3月末〜4月頃になると、イースター (Easter) のディスプレイをあちこちで見掛けるようになります。
イースターはもともとキリスト教のお祝いなので日本人にはあまり馴染みがないと思いますが、オーストラリアでは大きなイベントで、各地で様々なイベントが開催され4日間はイースターホリデーと呼ばれる祝日となります。
では、このイースターとは一体何なのか?詳しく見ていきましょう。
※ イースターの日は年によって違い、祝日も州によって若干異なります。
イースターは何を祝うのか
イースターとは何なのか?
日本語では復活祭と訳されますが、その名の通りイエス・キリストが復活したお祝いです。
イエス・キリストは十字架にかけられ亡くなった事はキリスト教徒でなくても知っていると思いますが、実はその3日後に生き返ったと言い伝えられていて、これはキリスト教徒にとってとても重大な意味を持ちます。それを祝うイベントなんです。
『新約聖書』には、十字架にかけられた後すぐ墓に安置したはずのイエス・キリストの亡骸が次の日に消え、その後、弟子たちの前にキリストが姿を現した事が書かれています。
- 金曜 (Good Friday)
キリストが十字架にかけられて亡くなった日 - 土曜日 (Holly Saturday又はEaster Eve)
キリストが墓に安置された日 - 日曜日 (Easter Sunday)
キリストの遺体が墓から消えた日 - 月曜日 (Easter Monday)
この4日間は基本的にイースターホリデーと呼ばれる祝日ですが、州で異なる場合があるので詳しくは日付と一緒にPublic holidays | australia.gov.auで確認してください。
特に金曜日はスーパーマーケットが閉まったり、レストランに祝日料金が上乗せされたりするので要注意。
イースターの時期
イースターの日付けが毎年違うのは、春分の日 (南半球のオーストラリアは秋分の日) から数えて最初の満月の後の金・土・日・月曜日だからです。
ただし宗派によっても少し違うようで、オーストラリアはカトリックやプロテスタント系など西方教会 (Western Christianity) に属する人が多いので、3月22日から4月25日の間になりますが、中近東を中心とした東方正教会 (Eastern Christianity) の一部ではユリウス暦を使っているので4月4日から5月8日の間になったりするようです。
でも、普段私たちが使用しているいわゆるカレンダー通りの日付はグレゴリオ暦なのになぜ日付が変わるのか?
それはイエス・キリストの生きた時代の暦はユダヤ暦だったそうで、今の暦では正確に日付けを算出出来ないので、月の満ち欠けとあわせて日付を決めるようになったそうです。
こういったややこしさが日本でなかなか定着しない原因ではないかとも言われています。
ちなみに、イースターの語源はゲルマン民族の神話に出てくる春の女神エオストレ (Eostre) が由来していて、北半球の地域では春の訪れを感じる行事にもなっていますが、南半球のオーストラリアはイースターが終わる頃から寒くなって来るので秋の訪れを感じる行事です。
イースターには何をするの?
伝統的には家族や親しい人たちと食事をする日なので、我が家は家族で集まってレストランに行ったり、お互いにイースターのチョコレートを送ったりします。人によってはカードを送る人もいるようです。
小さな子供がいる家では庭に隠されたイースターエッグ (プラスチック製かチョコレート) を探すエッグハントをしたり、卵に色付けをしたりも。
連休なので家族で出掛ける人も多いですし、各地で様々なイベントも開催されます。
2007年ゴールドコーストのエッグハントイベント
シドニーやメルボルンだと、ロイヤルイースターショーというイベントが有名ですね。
敬虔なキリスト教徒はイースターまでの40日間 (日曜日は入らないので実際は46日間) は “Lent” といってキリストの死を偲ぶ期間として、嗜好品を避けて食べる物に配慮するそう。中世くらいまでは断食をしていましたが、時代が下ると卵や魚を食べないようになり、だんだんとゆるやかに変わってきたようです。
40日間と言うのはキリストの40日間の断食、モーゼがシナイ山で過ごした40日間、預言者エリヤが歩き続けた40日、ノアの箱船で有名な大洪水が続いた40日間などに起因しています。
そこまでする人は私の周りにはいませんし、むしろただ楽しいイベント化されているような印象を受けますね。
ホットクロスバン
イースターの食べ物と言えば、キリストが十字架に架けられた金曜日にホットクロスバン(Hot Cross Buns) を食べる習慣があります。
これは18世紀頃のイギリスで始まった文化だそうで、上に十字架のような模様のついたドライフルーツやシナモンなどを混ぜ込んだパンは魔除けになるとか幸せになれるとか、数え切れないくらいの言い伝えがあります。
普通にベーカリーやスーパーマーケットで売っているので見てみてください。
町で見掛けるイースターチョコレート
28 March 2015 サーキュラキーにて
2015年にサーキュラキーで見たカドベリーの巨大エッグチョコレートは感動しましたが、イースターと言えばチョコレートを大切な人に贈りあう文化もあります。
ホテルのロビーに飾られていたチョコレートもかわいかったです。
イースターのモチーフとされるウサギやヒヨコ、卵などのチョコレートは、2月ごろからスーパーマーケットでも数多く見掛けるようになります。
あるホテルでパブロバを頼んだら、イースターチョコレートが乗ってました!
なぜウサギやヒヨコや卵などがモチーフなの?
でも、なぜウサギやヒヨコや卵などがイースターのモチーフに使われるのでしょうか?
それは「復活」がキーワードになっています。
ウサギは女神エオストレの化身、もしくは使いだったと言われ、生命の復活や春のシンボルです。また、ウサギは子供をたくさん産むので子孫繁栄のシンボルでもあるので、キリストの復活、新しい命の象徴として使われるようになりました。卵も生命の誕生そのものですしね。
それに付随して、ヒヨコ、てんとう虫など生命を連想させられるモチーフがイースターのシンボルとなっています。
おわりに
このイエス・キリストが復活したと言われるイースターの日曜日は、キリスト教徒にとって一年のうちで最も重要な日なのだそうです。
イースターもですが、オーストラリアにいるとキリスト教に関わる行事や話が時々出て来ます。
世界でいちばんのベストセラーと言われるのが聖書と言われるくらいですので、歴史的書物として知っておくのも良いかもしれませんね。
初心者だと阿刀田高さんの本がとても面白いです。
キリスト復活については、今まで多くの研究家たちによって 「殺されたキリストは実は替え玉だったのではないか?」 「弟子たちが遺体を持ち去ったのではないか?」 などと様々な仮説も立てられましたが、今となっては歴史の謎に包まれたままです。
ともかく、この復活があったからこそイエス・キリストはカリスマとなり、その教えは2千年以上の長い歴史の中で紆余曲折しながらも現在まで信仰されたんでしょうね。
そんな事を考えていくと、とても興味深いです。
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