タスマニア生まれのKeen’sのカレーパウダーとは?歴史・選び方・使い道

オーストラリアのスーパーで見かける、「Keen’s」と書かれたカレーパウダー。

実はこのカレー粉、タスマニアの小さな店から広がった、長い歴史を持つ商品なんです。ホバートには、商品名を白い石で大きく描いた丘の広告まであります。

使い道も、カレーをひと鍋作るだけではなく、卵サンドにカレー風味を加えたり、ソーセージをソースで煮込んだりと色々。

この記事では、Keen’sのカレーパウダーについて、歴史、商品の違い、選び方、料理への使い道を紹介します!「日本のカレー粉とどう違うの?」「買っても使い切れるかな?」と気になってい人も参考にしてみてください。

 

Keen’sのカレーパウダーは、どんな商品?

Keen’s Traditional Curry Powderは、複数のスパイスなどを配合した粉末の調味料です。メーカーは、しっかりしたカレーの風味と、中程度の辛さ(medium heat)がある商品として紹介しています。

原材料表示には、ターメリック、コリアンダー、塩、フェヌグリーク、黒こしょう、チリ、米粉、オールスパイス、セロリが並びます。

ソース、ドレッシング、卵料理などにも使える、料理をカレー風味にするための調味料として便利なアイテムです。

(参考:Keen’s Traditional Curry Powder 商品情報)

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日本にもカレー粉はありますが、タスマニアで生まれで、オーストラリアの家庭料理に使われてきたKeen’sは、パッケージもレトロですし、お土産の候補としても良さそうです!

日本のカレールーとの違い

Curry Powder

パウダーなので、当然日本でよく使う固形のカレールーとは別のものです。

日本の一般的なカレールーは、カレー粉に加えて、とろみや味を整える材料が組み合わされていますが、一方、Keen’sのカレーパウダーは、使う料理に合わせて、ストック、玉ねぎ、トマト、ココナッツミルクなどを組み合わせていきます。

米粉は含まれていますが、水に加えるだけで日本のカレーのようなとろみと味が完成する、という使い方ではありません。たとえばメーカーのソーセージ料理では、カレーパウダーとは別に小麦粉とストックを使い、ソースを作っています。

(参考:Keen’s公式 Curried Sausages)

辛さの目安はmedium heat(中程度)ですが、原材料には黒こしょうとチリが含まれ、感じる辛さは使用量や料理によっても変わるので、日本のカレールーの「中辛」と同じ基準ではないと思っていた方がいいかもしれません。

辛さに敏感な人は、最初からたくさん加えるより、少量を使う料理で様子を見ると試しやすいと思います。卵サンドなど、ひと鍋作らずに風味を確かめられる使い方もありますよ。

S&Bの赤缶カレー粉との違い

日本でおなじみのS&Bの赤缶も、Keen’sも、カレー粉の仲間です。ただ、料理にカレー風味を加える使い道は近いものの、配合は異なります。

通常のS&Bの赤缶は、30数種類のスパイス・ハーブを組み合わせたもので、食塩は添加されていません。一方、Keen’sにはスパイスに加えて塩と米粉も入っています。置き換えて使う場合は同じ味になるとは限らず、追加する塩やストックの塩気も考えて調整しましょう。

(参考:S&B 赤缶カレー粉の商品情報/S&B:赤缶カレー粉の食塩について/Keen’sの商品情報)

オーストラリアでも、アジア系食料品店にいけば日本のカレーパウダーは売ってます

始まりはタスマニア。スーパーのカレー粉に隠れた歴史

「タスマニア生まれ」ではあっても「今もタスマニア製」ではない

カレー粉というと、インドなどから輸入された商品を想像するかもしれません。でもKeen’sは、インドの食文化と英国を介したカレーの広がりを背景に、タスマニアで商品として育ったものです。

ABCがカレーの文化史研究者Frieda Moranに取材した記事では、かつて「タスマニアの商品」として売り出していたKeen’sが、1950年代にはインドのイメージを前面に出すようになった変化も紹介されています。地元の調味料から全国へ広がる中で、商品の見せ方も変わっていったんですね。

現在はMcCormickのブランドで、同社は1998年にKeen’sのカレーとマスタードのブランドを取得しています。Colesの60g商品の掲載表示は、輸入原料と国内原料を使ったオーストラリア製です。発祥地、現在の所有企業、製造国、原材料の産地は、それぞれ分けて見るといいですね。

(参考:ABC:タスマニアのカレー文化史/McCormick Australiaの歴史/Coles 60g商品情報)

発祥はKingstonの店で作られた調味料

Keen’sのカレーパウダーを手がけたのは、英国から渡ってきたJoseph Keenです。

1841年にオーストラリアへ渡り、その後タスマニアへ移った彼は、妻Annieと、ホバート南部のBrowns River、現在のKingstonで、ベーカリーや雑貨店などを営み、ソースや調味料を製造・販売していました。カレーパウダーも、そうした商いの中で生まれたものです。

1866年には、メルボルンのInter-Colonial Exhibitionでスパイスの配合がメダルを獲得。その後、1954年に製法と権利がReckitt & Colman Australiaへ売却され、全国へ広がる転機を迎えました。

(参考:Keen’s公式 カレーパウダーの歴史)

ホバートの丘には、現在も巨大な広告があります。

Josephの娘Louisaの夫、Horace Watsonが手がけたもので、マウント・ウェリントンのふもとに白く塗った石を並べて、「KEEN’S CURRY」と大きく書かれたものです。

20世紀初めに作られたこの広告は、Heritage Tasmaniaの資料でも、過去と現在をつなぐランドマークの例として紹介されています。長い間には文字が並べ替えられたこともあり、単なる広告以上の存在として地域の歴史に残っています。

スーパーマーケットで手に取れる調味料の名前が、そのまま丘の上の巨大な文字になっているというのが面白いですね。

(参考:Keen’s公式の歴史/Heritage Tasmania『Assessing Historic Heritage Significance』本文32ページ)

初めて買うなら? カレー粉・マスタード・調理ベースの選び方

Curry Powder

Keen’sを探すときは、ブランド名だけでなく、商品名も見てみてください。公式サイトでは、カレー、マスタード、Meal Basesという調理ベースが紹介されています。

商品 中身・特徴 こんな使い方に
Traditional Curry Powder カレー風味を加える粉末調味料。公式掲載の容量は60g・120g。 カレー、卵サンド、ソーセージの煮込みなど、いくつかの料理に使いたいとき。
Mustard Powder マスタードの種を粉にしたもの。公式掲載の容量は50g・100g。 練りマスタードを作ったり、ソースやマスタード風味の料理に使いたいとき。
Meal Bases 料理に合わせて味を組み立てた調理ベース。Curried SausagesやHoney Mustardなど。 作りたい料理が決まっていて、パッケージの案内に沿って仕上げたいとき。

(参考:Keen’s公式 商品一覧/Mustard Powder 商品情報)

まず味を知りたいなら、カレーパウダーの小さいサイズから

Curry Powder

タスマニア生まれのKeen’sのカレーを試したいなら、選ぶのはTraditional Curry Powderです。

2サイズあるので、カレーや煮込みなどに繰り返し使う予定なのか、お試しなのかで60gと120gが選べます。

大容量は重量当たりの価格が安いことがありますが、スパイスは香りも楽しむもの。使い切る見通しが立たないうちは、小さい方を選ぶといいかもしれませんね。

反対に、今夜はソーセージのカレー煮込みを作りたい、というように料理が決まっているなら、対応する調理ベースも選択肢です。ただし、カレーパウダーと調理ベースは同じ分量で置き換える商品ではありません。レシピにどちらが指定されているかを確認してください。

同じKeen’sでも、マスタードは別のルーツ

カレーパウダーの横には黄色い容器のマスタードパウダーも並んでいます。

同じ会社で一緒に生まれた商品のようですが、実はカレーとマスタードの始まりは別々です。

タスマニアのカレーに関わるのはJoseph Keen。一方、マスタードの歴史に登場するのは、英国のThomas KeenとKeen & Sons。

マスタード側の事業は、合併やColman’sによる買収などを経て、Reckitt & Colmanにつながります。そこへ1954年にタスマニアのKeen’sのカレーが加わり、後に両方がMcCormickのブランドになりました。同じ名前を持つ別の出発点が、企業の歴史の中で合流しているんです。

(参考:Keen’s公式 マスタードの歴史)

Mustard Powderは、ホットドッグなどにそのまま絞るソース状のマスタードとは異なり、粉末です。公式では水でペーストにし、少し置いてから使う方法を案内しています。

マスタード味の料理に興味があるなら、ハニーマスタードチキンなどに使う方法もあります。

(参考:Mustard Powderの使い方/公式 Honey Mustard Chicken)

買った後、何に使う? 試してみたい料理

「さて、カレーパウダーを買ったものの、何に使おう?」という人もいるかもしれないので、Keen’s公式で紹介されている料理から、使い道をイメージしやすいものを挙げておきますね。

卵サンドを、カレー風味に

Curried Egg Sandwichesは、ゆで卵、マヨネーズ、カレーパウダーを合わせた卵サンドです。いつもの卵サンドを思い浮かべると、どんな使い方か分かりやすいのではないでしょうか。

ひと鍋のカレーを作るより少量で試せるので、「まずKeen’sの風味を知りたい」という人の最初の候補に。公式レシピでは、チャイブやロケット、スプラウトも組み合わせています。

オーストラリアの家庭の味、Curried Sausages

Curried Sausagesは、ソーセージをカレー風味のソースで煮込む料理です。Keen’sの使い道として知っておきたい、オーストラリアの家庭料理のひとつです。

メーカーのカレーパウダーを使うレシピには、玉ねぎのほか、りんごやレーズンも入り、スパイスに果物の甘みを組み合わせています。カレーといっても、甘みや付け合わせでいろいろな姿になるんですね。公式にはパンを添える提案もあり、必ずご飯と食べる料理ではありません。

チキンとトマト、ココナッツクリームのカレー

カレーそのものを作ってみたいなら、Keen’s Secret Chicken Curryも参考になります。鶏肉、トマト、ココナッツクリームを使い、Keen’sのカレー粉に、しょうがやにんにく、追加のスパイスを合わせる料理です。

カレー粉を味の土台にして、ほかの材料で香りやソースを作る例としても分かりやすいですね。日本のカレールーのように溶かして完成、という使い方との違いも見えてきます。

じゃがいもの重ね焼きにも

Curried Scalloped Potatoesは、薄切りのじゃがいもや玉ねぎを重ね、カレー風味のソースとチーズで焼く料理です。公式のレシピでは、ソースにココナッツミルクを使っています。

カレー粉は、煮込みだけでなく、こうしたオーブン料理にも使えます。「カレーライスを作るためだけに買う」と考えなくても、食卓に取り入れられそうですね。

タスマニアのカレー風味のホタテパイにも注目

タスマニアでは、カレー風味のホタテパイ(Scallop Pie)も知られています。Keen’sの歴史を知ってから食べると、「どうしてホタテにカレー味?」という組み合わせにも、地域の食文化として興味がわいてきませんか。

タスマニアのカレー文化に興味がわいたら、旅先でホタテパイを味わってみるのも楽しそうです。どんなパイなのか気になる人は、こちらの訪問記事もどうぞ。

→ タスマニア名物ホタテパイをBanjo’s Bakery Cafeで食べよう!

どこで買える? 価格と売り場の探し方

Keen’sのカレーパウダーは、オーストラリア全土のスーパーマーケット(ColesやWoolworthsなど)で買えます。

ハーブ・スパイス売り場にあるはずですが、料理用ソースやレシピベースの売り場に置かれる場合もあるので、分からなければ店員さんに聞いてみてください。

価格の目安として、Colesのオンライン掲載で確認できたカレーパウダーは次のとおりです。

容量 掲載価格 10g当たり
60g A$4.50 A$0.75
120g A$5.75 約A$0.48

※ 価格確認:2026年10月18日。店舗、地域、オンラインの設定、セールにより価格や在庫は変わります。上記はColesの掲載例で、全店舗の販売価格を示すものではありません。

→ Coles:Keen’s Curry Powder 60g
→ Woolworths:Keen’s Curryの検索

購入時は、容量と裏面の表示もチェック

容器の雰囲気やブランド名だけで選ばず、次の点も確認しておくとよいでしょう。

  • 商品名:カレーパウダー、マスタード、調理ベースのどれか。
  • 容量と単価:購入価格だけでなく、使い切れそうな量か。
  • 原材料:カレーパウダーには塩、米粉、セロリなども含まれています。
  • 期限と保存表示:実際に購入する容器の案内を確認。

食品アレルギーなどで避ける原材料がある人は、実物の表示を確認してください。カレーパウダーの商品情報と、調理ベースや完成した料理の原材料は同じではありません。

開封後は香りを保って、少しずつ日常の料理に

スパイスは香りも大事なので、使ったらふたを閉め、直射日光やコンロの熱、湿気を避けて保管しましょう。鍋の湯気が入らないよう、必要な分を乾いたスプーンに取ってから加えると扱いやすくなります。期限や保存方法は、購入した商品の表示に従ってください。

(参考:McCormick:スパイスの保存と香りについて)

Keen’sは、タスマニアの歴史を知るきっかけにもなり、日常の食事にも使える調味料です。最初は卵サンド、次はソーセージの煮込み、というように、作れそうな料理から試してみるのもよさそうです。

いつもなら通り過ぎてしまうスーパーの棚も、商品の背景を知ると少し違って見えるかもしれません。今度Keen’sを見かけたら、ホバートの丘にある大きな文字を思い出してみてください。

オーストラリアの食をもっと知りたい人は、こちらもどうぞ。
→ オーストラリア料理って何? 現地で食べたい定番料理と文化

商品情報・購入先はメーカーおよび小売店の掲載情報を参照しています。原材料、容量、製造表示、品ぞろえは変更されることがあるため、購入時の表示もご確認ください。