シドニーには隠れた名所がたくさんありますが、ラベンダーベイにある『ウェンディズ・シークレットガーデン (Wendy’s Secret Garden)』もそのひとつです。
オーストラリアの最も有名なアーティストのひとり、ブレット・ホワイトリーの妻ウェンディが作った庭園で、あちこちに彫刻が置かれている緑豊かな曲がりくねった小道は、冒険心をくすぐります。
シティから遠すぎず近すぎず、ルナパーク遊園地が近いわりには静かなエリアなので、自然の美しさを堪能しながら散歩やピクニックするのはいかがでしょうか。
ウェンディの秘密の庭園
ウエンディズ・シークレットガーデンのあるラベンダーベイは、シドニー中心部から北へ約3km、シドニーハーバーブリッジを挟んだオペラハウスの対岸に位置します。
急な坂道や階段が多く、ちょっとだけ足元も不安定な場所がありますが、ベンチやテーブルもたくさん設置されていますので、休憩するスペースに困ることはないでしょう。
少し上に上がると見晴らしが良くて広い Clarke Park があり、ここも人気スポットです。
ブレット・ホワイトリー (Brett Whiteley 1939–1992) が住んでいた家もこの近くにあります。彼は1970年にこの場所に家を購入し、妻ウエンディや娘のアーキーと住んでいました。
Walker Street にある家はNSWの遺産として保護されています
ブレット・ホワイトリーは、進化していくオーストラリア国民のアイデンティティに影響を与えたと高く評価されているアーティストで、彼の作品の多くはここで生まれています。
作品の中で描かれているシドニーハーバーに浮かぶフェリーや、エキゾチックな植物のある庭園、鉄道の高架橋などは、ここから見える風景でした。
シークレットガーデンについて
現在、ノースシドニーカウンシルとボランティアグループの支援を受けて維持されているウェンディズ・シークレットガーデンですが、ここがそう呼ばれているのは、ウエンディ・ホワイトリーが手がけた庭園だからです。
1992年に薬物の過剰摂取が原因でブレットが亡くなった時、ウェンディは大切な人を失った気持ちを紛らわせるかのように、家の下の荒れた土地を片付け始めます。
鉄道高架橋周辺の伸び切った草やツルを刈り、散らかっていたゴミや不燃物などをきれいにし、悲しみを創造性に変えながら来る日も来る日も作業を続けました。
現在のガーデンは、時には人の手も借りながら、20年以上かけて作り上げたものです。
今も残る古い線路は、かつてのラベンダーベイ駅の名残
実はこのガーデンを作った場所は公共の土地だったのですが、その価値を認められ、2014年にはノースシドニーのガーデンコンペティションで賞を獲得しました。
2015年には正式にニューサウスウェルズ州政府からノースシドニーカウンシルがこの土地を30年借りることになり、2018年にニューサウスウェルズ州の遺産としてナショナルトラストにも登録されています。
そんなガーデンにはピクニックに良さそうなテーブルがあちこちにあり、アート作品も色々と見れるので、機会があれば行ってみてください。特に閉館時間などもないので、いつでも自由に入れます。(ただ、夜は照明があまりなくて危ないので、明るい時間帯にどうぞ)
草木がかなり生い茂ってますので、蚊に刺されやすい人は虫除けスプレーを持参した方が良いかもしれません。
それから、ラベンダーベイやキリビリにはたくさんのレストランやお店がありますが、このガーデン周辺にはないので水分補給のための水なども忘れずに。
トイレは下の Quibaree Park まで降りるか、ルナパークまで行けばあります。
ウェンディズ・シークレットガーデンの行き方
ウェンディーズ・シークレットガーデンの最寄駅はミルソンズポイント駅で、そこから徒歩約5〜10分ほどです。ノースシドニー駅からだと10分ちょっと、バスも通っています。
またはフェリーでミルソンズポイントまで来ても良いですし、もしシティ方面から来るのであればハーバーブリッジを歩いて渡るのも気持ちが良いですよ。もちろん長距離を歩くのが平気ならですが。(ちなみに、私は大体歩いて渡ってます)
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ルナパークを経由するおすすめのウォーキングコース
もしもまだシドニーをあまり知らない、観光をしていないという人は、サーキュラキーからフェリーがおすすめです。
右にオペラハウスを見ながらハーバーブリッジをくぐってミルソンズポイントまで行くので、シドニーを満喫出来ます。
ミルソンズポイントのフェリー発着場所に着いたら、すぐ目の前がルナパークです。
歴史のあるシドニーの遊園地ルナパークは入場無料なので、もし初めてならちょっとのぞいてみても良いかもしれませんね。
インパクトのある大きな顔の入り口は、記念撮影スポットでもあります。
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ラベンダーベイへは、ルナパーク入り口の左側に小さな小道があるので、そこをまっすぐに進みます。
ハーバー沿いにある道なので景色も良いですし、歩くだけでも気持ちが良いですよ。
途中にはルナパークの専属アーティストだったアート・バートンを記念した公園があり、オーストラリアで古くから親しまれている児童文学や漫画のキャラクターの彫刻が道の両サイドにポツポツと建っている『コミックウォーク (Comic Walk)』もあります。
そのコミックウォークが終わるあたりにお手洗いの建物があり、その右手の古い高架橋の奥がウエンディズ・シークレットガーデンに上がる階段です。
この階段を上がってくださいね
その他の関連インフォメーション
ノースシドニー・パブリックアートトレイル
ノースシドニーカウンシルが管理するウェンディズ・シークレットガーデンは、コミックウォークも含めてノースシドニーのパブリックアートトレイルの一部でもあります。
専用アプリを取得すれば、オーディオ付きの地図を見ながらのウォーキングも可能です。詳しくはこちらから。
シークレットガーデンとチョコレートのコラボ
チョコレート専門店『Coco Chocolate』では、シークレットガーデンシリーズとしてブレット・ホワイトリーの有名な絵をプリントしたパッケージのチョコレートも売られています。
収益は全てウェンディ・シークレットガーデンの維持のために寄付されるそうです。
https://cocochocolate.com.au/ より
- ラベンダーミルクチョコレート – Brett Whiteley’s The balcony 2, 1975)
- オレンジダークチョコレート – Brett Whiteley’s Big orange (sunset,) 1974
- ヘーゼルナッツ & シーソルトホワイトチョコレート – Brett Whiteley’s Self portrait in the studio, 1976
お店はミルソンズポイント駅の近く、キリビリにあるのでシークレットガーデンからも近いです。
ブレット・ホワイトリースタジオ
ブレット・ホワイトリーの作品が見たい人は、サリーヒルズにある『ブレット・ホワイトリースタジオ』に行ってみてください。
ここはもうひとつの自宅兼アートスタジオだった場所で、彼の絵画や彫刻などが展示されています。入場は無料です。
また、彼のデザインしたアートは、シドニーのニューサウスウェルズ州立美術館裏やニューカッスルの美術館前にも見ることが出来ます。
おわりに
ラベンダーベイは、シドニーハーバーに浮かぶオペラハウスやハーバーブリッジも見れますし、自然の美しさの調和が楽しめるエリアです。
ですが、1788年に西洋人が入植した時に最初に作ったポートジャクソン (ロックス) の開拓地からも近いこともあり、興味深い歴史も多く残っています。
そういう歴史に思いを馳せても良いですし、この周辺は素敵なレストランやカフェも多いので、時間があれば散策するのも楽しいでしょうね。