この間、夜中に目が覚めて眠れなくなってしまったので、窓の外をしばらくぼーっと眺めていてつくづく思ったんですが、シドニー市内って真夜中でも明るいんですよね。
アパートの周りはビルだらけでオフィスも多く、一晩中電気がついていて星なんてほとんど見えません。
午前3時40分
そう言えば、いつから星を見なくなったんでしょう。昔は南半球の星空が珍しくて、しょっちゅう南十字星を探して遊んでたんですけどね。
という事で、シドニーの空を見上げて南半球の星空に想いを馳せて、詳しく調べてみました。
南半球の星空
オーストラリアは南半球にある国なので、北半球の日本全て真逆。北へ行くほど暑くなり南に行くほど寒くなり、季節も日本が夏の時オーストラリアは冬。
そんなオーストラリアの星空は北半球とはちょっと違って興味深いもので、南半球でしか見れない星座もあるし、 日本でおなじみの星は逆さまに見えます。
何故逆さに見えるのか?それは、北半球から見ると空を逆さまに見ている事になるからです。慣れないと不思議な気がするかもしれませんね。
月も同様に満ち欠けが北半球と南半球では逆方向から欠けていくので、最初はすごく違和感でした。反対側から見ているので、考えてみると当たり前なんですけどね。
南半球の星豆知識
北半球の星座の名前はギリシャ神話などの昔から由来するものが多いですが、南半球の星座の名前はちょっと風変わり。
古代より星は様々な国・時代で観測され、昔の人は星と星を結んで神話になぞったり暦や占いに星を利用して来ましたが、南半球の星座が発見されたのは15世紀頃から17世紀頃の大航海時代です。
西洋人たちが新大陸を求めて未知とされていた南半球にも出て行くようになり、今まで見たことのなかった南半球の星座がどんどんと発見されていきました。そして、多くの天文学者が新星座を作り名前が付けられていったのです。
だから南半球の星座には、近代的な航海の道具や当時珍しかった南半球の動物の名前が多く付けられています。
現在の星座は全世界で88種類という事で確定されています。これは、当時多くの天文学者たちが星座を作ったので増えて混乱して来た為、1928年に国際天文学連合(IAU)によって88星座に整理されたもので、2世紀頃にギリシャの天文学者プトレマイオスによって整理された48星座の多くも含まれています。
大航海時代頃の話
南十字星を見つけよう!
さて、最も有名な南半球の星座、南十字星を実際に探してみましょう。
オーストラリア国旗にもしっかりと描かれている南十字星は、正式にはみなみじゅうじ座 (Crux)と言い、英語でサザンクロス(Southern Cross)。赤経12.5度、赤緯マイナス60度に位置し、天体の中では最も小さい星座なんだそうです。
南十字星は日本でも南の方なら何とか見る事が出来るらしいですが、オーストラリアでは、コツさえ分かれば簡単に見付ける事が出来ます。
南十字星の探し方
南十字星は南にあるので南の空をみて、天の川 (Milky Way) の上にキラキラ輝く大きな目立つ星を2つ探します。その2つの星はαとβと呼ばれるケンタウルス座の脚の部分で、その大きく輝く星の近くに南十字星はあるはずです。
天の川が見えにくい場合は、とにかく南の空にケンタウルス座のαとβを探してください。季節によって星の角度は変わります。
目が良ければ南十字星の左下にある石炭袋 (コールサック Caldwell 99) と呼ばれる一部暗くなっている部分が肉眼でも見えるかもしれません。
ニセ十字も探してみよう
南十字星が見つかったら、南十字星に間違いやすいニセ十字 (False Cross) も探してみましょう。
ニセ十字というのは、りゅうこつ座とほ座から出来る南十字星にそっくりな星で、正式な星座ではないのですが、南十字星と間違われやすいのでこう呼ばれています。
ちなみに昔のアボリジニの人たちは、南十字星の事を赤エイ、石炭袋をエミューが卵を抱く姿、ケンタウルス座のαとβをサメに見立てていたそうですよ。
重要な役割のある南十字星
ちなみに、星は昔から航海の目印に重要な役割を果たして来ましたが、北半球で見える北極星 (Pole Star, Polaris) のように常に動かない明るい星が南半球にはありません。
一応はちぶんぎ座の中に南極を示す星があるにはありますが暗くてよく見えないので、通常は南十字星を目印に位置を測ります。
なので、北極星が北の位置を示すのに対して、南極は南十字星の縦に長い部分を4.5倍伸ばした位置 という事になります。
南半球でしか見れない星座たち
南半球でしか見る事の出来ない星座は以下の9種類です。
- みなみのさんかく座 (Triangulum Australe)
- くじゃく座 (Pavo)
- ふうちょう座 (Apus)
- はえ座 (Musca)
- カメレオン座 (Chamaeleon)
- はちぶんぎ座 (Octans)
- テーブルさん座 (Octans)
- みずへび座 (Hydrus)
- とびうお座 (Volans)
もう一度、これ載せておきますね
星座の英語名は全てラテン語なので耳慣れないのは理解出来ますが、日本語でも不思議な名前がたくさんあるので、ちょっと調べてみました。
エリダヌス座 (Eridanus) … 場所には諸説があるが、川の名前。
テーブルさん座 (Mensa) … 南アフリカのテーブル山。
きょしちょう座 (Tucana) … 南米の鳥。
ふうちょう座 (Apus) … ニューギニアに生息する鳥。
がか座 (Pictor) … 画架、絵を描くイーゼルの事。
ちょうこくぐ座 (Caelum) … 漢字で書くと『彫刻具』。
はちぶんぎ座 (Octans) … 天体観測に使われる扇型をした八分儀という道具。
りゅうこつ座 (Carina) … 船の構造のことで漢字で書くと竜骨。
レチクル座 (Reticulum) … 天体望遠鏡のレンズに着ける十字の目印。
ろ座 (Fornax) … フラスコを加熱する為の炉。
なるほど。ひらがなで書くと分かりにくいですね。
星雲も要チェック
星座の他に、南半球でぜひ見ておきたいのが星雲です。
エータカリーナ星雲
南十字星の右側、ニセ十字との間にあるエータカリーナ星雲 (Eta Carina Nebula) という赤く明るい星雲は、肉眼でも見えるかもしれません。
この星雲は19世紀頃に起きた大爆発で発生したのではないかと言われていて、大量のガスやチリによる散光星雲というタイプの星雲です。
この星雲の中心にあるエータカリーナは銀河系で一番明るい恒星で、地球から6万5千光年離れていると推定されています。
大マゼラン・小マゼラン
そして大マゼラン雲と小マゼラン雲 (Magellanic Clouds, Nubeculae Magellani)。
肉眼では雲のように見えますが、銀河系をまわっている星の集まりで、伴銀河 (Satellite galaxy)と言うらしいです。
地球から大マゼラン雲は約15万光年、小マゼラン雲は約17万光年離れている銀河の一部なんです。
星座を英語で覚えよう!
せっかく星の話題なので、12星座の英語も載せておきます。
一般的な普通の星座は Constellation と言い、12星座は Zodiac Signsです。天文学は Astronomy、占星術は Astrology、占いで使う天体配置図はHoroscopeですね。
牡羊座 (Aries)
牡牛座 (Taurus)
双子座 (Gemini)
蟹座 (Cancer)
獅子座 (Leo)
乙女座 (Virgo)
天秤座 (Libra)
蠍座 (Scorpio)
射手座 (Sagittarius)
山羊座 (Capricorn)
水瓶座 (Aquarius)
魚座 (Pisces)
ついでに惑星も覚えよう!
水星 (Mercury)
金星 (Venus)
地球 (Earth)
火星 (Mars)
木星 (Jupiter)
土星 (Saturn)
天王星 (Uranus)
海王星 (Neptune)
冥王星 (Pluto)
地球ですが、カタカナ発音で「アース」と発音してしまうと、ネイティブにはAss (肛門) に聞こえてしまうので注意してくださいね。ˈəːθ(イギリス)、ˈɚːθ(アメリカ) です。
まとめ
天体観測は、明かりの少ない新月がベスト。
オーストラリアではちょっと内陸へ入っていくとすごい星の数ですので、暖かくして星空を観察してくださいね。
星をきれいに写真に収めたければ、やっぱり一眼レフなどそれなりの道具が必要ですね〜。