シドニー中心部から南へ約10km、シドニー空港にも近いウォライクリーク (Wolli Creek) は、モダンな高層アパートが建ち並び、クックス川沿いの広い公園ではウォーキングやスポーツなどが楽しめます。
中心部はアジア人街の雰囲気が漂っていますが、ハーストビルやイーストウッドほど規模は大きくなく、コンパクトにまとまっている印象があるエリアです。
空港が近いためホテルもいくつかあり、旅行者に全く関係のない地域というわけでもありません。
そんなウォライクリークについて、見どころや歴史などをまとめました!
シンプルな印象のあるウォライクリーク
ウォライクリークは、かつてノースアーンクリフと呼ばれていたことからも分かるように、アーンクリフの北側にあります。
「Wolli」を「ウォライ」と読むので、シドニーに馴染みがない外国人は読めませんよね。この名前は先住民の言葉で「キャンプ」という意味があり、北境界線にある水路が由来しています。
工業地帯だったエリアは2000年頃に再開発され、2002年には投票により正式にウォライクリークという名前になりました。
現在このエリアを歩くと、モダンな高層アパートが多くあることに気付くでしょう。私は、きれいにまとまったシンプルな町という印象を受けました。
ウォライクリークの主な楽しみ方
- クックス川沿いをウォーキング
- テニス、クリケット、カヤックなど
- 歴史の跡を訪ねる
- アジア料理を楽しむ
- 川沿いのカフェやレストランで食事
ウォライクリークまでの公共交通機関
ウォライクリークにはウォライクリーク駅があり、シドニー中心部から電車1本で行けます。バスも出ていて、交通の便は良いです。
もし時間に余裕があれば、シドニー国際空港から歩くことも可能です。(国内線から歩くとなるとまあまあの距離ですが、気持ちの良い散歩コースです)
2000年にオープンしたというウォライクリーク駅。階段を上る駅が多いですが、ウォライクリーク駅は下りていくタイプ。
そして、この駅の向かい側にあるのがビレッジ・スクエアです。
ウォライクリークの飲食店はこのビレッジ・スクエア周辺に集中しているので、食事をするならここに来れば間違いないでしょう。
お店はビレッジ・スクエアに集中
ビレッジ・スクエアには、中国やベトナムなどアジア系の飲食店、アジアングロッサリー、薬局など多くの店が並んでいます。
アジア人が多いエリアは、お酒が飲めるパブやバーは少ない傾向にありますが、バブルティーなどの飲み物屋さんは多いですよね。
※ ここによく来るという人から『SongSong Dining (爽爽饭堂)』がおすすめと教えてもらいました。ロブスター (プレオーダー) など普通のチャイニーズレストランの相場よりリーズナブルで、おいしいそうです。
ただ、ここには本当にアジア系の飲食店しかないので、いわゆるオーストラリア系のカフェやレストランに行きたいのなら Cahill Park の方に数軒あります。詳しくは記事の後半で紹介しますね。
スーパーマーケットなど
アジアングロッサリーはビレッジ・スクエアにありますが、そこから少し離れたところにローカルスーパーマーケットのウールワースやダンマーフィ (ボトルショップ)、アルディなどがあります。
ウールワースの歩道には、歴史に関する説明書きもありました。
歴史の跡を辿る
看板の説明によると、この場所にテンピーホテルがあったようです。唯一の面影が看板後ろにあるサンドストーンのブロックだと。
テンピーホテルは、テンピーハウスの敷地内に1870年に建てられ、持ち主が数回変わりつつも、20世紀初頭には取り壊されています。それなのにこうやって説明書きの看板が建てられているなんて、よっぽどこの地の重要なランドマークだったのでしょうね。
ホテル跡や出土されたものなど
その近くには、こんな記念碑も。これはグーグルマップにも「Plaque making St Magdalen’s Retreat, Tempe House and Tempe Estate」と表示が出ていました。
ここにはウォライクリークの核となる歴史について書かれています。
この場所はかつてテンピーエステートと呼ばれる11.5ヘクタール以上の土地だったそうで、テンピーハウスが建つ敷地には聖マグダレン・リトリートがありました。
聖マグダレン・リトリートは、助けを必要とする女性の避難所や教育、訓練をする場所として使われていた施設です。1885年に善きサマリア人修道女会が土地を購入して運営され、1900年には100人もの女性がここで生活し、洗濯業の仕事をしていたとのことです。
建物は時代は移り変わりとともに、ディスカバリーポイントの公園建設時に取り壊されましたが、テンピーハウスや聖マグダレン礼拝堂は現在も残っています。
ということで、次にそれらの歴史的建造物があるディスカバリーポイントや、ウォライクリークのもうひとつの見どころである公園を紹介します。
ウォライクリークの公園
先ほど紹介した記念碑の斜め向かい側 (Brodie Spark Drive) に、茶色い教会が見えます。それが聖マグダレン礼拝堂で、そこから奥に入るとディスカバリーポイントパークがあります。
大通りのプリンセス・ハイウェイ側にも門がありますが、私が行った時は南京錠がかかっていて入れなかったので、礼拝堂の横から入った方が確実かもしれません。
Discovery Point Park
広い芝生の中に建っているのが、テンピーハウスです。
テンピーハウスは、1836年に当時の有名な建築家ジョン・バージ (John Verge) の設計で建てられたもので、もともとは1826年にこの土地を購入したアレクサンダー・ブロディー・スパーク (Alexander Brodie Spark) のために建設されました。名前はギリシャ神話の舞台にもなっているオリンポス山の美しい渓谷 Tempe が由来しています。
その後、キャロライン・チザム (Caroline Chisholm) がテンピーハウスをリースして、1863年〜1865年までグリーンバンクという女子寄宿舎を運営。1885年に善きサマリア人修道女会が土地を購入し、同年には聖マグダレン礼拝堂も建てられました。こうしてこの場所は聖マグダレン・リトリートとして約1世紀にわたって女性の避難場所に使用されたのです。(1982年に閉鎖)
この家は、定期的に一般公開もされているようですよ。
Waterfront Park
ディスカバーポイントパークの北側には、ウォーターフロントパークという小さな公園もあります。
アート作品も
そして、眺めが良いクックス川沿いの大きな公園、ケールパークもおすすめです。
Cahill Park
クックス側に面したケールパーク (Cahill Park、ケヒルパークとも) には、プレイグラウンドやバーベキュー台、クリケットやラグビーが出来る広いグラウンドなどがあります。
川の反対側には空港があるので、ちょっと遠いですが、時々飛行機が飛び立つ姿も。
とてものどかできれいな公園です
この公園周辺にはアジア系ではない飲食店が数軒あるので、そちらも紹介しますね。
Rowers On Cooks River
モダンオーストラリア料理を提供するダイニング & バーで、シドニー空港も近く、クックス川が望めるウォーターフロント。ボート競技をサポートするSt George Rowing Club の拠点でもあり、カヌーやカヤックを借りることも出来ます。
1 Levey Street, Wolli Creek NSW 2205
https://rowersoncooksriver.com.au/
毎日 11am–11pm (Mint Dining: 11.30am–3pm / 5pm-9pm Tapas & Small Plates Only: 金〜日 3pm-5pm
Where’s Wolli Cafe
ワッフルも食べられるカフェは、思わず写真を撮りたくなるようなフォトジェニックな料理がたくさん!コーヒーは Campos Coffee です。
Calypso Cafe & Juice Bar
細い路地を通って、Novotel Hotel の向かい側にあるカフェ。とても小さいお店ですが、覗いた時はお客さんで溢れていました。コーヒーは Adoreで、ラテアートがとてもかわいいみたいです。マトラビルにも同名のカフェがあるんですが、おそらくそちらが旗艦店ではないかと思います。
3/20 Levey St Wolli Creek NSW 2205
月〜金 6.30pm-3.30pm / 土・日 7am-4pm
The Marke Kitchen & Bar
Novotel Hotel (Sydney International Airport) の中にあるキッチン & バーは、シドニー空港の国際ターミナルから約1kmの距離にあります。
オーストラリア産の食材にこだわり、新鮮さや旬を大切にしています。インテリアは、シドニーの自然の美しさと色彩豊かな都市生活にインスピレーションを受けたそうです。
22 Levey Street, Wolli Creek, NSW 2205
https://themarke.com.au/
朝食: 5.30am-10am 昼食: 11am-16.30pm 夕食: 5pm-9pm バー: 月〜土 4pm-10.45pm / 日 5pm-11pm
Kals on Cahill
地中海の味を融合させたモダンオーストラリア料理を提供するカフェは、遊具があるプレイグラウンドのすぐ隣にあり、公園のお手洗いとも隣接しています。道路を渡ればウールワースのスーパーマーケットもすぐ近く。コーヒーは Toby’s Estate です。
2 Princes Highway, Wolli Creek NSW 2205
https://www.facebook.com/kalsoncahill/
火〜金 7am-3pm / 土・日 8am-3pm
ちなみに、ここから更に北東へ向かって歩き、プリンセスハイウェイの橋を渡れば、テンピーに着きます。
ここを渡ればテンピー
逆にケールパークの南側、Marsh Street の橋を渡れば、シドニー空港があるマスコットに行きます。
Dharaggang Park Wolli Creek Town Park
内陸側にはバスケットボールのゴールやフィットネス器具、遊具などが揃った素敵な公園も。卓球台や充電ポートまであるみたいですよ。
おわりに
ウォライクリークは交通の便が良く、美しい公園や飲食店も揃っているので、特にアジア人にとっても住みやすいエリアではないでしょうか。
お隣のサバーブ、アーンクリフに行くと、だんだん雰囲気が変わって来ます。でもそちら側には特に何があるというわけではないので、もし散策するなら橋を渡ってテンピーに行くか、シドニー空港もしくはマスコットに行くと良いかもしれません。