オーストラリア東部から遠く離れた西オーストラリア州(WA)にも、ミートパイ文化はしっかり根付いています。パースでは仕事の合間に買える街のベーカリーがあり、郊外や地方へ出れば、ミートパイを目当てに立ち寄りたくなるカントリーベーカリーがあります。
WAの大手パイブランドMrs Mac’sも、現在パースに本社と工場を置いています。また、WAのベーカリー業界団体が開催した2025年の大会には、州内40店以上から約400品が集まりました。パースがほかの州都から離れていても、ミートパイはWAの日常、スポーツ観戦、ドライブ旅行と結び付いた身近な食べ物です。
この記事では、パース中心部で車がなくても利用しやすい店から、日帰り旅行やWA南部のロードトリップへ組み込みたい店まで紹介します。単純な順位ではなく、なぜその店へ行くのかが分かるように、アクセス、店の個性、受賞歴、周辺観光との組み合わせを基準に選びました。
WAの8店を、ひとつの旅行で全部巡る必要はありません
パース市内、近郊の日帰り旅行、South West方面、Great Southern方面では移動距離が大きく異なります。滞在場所と旅行ルートに合う店を選んでください。
WAのおすすめミートパイ店早見表
| 店 | 場所 | ここを選ぶ理由 |
|---|---|---|
| Golden Bakery | Perth CBD、Osborne Park | パース中心部で、昔ながらのパイを手軽に買いやすい |
| Joe’s Bakery | West Perth | 1979年から続く家族経営の街のベーカリー |
| Angelwood Pies | Leederville | クラシックなパイを料理人の発想で再構成した現代的な専門店 |
| Guildford Town Bakery | Guildford | 歴史地区の町歩きと、伝統的なカントリーベーカリーを一緒に楽しめる |
| Pinjarra Bakery | Pinjarraほか4店舗 | 全国大会で評価されたパイを、パース近郊または地方の本店で試せる |
| Miami Bakehouse | Mandurah、West Pinjarra、Myalupなど5店舗 | South West方面の主要ルート上で、WA食材と創作パイを楽しめる |
| Toodyay Bakery | Toodyay | Avon Valleyの日帰り旅行に組み込みやすい、町のカントリーベーカリー |
| Mount Barker Country Bakery | Mount Barker | 2025年の全国大会でグルメパイ総合1位を獲得した目的地型ベーカリー |
パース中心部と近郊で食べやすい4店
1.Golden Bakery|短いパース滞在でも立ち寄りやすい
Golden Bakeryは、パースで30年以上営業する家族経営のベーカリーです。旅行者にとって最大の利点は、Perth CBDのWilliam Streetに店舗があること。観光や買い物の途中に、オーストラリアらしいミートパイを手早く試せます。
もうひとつの店舗はOsborne Parkにあります。公式オンラインストアには、ビーフ系、チキン&ベジタブルなどのパイや、ソーセージロール、パスティーといったセイボリーが並びます。特別な創作パイを目的に遠出する店というより、パースの日常にあるベーカリーのパイを知る店として選びたい場所です。
店舗:Perth CBD(97 William Street)、Osborne Park(Frobisher Street)
向いている人:車を使わない旅行者、CBDで短時間に食べたい人、まず定番系から試したい人
選ぶなら:店頭にある定番のビーフ系から始め、好みでチリやチキン系へ
【写真候補】Perth CBD店の外観、ショーケース、定番ビーフパイの断面。CBDで実食取材しやすい優先候補です。
2.Joe’s Bakery West Perth|家族経営の街のベーカリー
Joe’s Bakeryは、1979年からWest Perthで営業する家族経営のベーカリーです。創業者夫妻が始めた店に次の世代も加わり、現在も店内でパン、パイ、ペストリー、ソーセージロール、ケーキなどを焼いています。
ここへ行く理由は、派手な受賞作を追うためではなく、パースで長く働く人々のランチを支えてきたベーカリーを体験できることです。市内中心部からWest Perthへ足を延ばせる平日に向いています。週末は休業しているため、旅行日程と合うか先に確認してください。
場所:1246–1248 Hay Street, West Perth
向いている人:昔ながらの家族経営店が好きな人、平日にWest Perthを訪れる人
注意:公式案内では月曜から金曜の営業。祝日や臨時変更は訪問前に確認
Joe’s Bakery:店の歴史と営業情報/Visit Perth:Joe’s Bakery
3.Angelwood Pies|パースの新しいパイを食べる
LeedervilleのAngelwood Piesは、昔ながらのカントリーパイ店への愛着を出発点にしながら、クラシックと季節の食材を組み合わせる現代的なパイ専門店です。
パイはバターを使ったショートクラストの底生地と、パフペストリーのふたを組み合わせ、地元産食材を重視しています。料理人Richard Overbyeは、パースのRestaurant AmuséやWildflower、メルボルンのAmaru、ノルウェーのMaaemoなどで経験を積んだ人物です。
ここでは「オーストラリアの古典的なミートパイ」を確認するというより、現在のパースでパイがどう更新されているかを楽しめます。メニューには定番と入れ替わる特別商品があるため、特定の味を目的にする場合は当日の案内を確認しましょう。
場所:663 Newcastle Street, Leederville
向いている人:創作パイ、料理人の経歴、季節の食材に興味がある人
選ぶなら:最初はビーフ系のクラシック、その後に季節限定やベジタリアン系を比較
Angelwood Pies公式サイト/Angelwoodについて
【写真候補】クラシック系と季節限定パイを並べた写真、底生地と上のパフが分かる断面、Leedervilleの店頭。
4.Guildford Town Bakery|歴史地区への小旅行と一緒に
Guildford Town Bakeryは、パースから列車でも訪ねられる歴史地区Guildfordにある伝統的なオーストラリアン・ベーカリーです。ミートパイに加え、beesting、vanilla slice、シナモンロール、ドーナツなど、懐かしいベーカリー菓子でも知られています。
この店だけを目指して往復するより、19世紀の建築、アンティーク店、パブ、Guildford Heritage Walkなどを組み合わせるのがおすすめです。Swan Valleyへ向かう入口でもあるため、車があればワイナリー巡りの前後にも立ち寄れます。
パース中心部で食べるパイと違い、歴史ある町でカントリーベーカリー文化を体験できることが、この店を選ぶ理由です。
場所:175 James Street, Guildford
向いている人:車を使わず小旅行をしたい人、歴史散策やSwan Valleyと組み合わせたい人
一緒に:Guildfordの歴史地区、Heritage Walk、Swan Valley
Tourism Western Australia:Guildford Town Bakery/Swan Valley:Guildford案内
パースから日帰り・South West方面で寄りたい3店
5.Pinjarra Bakery|受賞歴のあるパイを本店または近郊店で
Pinjarra Bakeryは、WAのパイを語るときに外しにくい存在です。全国規模のパイ大会でプレーン・ミートパイが高く評価されてきたほか、定番だけでなく、肉、チーズ、スパイスなどを組み合わせた「Invention Pies」も展開しています。
現在は、発祥地のPinjarraに加え、Waroona、Maddington、Port Kennedyに店舗があります。パース滞在中に味を確かめるだけなら、南東郊外のMaddingtonが便利です。ただし、店の背景と町を一緒に楽しむなら、Murray River沿いのPinjarra本店まで行く意味があります。
Pinjarraはパースから南へ約1時間、Mandurahから内陸へ約20分。DwellingupやMandurahと組み合わせれば、パイだけのために長距離を往復せず、日帰り旅行の昼食として組み込めます。
店舗:Pinjarra、Waroona、Maddington、Port Kennedy
向いている人:受賞歴のある定番パイを試したい人、Peel地域やSouth Westへ向かう人
選び方:便利さならMaddington、旅行体験ならPinjarra本店、South Western HighwayならWaroona
Pinjarra Bakery公式サイト/店舗一覧/Official Great Aussie Pie Competition:2021年結果/Tourism Western Australia:Pinjarra
【写真候補】Pinjarra本店、定番ビーフパイと創作パイの比較、Murray River周辺。複数店舗を掲載する場合は、どの支店で撮影したか明記します。
6.Miami Bakehouse|South Westロードトリップのパイ休憩
Miami Bakehouseは、パースからMandurah、Bunbury、Margaret River方面へ向かう旅行と相性のよいベーカリーです。WA産小麦を使う自家製ペストリー、Stirling Ranges産牛肉を使ったClassic Steak Pie、Garlic Prawn Pieなどを展開しています。
2026年のPerth Royal Food AwardsではGarlic Prawn PieがChampion Pieに選ばれ、同年のOfficial Great Aussie Pie Competitionでも複数のパイやセイボリーが受賞しました。定番のビーフだけでなく、WAの海産物や多文化的な味をパイで楽しみたい人に向いています。
店舗は5か所あります。MandurahのGilberts、Falcon、Forrest HighwayのNorthboundとSouthbound、Myalupです。高速道路沿いの2店は進行方向によって入りやすい店舗が異なります。Myalupにはドライブスルーと屋外スペースがあります。
店舗:Gilberts Mandurah、Falcon、West Pinjarra Northbound、West Pinjarra Southbound、Myalup
向いている人:MandurahやSouth Westへ向かう人、シーフード系・創作系も試したい人
選ぶなら:Classic Steak Pieと、その時期に販売されているGarlic Prawn PieまたはPie of the Weekを比較
Miami Bakehouse公式サイト/5店舗の案内/パイの案内
7.Toodyay Bakery|Avon Valleyの町歩きとカントリーパイ
パースの北東にあるToodyayは、歴史的な建物が残るAvon Valleyの町です。町の中心にあるToodyay Bakeryでは、サワードウ、パイ、パスティー、ソーセージロール、ケーキなどを店内で作っています。
グルメパイやパンなどの受賞歴があり、2016年にはAustralia’s Best Pastieを獲得しました。ただし、この店を選ぶ最大の理由は賞の数ではなく、パースからの日帰り旅行で、歴史ある町とカントリーベーカリーを一緒に楽しめることです。
Toodyayの博物館、歴史建築、展望スポットなどを巡る日の朝食または昼食に組み込めます。公式観光案内では月曜休業となっているため、曜日を確認してから出発しましょう。
場所:123 Stirling Terrace, Toodyay
向いている人:Avon Valleyの日帰り旅行、歴史的な町並み、カントリーベーカリーが好きな人
注意:パイの種類と売り切れ状況、営業日は出発前に確認
Shire of Toodyay:Toodyay Bakery/Visit Toodyay
WA南部まで行くなら目的地にしたい店
8.Mount Barker Country Bakery|全国大会優勝のグルメパイ
Great SouthernのMount BarkerにあるMount Barker Country Bakeryは、パイを目的に立ち寄る価値が明確な店です。
2025年のOfficial Great Aussie Pie Competitionでは、Beef Bourguignon Pieがグルメパイ総合1位を獲得。牛頬肉をワインで煮込んだパイです。同店のRoasted Cauliflower with Black Truffle and Provolone Cheese Sauceもベジタリアン部門1位、グルメパイ総合2位に入りました。トリュフにはManjimup産が使われ、WA南部の食材とカントリーパイが一つにつながっています。
Mount Barkerはパースからパイだけを食べに日帰りする距離ではありません。Albany、Denmark、Porongurup、Great Southernのワイナリーを巡る旅の途中で立ち寄る店です。受賞作が常に店頭にあるとは限らないため、特定のパイが目的なら事前に確認してください。
場所:Mount Barker(Great Southern)
向いている人:Albany・Denmark方面を周遊する人、創作パイとWA産食材に興味がある人
選ぶなら:Beef Bourguignon、Manjimup産トリュフを使ったベジタリアンパイ。販売状況は要確認
Official Great Aussie Pie Competition:2025年結果/Mount Barker観光案内:Country Bakery
【写真候補】Beef Bourguignon Pieの断面、トリュフ入りベジタリアンパイ、受賞表示、Mount Barkerまたは周辺ワイン地域の風景。
Mrs Mac’sは「店」ではなくWAのパイ文化として知っておきたい
スーパー、コンビニエンスストア、スタジアムなどで見かけるMrs Mac’sは、WAと関係の深いパイブランドです。現在も本社と工場はパースにあり、South WestやGreat Southernを含むWAの生産者から牛肉を調達しています。
工場を観光地として訪ねるものではないため、おすすめ店8選には数えていません。しかし、パースでMrs Mac’sのパイを見かけたら、それは単に全国流通する商品というだけでなく、WAから育ったパイ産業の一部です。街のベーカリーと食べ比べると、大量生産の商品と店内で焼くパイの役割の違いも見えてきます。
Mrs Mac’s:Our Story/Mrs Mac’s:使用する食材
旅行スタイル別に一店選ぶなら
パースCBDに短期滞在・車なし
まずGolden BakeryのCBD店へ。移動時間をほとんど使わず、定番のミートパイを試せます。
現代的なパースの食を知りたい
LeedervilleのAngelwood Piesへ。定番と季節の創作パイを比較します。
車なしで町歩きも楽しみたい
列車でGuildfordへ。歴史地区の散策とGuildford Town Bakeryを組み合わせます。
パースから日帰りドライブ
南ならPinjarra Bakery、北東ならToodyay Bakery。食後に町や周辺の観光地を巡れる方を選びます。
Margaret River・Bunbury方面へ南下
Forrest Highway沿いのMiami BakehouseまたはPinjarra Bakeryを休憩地点にします。両方を同日に無理に食べ比べるより、往路と復路に分けると楽しみやすくなります。
Albany・Denmark・Great Southern周遊
Mount Barker Country Bakeryを旅程へ。全国大会の受賞作と地域食材のつながりに注目します。
WAでパイ店を訪れる前に確認したいこと
- 早めの時間に訪れる:地方のベーカリーや小規模店では、人気商品が午後まで残らない場合があります。
- 営業日を確認する:平日のみ営業する店、定休日のある店、祝日に営業時間が変わる店があります。
- 受賞作の販売を確認する:大会で受賞したパイが、常時販売されているとは限りません。
- 店舗を確認する:複数店舗がある店でも、商品、設備、営業時間が同一とは限りません。
- 食事制限は直接確認する:ベジタリアン、ビーガン、グルテンフリーの商品があっても、同じ厨房や設備を使用する場合があります。
- ロードトリップの途中で選ぶ:WAは広いため、パイだけを目的に大きな迂回をせず、町や周辺観光と組み合わせると実用的です。
WAでは、パイ店が次の町への入口になる
パースで短時間に食べるならGolden Bakery、長く続く街の店を知るならJoe’s Bakery、新しいパイを試すならAngelwood Pies。少し足を延ばせば、Guildford、Pinjarra、Toodyayの町歩きへつながります。
さらに南へ向かうロードトリップでは、Miami Bakehouseが休憩地点になり、Mount Barker Country BakeryではGreat SouthernのワインやManjimupのトリュフまで、一個のパイからWAの産地が見えてきます。
ミートパイはオーストラリア全国で食べられる料理ですが、どこで、誰が、どの地域の食材を使って焼くかによって旅の意味は変わります。WAでは、食べたいパイを選ぶことが、そのまま次に訪れる町を選ぶ手がかりになります。
店舗、商品、受賞作の販売、営業時間は変更されます。訪問前に各店の公式サイトやSNSで最新情報を確認してください。この記事は2026年9月時点で確認できた情報をもとに作成しています。