このブリュワリーに来る日本人は多くないでしょう。いや、オージーでもそんなにはいないかも?
そんな風に思ってしまう『Merino Brewery (メリノブリュワリー)』は、キャンベルタウンからバスで約40分、ナレラン (Narellan) というサバーブの、関係者以外は立ち入らないような工業地帯の奥にあります。
あまりにもローカル色が強いので、一瞬「よそ者は塩対応だったりして?」と心配になりましたが、それは全くの杞憂。とてもフレンドリーなスタッフさんと、凝った内装や小物でかわいい店内に感動して「はるばる来て良かったな〜!」と大好きになりました。
2024年2月現在、この地域ではここが唯一のブリュワリーみたいです。
メリノブリュワリーについて
先にメリノブリュワリーについて、簡単に説明しますね。
このブリュワリーがあるナレランは、シドニー中心部から西南へ約60km、カムデンカウンシルの静かなサバーブです。
公共交通機関で行くとなると電車とバスを乗り継がないといけないので遠く感じるかもしれませんが、車だと1時間程度で着きます。
そして、メリノブリュワリーは、2021年に元イギリス軍人とオーストラリア陸軍だった2人がオープンしたブリュワリーです。
2 Forge Pl, Narellan NSW 2567
https://merinobrewery.com.au/
木 3.30pm-6pm / 金 3pm-9pm / 土 12pm-9pm / 日 12pm-5pm
週末はフードトラックが来てハンバーガーやピザなどが食べれたり、ライブミュージックが見れたりします。
テイスティングパドルは、4種類で$20です。
素朴ですが、店内や小物がとても凝っていて、こんな奥地 (失礼) にこんな場所があるのか!と、正直驚きました。
これは、地元愛の深さが成せることなのか。
そう、羊がトレードマークな理由は、マッカーサ地域はメリノ羊と歴史的関係が深いからです。
ちょっとだけ、オーストラリアの歴史の話をしますね。
羊がモチーフなのは、マッカーサー地域だから
羊毛産業が盛んなオーストラリアですが、初めてオーストラリアに羊が持ち込まれたのは18世紀末でした。
1797年、イギリス海軍のヘンリー・ウォーターハウス大佐 (Captain Henry Waterhouse) とウィリアム・ケント中尉 (Lieutenant William Kent) は、南アフリカの喜望峰からメリノ羊の群れをオーストラリアに連れて来たのが始まりです。(ちなみに、ウォーターハウス大佐の母親の旧姓は Brewer だそうですよw)
その後、イギリス陸軍大尉でニューサウスウェールズ軍団だったジョン・マッカーサー (John MacArthur) が、当時 Cowpastures と呼ばれていたカムデンパークにメリノ羊を連れて来ました。
マッカーサーはオーストラリアで初めて商業規模の羊毛を輸出した人物として知られていて、1808年に最初の羊毛サンプルをイギリスに送り、1822年には7000kgの羊毛を輸出したと言われています。
つまり、メリノ羊はこの地域の象徴でもあるんですね。
ブリュワリーって歴史と絡んでいることも多くて楽しいですよねー。
そんなブリュワリーで醸造されたビールはどんな感じなのでしょうか。楽しみです!
ということで、まずは以前かからこのブログでもちょこちょとと紹介しているキャンベルタウンからバスに乗ってナレランへ。約40分くらいです。 (バスのルートによって変わります)
バスでナレランへ!
個人的にカムデンという名前はたまに聞くのですが、多分このエリアに来たのは初めてかも?
バスから降りたらすぐショッピングセンターなのですが、事前にリサーチしてたとはいえ、想像以上に大きかったのでびっくりしました。
シドニーシティ郊外にあるような小さなショッピングセンターをイメージしていたので、規模が全然違ってて。
道路両サイドにまたがるように建つショッピングセンター
キャンベルタウンにあるマッカーサースクエア・ショッピングセンターもかなり大きくて驚きましたが、こちらもなかなかですね。
レストランやお店なども想像していた以上にたくさんありました。
後で調べたらこのサバーブ、住めばわざわざ他所に行く必要がないほど何でも揃っていて、子供がいる家庭にも便利な場所らしいです。
近代的な建物の中に、時々歴史がありそうな建物が紛れているのも面白いと思いました。
…とはいえ、やはり田舎の郊外感は否めません。
3人で歩いているのが不思議で非現実的に思えるくらいローカルでマニアックな道を歩いていると、楽しい気持ちとおかしさが同時に込み上げてきて、何だか笑えてきます。
角を曲がると、どんどん工業地帯の雰囲気が出て来ました。
これぞブリュワリーがある場所!という感じの工業地帯が続きます。
でも、グーグルマップがない時代だったら絶対にブリュワリーががあるなんて気付かないだろうし、もし来ても「この先行っても何もないだろうな」と思って、途中で引き返しそうです。
まあまあ歩いて、本当にこんなところにブリュワリーなんてあるの?と思った頃に、やっと辿り着きました!
目が良い友人が「あった!」と言いましたが、私はまだ見えてません (笑)
メリノブリュワリーに到着!
ついにメリノブリュワリーに到着‼︎
週末ならもっと賑やかなんでしょうけど木曜日ですからね、とても静かでした。
オープンのサインは出ていたものの、木曜日は3時半から営業らしいので「まだ3時ちょっと過ぎだけど大丈夫かな〜?」と思いつつ、おそるおそる中に入ってみます。
入り口に近づいてみたら、
とってもかわいくて、ワクワクするブリュワリーでした!
こだわりのフリュワリー
多くのブリュワリーがそうなように、いかにも工場という雰囲気はありますが、よく見ると色々と凝っていて、細部までこだわりを感じる店内です。
トイレの入り口もかわいい!
ここで注文します
店内にはすでにひとりだけ男性のお客さんがいました。 (かなり常連っぽい)
スタッフさんに聞いたところ、まだ3時半になってませんでしたがビールを注文しても良いとのことでした。やった!
メリノブリュワリーのビール
さて、私たちはもちろんパドルを飲む予定ですが、4種類をどれにするか、かなり迷います。
こちらがビールのラインナップです。
私はいつもベーシックなもの、面白いもの、土地に関する名前がついたものを中心に選んでいるので、悩んだ挙句 Hazy Pale Ale、Cream Ale、Camden、Margaritaville Gose にしました。
でも友人と味見しあいこもしたので、大体のビールは飲んだかもです。
ちなみに、脇にあったこのビールは、イギリスの昔ながらの方法で作っているビールだそう。
友人が頼んでたのでちょっと味見させてもらいましたが、濃い茶色のビールは炭酸が入ってなくて、表現するならお酒の入ったお茶的な?
一杯で売り切れたようなので、そんなには作ってないのかもですね。(缶で販売もしてますが)
ということで、かんぱーい!
紙に何のビールを頼んだを書いて渡してくれます。
で、飲んだ感想ですが、ペールエール、クリームエール、ネオンデイドリームはどれも個性があって明らかに味が違うものの、私の表現力では「フルーティで苦味がある」が限界っぽいので、申し訳ない…。
でも、カムデン (IPA) は苦味がほとんどなくて、マルガリータビルゴーゼは、塩味が効いたブラッドオレンジの優しい不思議な味が面白かったです。
せっかく来たので、最後にもういっぱい XPA を飲みましたが、こちらも飲みやすい感じでした。グラスもかわいいですよね。
もちろん缶のビールも売っているので、お土産に買って帰っても良いと思います。
缶だと、こういうのもありました。オーストラリア感が全面に出てますね (笑)
ということで、満足して帰路へ。
…ですが、最後にちょっとハプニング。
バスの乗り継ぎだけちょっと面倒
キャンベルタウン行きのバスに乗るため、最初に降りたショッピングセンターの前に戻って来ました。
そしてトイレに行くついでに、ショッピングセンター前にあったバレンタインのディスプレイの写真撮って遊んでいたら、まだ来ないと思っていたバスがちょうど行ってしまったようです。
仕方ないので、次のバスを待っていたのですが、今度はなんと停車するそぶりもなく行ってしまいました。(そもそも走ってる車線が違った)
ええ??ショッピングセンター前なのに?明らかにバス停で待ってる人がいるのに?さすが車社会の地域…なんて言いつつ、とにかくバスは行ってしまった後。
でも、ナレランとキャンベルタウン間は複数のバス路線があります。色々調べたら違うバス路線の方が早く来るようだったので、移動して無事乗車しました。
やれやれ、このバス捕まえるのが少々面倒かもしれませんね。ちょっとしたアドベンチャー気分でした。
キャンベルタウンについてしまえば、シドニーのセントラル駅行きの電車は15分ごとに出ているので楽勝です。
おわりに
意外な場所で素敵なブリュワリーを見付けてしまって、これだからブリュワリー巡りはやめられません。
車で行けばシティ中心部からそう遠くはないとはいえ、飲むとなったら車はやっぱり不便ですよね。缶ビール買うだけなら良いですけど。
こんなローカルな場所に一緒に来てくれる人がいるのは嬉しいことです。
ワイワイととても楽しかったですし、初めての土地で心細くなりつつも、3人いると安心感が全然違いますね。
またいつかワクワク探検隊やりたいなw
ちなみにこの数ヶ月後、遠く離れたカヤマでここでつくられている、もうひとつのブリュワリーを発見しました。
サウスコーストの町カヤマにある1891年創業の『ザ・グランド (The Grand)』は、宿泊施設を伴うパブです。いかにも歴史のありそうな建物がカッコ良いのですが、でも私はパブではなくてブリュワリーに行きたかったので、不思議に思いま[…]