第2の国歌と言われるワルチングマチルダ

第2の国歌と言われるワルチングマチルダ

今日はオーストラリアを語る上で欠かせない話題、『ワルチングマチルダ(Waltzing Matilda)』についてです。

オーストラリアの国家は『dvance Australia Fair』ですが、ワルチングマチルダは1977年に国歌を決める国民投票で2位を獲得、もしかしたら国歌になったかもしれないと言うほどオーストラリア人に人気のある歌です。

オーストラリア人は平等精神が旺盛と言われますが、歌が作られた19世紀当時の権力に屈しない彼らの反骨精神が、よく現れている歌だと言えるかもしれません。

 

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作詞者について

この歌の作詞者はバンジョー・パターソン(Banjo Paterson 1861−1941)
正式名はAndrew Barton “Banjo” Patersonですがお気に入りの馬の名前を取ってThe Banjo と言うペンネームを使っていました。

$10札に載っている事でも知られています。

スコットランド移民の父親とオーストラリア生まれの母親をもつ彼は、ニューサウスウェールズ州のOrangeに近いNarramblaという所で生まれました。

幼少の頃は牧場・農場で過ごした彼ですが、シドニーの学校に通うようになると、学業もスポーツも優秀だったそうです。それは16歳で大学入学を許可されるほど。

弁護士の資格を取得後、ジャーナリストとして活躍。
次第にシドニーの雑誌に詩を載せて有名になり、脚光を浴びるようになります。

1895年に農牧の生活を書いた詩集『The Man from Snowy River and Other Verses』の作者としても有名です。
ワルチングマチルダの詩が書かれたのも同年1895年でした。

この曲について

軽快な曲調ですが、内容はある男が警察に捕まる前に自らの命を断つ話で、オーストラリア人の魂がこもっている歌とも言われています。

この歌は100年もの間、口頭や書面や録音など様々なメディアで伝えられて来ました。
映画やダンス、文学など数え切れないほどの作品に登場しますし、今日でもオリンピックのセレモニーやスポーツのイベントなどでも好んで演奏されています。

今まで多くの人たちによって歌の起源や意味が論議されて来たワルチングマチルダですが、曲については複数の作曲者が存在し、大きく分けると少なくとも3バージョンあるそうです。
特によく語られるのは次の2つです。

最初のバージョン

1895年、バンジョー・パターソンがクイーンズランド州Winton近くの農場(Dagworth Station)に滞在していた時、その農場の家族だったクリスティーナ(Christina Macpherson)という女性がハープのような楽器で弾いた曲を聴いて、それを気に入ったパターソンが歌詞を付けたのが始まりと言われています。

この曲はスコットランド民謡を元にして作られた行進曲『The Craigielee March』でした。
クリスティーナが以前にビクトリア州の競馬場でバンドが演奏していた曲を覚えていて弾いたものです。

この最初のバージョンはクイーンズランドバージョンと呼ばれています。

一番有名なバージョン

1903年に紅茶会社のコマーシャルソングとして使用される事になり、その際にMarie Cowanという女性によって歌詞と曲を書きかえられています。

これが現在で広く歌われている曲となっています。

参照: National Library of Australia

使われているスラング

この歌の中にはオーストラリアのスラングが多様に使われています。

Waltzing = “Travelling on foot” 。歩いて旅する事。
Matilda = 路上生活者などが荷物を包んで持ち歩く袋、又は毛布の事。Swagとも。
Swagman = オーストラリア各地を放浪して農場などの季節労働を探して歩いていた人たちの事。1890年代と1930年代の不況期に広く見られた。
Coolibah = ユーカリの木の種類のひとつ。
Billy  = ワイヤーの取っ手がついた缶。これを火にくべ、沸騰させたお湯でお茶を作っていた。
Jumbuck = 羊のこと。先住民族の言葉から来たのではないかと言う説がある。
Billabong = 元々は先住民族の言葉で、流れのない水溜まりのこと。
Tucker bag  = Tuckerは食べ物の事。tuckと言う単語から来ている。

ワルツやマチルダは、ヨーロッパで呼ばれていた名前を語源に引き継がれた言葉だったようです。

歌詞と訳

これが最も有名なバージョンです。
※繰り返しコーラスの部分は省略しています。(和訳: Eri)

Waltzing Matilda

Once a jolly swagman camped by a billabong
Under the shade of a coolibah tree,
He sang as he watched and waited ‘til his billy boiled
You’ll come a-Waltzing Matilda, with me
Waltzing Matilda, Waltzing Matilda

ある日陽気なスワッグマンが水のほとりのユーカリの木陰で野宿してた
彼はビリーのお湯が沸くまで見ながら歌った
さあ荷物を持って放浪しよう、オレと一緒に

Down came a jumbuck to drink at the billabong,
Up jumped the swagman and grabbed him with glee,
he sang as he shoved that jumbuck in his tucker bag,
you’ll come a-Waltzing Matilda, with me
Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
You’ll come a-Waltzing Matilda, with me.

羊が水を飲みにやって来て、スワッグマンは喜んで捕まえた
彼は羊の毛を剃って食料袋に詰め込みながら歌った
さあ荷物を持って放浪しよう、オレと一緒に

Up rode the squatter, mounted on his thoroughbred,
Up rode the troopers, one, two, three,
With the jolly jumbuck you’ve got in your tucker bag?
You’ll come a-Waltzing Matilda, with me.
Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
You’ll come a-Waltzing Matilda, with me.

牧場主がサラブレッドに乗ってやって来た
警官も1、2、3人 “その袋の中の羊はどうしたんだ?”
さあ荷物を持って放浪しよう、オレと一緒に

Up jumped the swagman and sprang into the billabong,
You’ll never catch me alive, said he,
And his ghost may be heard as you pass by that billabong,
you’ll come a-Waltzing Matilda, with me.
Waltzing Matilda, Waltzing Matilda
You’ll come a-Waltzing Matilda, with me

スワッグマンは飛び起きて水の中に飛び込んだ
お前には生きたオレを捕まえられないよ、と彼は言った
そしてそこを通ると彼の亡霊の声が聴こえるかもしれないよ
さあ荷物を持って放浪しよう、オレと一緒に

おわりに

これが現在でも人気のあるワルチングマチルダの曲です。

警察に捕まるくらいなら自分から死んでやる、オーストラリア特有の自然の中で繰り広げられる一般庶民と権力との戦い。

そんな権力に対しての反発心は今でもオーストラリア人の精神に根付いているので未だに熱烈に愛されているのかもしれませんね。

著作権とか色々大変なので曲は載せませんが、YouTubeにもたくさん出ていますので聴いてみてくださいね。