オーストラリアに輸出する時は “Our Mite”、ニュージーランドのマーマイトがイギリスに輸出される時は “Vitamite” という商品名に変えないといけない事態に。

ちなみに、ニュージーランドではベジマイトも50年に渡って製造されていたそうなのですが、オーストラリアの関係性やマーマイトに人気が押されるなどの理由で2006年に製造停止しています。

これらと同じような商品で、アイルランドにはボブリル(Bovril)、スイスにはセノヴィ(Cenovis)という物が売られています。

2007年のアイルランドでは、セントパトリックデーを記念してギネスビールの酵母から作った限定のマーマイトも発売されたそうですよ。

味の違い

ここで気になるのが味に違いですよね。

ベジマイトは野菜エキスなどが入っているのに対して、ニュージーランドのマーマイトは砂糖やスパイスが入っているので、食べ慣れた人からすると微妙に味が違うようです。

マーマイトの味はニュージーランドの方が、イギリスよりも塩けが少なくマイルドだと言われています。

うちのパートナーは、マーマイトは微妙に味が違うので親しみのあるベジマイトの方が好きだと言ってましたが、オーストラリア在住のイングランド人に聞いてみると、最近はどっちでも気にしなくなったとの事でした。

 

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ベジマイトの会社を巡る大事件

実はベジマイトは1935年にアメリカの会社に買収されてから、オーストラリア独自で親しまれる食べ物にも関わらず、事実上90年以上もアメリカのプロダクトとなっていました。

しかし2017年、メルボルンに拠点を置くBega Cheese がベジマイトの権利を買い戻し、ベジマイトはついにオーストラリアの会社となりました。

気付いた人もいるかもしれませんが、最近撮った写真とそれ以前では微妙にラベルが違います。分かりますか?

Before

After

これはオーストラリアにとって、喜ばしい大事件だったようです。

ベジマイトの歴史

そんなベジマイトですが、初めから人気があった訳ではありません。

オーストラリアがイギリスから独立した翌年1902年、イギリスでマーマイトという製品が発売され、オーストラリアにも輸入されていました。

ところが第一次世界大戦が勃発し、その影響でマーマイトの入手が難しくなった為、1922年に Fred Walker社が化学者 Dr Cyril Percy Callister を雇い、マーマイトに似た製品の開発を始めました。

かくして現在のベジマイトに当たるペーストが完成され、£50の賞金を付きで一般公募により商品名を募集しました。

そして、フレッド・ウォーカーの娘のシーラ (Sheilah) によって何百もの応募の中から選ばれたのが、当時18歳と20歳だったビクトリア州 Albert Park 在住の姉妹 Hilda と Laurel Armstrong。彼女たちはベジマイトガールズとして有名になりました。

ところが、ベジマイトが発売された1923年当初、まだマーマイトの人気が根強くて売れ行きはよくありませんでした。

アメリカのビジネスマンJames L. Kraftと会社を提携し、Kraft Walker Cheese Co.と名を変えプロセスチーズの製造も開始ししたのは1925年。しかし、ベジマイトの売り上げは上がりませんでした。

苦肉の策で1928年から1935年の間、売り上げ向上を図る為に実験的にベジマイトの名前を変えていた事があるのですが、その名も“パーウィル(Parwill)”。スローガンは「Marmite but Parwill」。

ピンと来ない人も多いと思いますが、つまりはオージージョークです。

Ma might not like the taste, but I’m sure Pa will.
ママは味が好きじゃないかもしれないけど、パパは好きだと思うよ。

この分かりにくい戦略は成功せず、結局ベジマイトの売り上げは上がらないまま7年後に元のベジマイト という名前に戻されたんだそうです…。

 

うん、ベジマイト の方が数倍良いと思う!
ちなみに、私のパートナーこのエピソードを初めて聞いたそうですが、Parwill と聞いただけですぐダジャレを理解してました。おそるべし!

1935年、ウォーカーは心臓病で亡くなり、彼の会社はアメリカのKraft Foodsに買収されましたが、その後もベジマイトの売り上げ促進の為に様々なキャンペーンが実施されました。

チーズ製品を買うと無料のクーポンでベジマイトがもらえるキャンペーンや、アメリカの車が当たる詩のコンクールも開催。これが功を奏し、少しずつベジマイトの人気が上昇していきます。

そして1939年に第二次世界大戦が勃発。

再びマーマイトの輸入が止まり、ベジマイトの需要は更に増え、ちょうどイギリス医学会からもビタミンBの豊富なベジマイトは支持された事とも重なり、オーストラリア軍の配給食としても活躍。

ベジマイトが開発されてから20年後の1942年には、オーストラリアのほどんどの家庭で食べられるようになるほど人気商品に成長していました。

1954年入ると、明るくエネルギッシュなトリオが歌う「♪happy little Vegemites」がラジオで流れ、その歌は1956年のメルボルンオリンピックの時にはテレビコマーシャルとなり大ヒットしました。

こうしてベジマイトは栄養のある健康食品として子供から大人まで親しまれるようになり、オーストラリア人にとっては懐かしいふるさとの味となっていったんですね。

ちなみに、1984年4月にスーパーマーケット等で導入されたバーコードの電子スキャンでは、ベジマイトが一番最初のプロダクトだったそうです。

もしももっとベジマイトの歴史やプロダクト、レシピなどを知りたい方は、こちらの英語ウェブサイトも見てみてください。
https://vegemite.com.au

おわりに

今ではオーストラリアで知らない人はいないベジマイト 、有名になるまでには色んな苦労や物語があったんですね。

健康志向の方はベジマイトが食べたくなったのではないでしょうか? おいしい食べ方を研究するのも楽しいかもしれないですね!