オーストラリアの国旗って、ちょっとかっこよくないですか?
やっぱり左に付いているユニオンジャックと右側の南十字星が良いんですかね〜。
私この国旗が好きで、昔よくおみやげ屋さんなどで売られているオーストラリア国旗グッズを色々と集めていました。
1月26日のオーストラリアデーが近くなると、あちこちでオーストラリア国旗のグッズが売られるようにもなります。
今回は、このオーストラリア国旗の意味と由来について詳しくみて行きましょう!
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国旗の意味
オーストラリアの国旗を見てください。
左上にユニオンジャック(Union Jack) と呼ばれるイギリスの国旗がありますよね。
オーストラリアの国旗
イギリス国旗
こんな風にユニオンジャックが付いている国旗は結構ありますが、これが付いているとその国はイギリス連邦国だという事がすぐに分かります。
イギリス連邦国というのはイギリスと提携している国の事で、イメージ的にはイギリスがお母さんでオーストラリアが子供という感じでしょうか…。
説明すると長くなりそうなので、気になる人は別記事を読んでみて欲しいのですが、とにかくオーストラリアはイギリスの植民地として始まっているのでイギリスとは深い関係にあり、イギリスの女王エリザベス二世はオーストラリアの女王でもあります。
そしてユニオンジャックの下にある大きな星は、コモンウェルススターと呼ばれ、よく見るととがった部分が7つある七綾星 (しちりょうせいと読みます) になっています。
何故七綾星 なのかと言うと、とがった部分は連邦を表していて、オーストラリアが6つの州と特別地域から成る連邦国という意味です。(この場合の連邦国はイギリス連邦とは別の意味です。)
6つの州とはクイーンズランド州(QLD)・ニューサウスウェルス州(NSW)・ビクトリア州(VIC) ・ 南オーストラリア州(SA)・タスマニア州(TAS)・西オーストラリア州(WA) の事。
特別地域はノーザンテリトリー(NT)・オーストラリア首都特別地域(ACT) 、それとパプアニューギニアにあるオーストラリア領の事です。
右側の南十字星(サザンクロス)は南半球を象徴する星座で、オーストラリアが南半球にある事を表しています。
※ もしも南半球の星座についてもっと知りたい人は → 絵で見る南半球の星空 を読んでください。
ここでちょっと余談ですが、ニュージーランドの国旗にも南十字星が描かれていますが、オーストラリアのものとちょっと違いませんか?
ニュージーランド国旗
オーストラリア国旗の南十字星をよく見ると、4つの七綾星の中に小さな五綾星がありますよね。
この小さな星、実際の南十字星にも存在しますが、光が弱いので肉眼ではなかなか見えにくい星です。芸が細かいですね〜。
現在の国旗になるまで
さて、このオーストラリアの国旗が今のようなデザインになるまでには、3度ほど微妙な変更がされているんです。
1901年にオーストラリアがイギリスから独立し、オーストラリアはオーストラリア連邦国として独自の国旗が必要になりました。
そこで、新たに誕生したオーストラリア政府がメルボルンの月刊誌にて£200の賞金付きで国旗デザインコンテストを開催し、32823の応募の中から選出されたのが今の国旗の原型です。
この国旗は5人がほぼ同デザインだった為に賞金は山分けになったそうですが、1901年9月3日に発表された時には今と少しデザインが違いました。
ユニオンジャックの下の星は現在のような七綾星ではなく六綾星で、そして南十字星の星のとがった部分の数もバラバラ。しかも民間の旗は赤地、政府は青地と分けられました。
※画像はhttp://www.ausflag.com.au/brief_history.aspからです。
何故こんな色分けがされたかと言うと、この色分けはブルー・エンサイン(Blue Ensign)、レッド・エンサイン(Red Ensign)と呼ばれるユニオンジャックが左上に配置されている旗の事ですが、もともとはイギリス海軍が使用していたものにならったからです。
Blue Ensign
ニュージーランドも含めこれがベースになっている国旗は現在でも結構あり、今はもう変わりましたがカナダの旧国旗にもレッド・エンサインが使われていたんですよ。
興味があれば、分かりやすくまとめてくれてあるサイトがあったのでリンクを載せておきますね。オーストラリアの州別にある州旗まで載せてくれてます。
https://matome.naver.jp
この色分けは現在でも赤が商船用、青が政府用、 白が海軍用と区別されて使用されているそうです。
そう、この白いオーストラリア国旗、私も初めてシドニー湾で見た時に「何で白いんだろう?」と不思議だったんですよね。
という事で、こうした事からも分かるようにオーストラリアの国旗はイギリスの影響をかなり受けています。
当時のオーストラリア人のほとんどの人が自分をイギリ人だと思っていたそうですから無理はないのかもしれませんが、イギリス系移民じゃない人たちや先住民の人たちにとっては当然不満があり様々な議論があったようです。
そんな中、この国旗は1903年に当時のイギリス王だったエドワード七世 (King Edward VII世)によって一度は正式に承認されたのですが、その後3度ほどデザインを変更する事になります。
まず1903年、製造の容易さを考慮して南十字星のバラバラだった星4つをを七綾星に統一。
そして1906年、オーストラリアがパプアニューギニアの領土獲得を機に、1908年にユニオンジャックの下にある六綾星を特別地域も含んだ6州である事を示す為に七綾星に変更しました。
ちなみに1911年に、南オーストラリア州の一部だった場所がノーザンテリトリーとして成立したり、ACT(Australian Capital Territory)が首都の特別地域として決定されたりした時には特に国旗の変更はなく、七綾星の中に既に含まれているという事だったようです。
しかし、この頃もまだ赤と青と2種類の国旗を使用しており、それは正式な法律として承認されていなかった事もあり国内外で混乱を招いていました。
現在のような旗が正式にオーストラリアの国旗となったのは、戦後1953年に国会で制定された国旗法 (Flag Act) によってです。
この法律は、1954年4月15日にエリザベス女王二世が初めてオーストラリアを訪問した際に承認され、最初の国旗を募集してから53年目にやっと正式な国旗が決定されたのでした。
アボリジニの人たちの旗
このブログの冒頭で「オーストラリアの国旗はかっこいい。」と言いましたが、私は所詮 “オーストラリア在住の日本人” という立場なのでそう思うのかもしれません。
このイギリスの影響を色濃く残した国旗に懸念を持つ人は昔からいるようですし、ましてや先住民にとっては受け入れ難いだろうと思います。
そんな時に現れたのが、1971年にアボリジナルアーティストであるHarold Joseph Thomasがデザインしたアボリジニの旗。
この旗はもともとは土地の権利を主張する運動の為に作られたものでしたが、国旗法によって1995年7月に正式に認められました。
ここら辺を書くと長くなるのでまた別の機会にしますが、とにかくオーストラリアに住んでいるとオーストラリア国旗と一緒に掲げられているアボリジニの旗を見る機会は何かと多いはずです。
黒はアボリジニの人々を、赤はアボリジニの人たちが古来より儀式などで繋がってきた霊的な赤い土地を、黄色は生命と保護を意味する太陽を表しています。
トレス海峡島民の旗
それともうひとつ、トレス海峡諸島民の旗(Terres Strait Islander Flag )という旗もあります。
この旗、オーストラリアに在住している人なら見覚えのある人も多いのではないでしょか?
1992年に地元の公募でアボリジニとトレス海峡委員会によって選ばれたBernard Namokのデザインしたこの旗は、アボリジニの旗と同じく1995年に国旗法で公式に認められています。
緑は土地、青はトレス海峡の水、黒いラインはトレス海峡の人々を表しています。
そして白い五綾星は5つの島のメイングループと航海を意味し、白は Dhari と呼ばれるトレス海峡の伝統的なダンスで使われる頭の飾りがモチーフで、トレス海峡島民のアイデンティティと平和を象徴しています。
トレス海峡諸島がどこにあるか分かりますか?
トレス海峡諸島はオーストラリアのクイーンズランド州に所属している274の小島からなる諸島ですが、実際に人が住んでいる島は12島 というオーストラリアのケープヨークとパプアニューギニアの間に位置する諸島です。
特に木曜島 (Thursday Island) は戦前から日本人が命がけで真珠を採っていた場所としても有名で、当時の様子を書いた司馬遼太郎の『木曜島の夜会』は、とても興味深く読みました。
ここはオーストラリア領でありながら、トレス海峡独自の政府が統治を行っている少し不思議な場所。
独自の旗が欲しいのも納得です。
おわりに
いかがでしたか?
普段なにげなく見ていた国旗にも意外に色んな歴史があったんですよね。
オーストラリアはイギリスやヨーロッパの事情や原住民などの問題など、色々と複雑な絡みがある国です。
実は、オーストラリアデイやオーストラリア国旗を変更しようという話も度々出ていますが、今の所変更はありません。
そもそも移民が増え、イギリスにルーツを持たないオーストラリア人が増えてきた昨今、オーストラリアのアイデンティティは揺らいでいるようですし、10年後、20年後にどうなっているかは分からないですね。