2015年にオーストラリア最大の競馬の祭典メルボルンカップで史上初の女性ジョッキーが優勝してオーストラリア中を驚かせた事は記憶に新しい人も多いかと思いますが、その女性ジョッキー、ミッシェル・ペイン (Michelle Payne) の物語を綴った映画が2019年に公開されます。
監督は『ミュリエルの結婚』で助演女優賞を受賞したレイチェル・グリフィス (Rachel Griffiths) 。
オーストラリアの一般公開は9月26日からですが、一足先に昨日 Advanced screening で観て来ました。なので、今回のレビューは珍しく直接映画館に行って観て来た感想です。
(画像: https://www.transmissionfilms.com.au/)
それにしても、初めてアドバンススクリーニングというものに行ったのですが、開館前にはアルコールやフィンガーフードが振舞われ、ポップコーンとアイスクリームとソフトドリンクボトルが付いてて至れり尽くせりですごいですね。まあ、チケットは$50くらいするんですけどね。
さて、この映画はメルボルンカップ150年の歴史に名を刻んだ女性ジョッキーミッシェル・ペインの半生を、彼女の父親パディや兄弟姉妹たちとの関わりと共に、ビクトリア州バララットに近い小さな町を背景に繰り広げられます。
そしてミッシェルを支え、馬を管理するストラッパーを務めたダウン症を持つ兄、スティービー・ペイン (Stevie Payne) 役には、実際のスティービー本人が出演。
ストラッパー (Strapper) というのは主にオーストラリアで使われている用語で、馬小屋などの掃除や餌やり、グルーミングなどを含む馬の世話係の事を指します。
ミッシェルのウェブサイトもあるので、気になる人はこちらも見てみてください。
https://michellejpayne.com.au/
タイトル | Ride Like a Girl |
監督 | Rachel Griffiths 🇦🇺 |
脚本 | Andrew Knight 🇦🇺 Elise McCredie |
公開 | 2019年 |
上映時間 | 98分 |
出演:
Michelle Payne役:
テリーサ・パーマー (Teresa Palmer) 🇦🇺
Paddy Payne (父親) 役:
サム・ニール (Sam Neill) 🇳🇿
Stevie Payne 役:
スティービー・ペイン (Stevie Payne) 🇦🇺
Darren Weir 役:
サリバン・ステイプルトン (Sullivan Stapleton) 🇦🇺
Cathy Payne 役:
ジュヌビエーブ・モリス (Genevieve Morris) 🇦🇺
私の総合的感想:
日本語版は出るのか分かりませんが、字幕が欲しい人はオーストラリアの映画館ではないので、DVD やネットで観た方が良いかもしれないですね。私ももう一度ゆっくり観たいかも。
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あらすじ
競馬に関わる家族の一員として育ったミッシェルの夢は、幼い頃から “メルボルンカップで優勝する事”。けれど、今までの歴史の中で一度も女性ジョッキーが優勝した事例はなく、不可能な事だと言われていました。
ミッシェルは10人兄弟姉妹の末っ子で、母親はミッシェルがまだ生後6カ月の頃に交通事故で亡くなってしまいましたが、子供たちは父親パディの深い愛情を受けて育っています。
ミッシェルは15歳の時に、他の7人の兄や姉たちと同じように学校を辞めてジョッキーになりました。
ジョッキーだった長女のブリジッド (Brigid) は、2007年に落馬が原因で36歳の若さで亡くなりましたが、ミッシェル自身も何度かレース中に落馬し、頭を強打して脳に深刻なダメージを受けて体が言う事をきかなくなっています。
それでも彼女は、いくら医師や家族の反対しても依然としてメルボルンカップで優勝する夢をあきらめる事はありませんでした。
そして、様々な挑戦を繰り返していったミッシェルは Prince of Penzance という馬と出会い、兄スティービーがストラッパー役を務めてミッシェルをサポート。
2015年のメルボルンカップで、ついに勝率100分の1と言われた女性ジョッキーであるミッシェルが優勝を勝ち取り、このメルボルンカップ歴史史上初の出来事は、オーストラリアで大きなニュースとなりました。
感想
毎年11月の第1火曜日に行われるメルボルンカップは、オーストラリア中がお祭り騒ぎになるくらい大きな競馬の祭典で、メルボルン以外は祝日ではないものの、シドニーもレースが始まる頃にはビジネス街などは人通りが少なくなり、ガランとなります。
私も2015年のメルボルンカップをテレビで観ていたひとりですが、特に熱狂的ファンという訳でもないし、出場する馬やジョッキーについての予備知識もなかったので何となく眺めてました。
レース自体はあっという間に終わってしまいますし、どの馬が勝っても別に関心がなかったんです。それなのに、女性ジョッキーが優勝して弟と競技場を闊歩して表彰台に上がるシーンを見ていたら、なぜだかジーンと来てしまいました。特に兄スティービーの誇らしげな姿が印象的だったのを覚えてます。
そんなシーンが映画の冒頭で再現されていたので、最初からちょっとウルっと来てしまって焦りました。
それから彼女の小さい頃からのストーリーが始まります。
成功に隠れた努力
彼女の家系が競馬ファミリーだとは知ってましたが、小さい頃からメルボルンカップで優勝する事が夢だったとは…。彼女は何十年も夢を追いかけて、幾度もの挑戦の末にそれを実現させた人だったんですね。
不可能だと言われても、体の自由が効かなくなって周りに反対されても、解雇すると宣言されても、決してあきらめず体当たりでチャンスを掴みに行くあの情熱はどこから来るんだろう?と圧倒されつつ、歴代の優勝馬を暗唱してたり授業をサボってトイレでこっそり競馬の放送を聴いたり、本当に好きなんだなあというのが伝わって来ました。
あの優勝した影には、才能や環境だけではなく多くの努力や葛藤があったんですねえ…。特に、馬主に食いついて自分を売り込む姿とか、強い信念がある人はすごいなあと思いました。
観てる側は、いずれ彼女がメルボルンカップで優勝するという事を知っていて観てますが、そこにたどり着くまでハラハラ遠い道のりのようにも感じます。でも、それを見守る家族の姿が暖かくてほっこりもしたり。
そんな背景があるからこそ、あの優勝シーンが感動を呼ぶのかもしれません。彼女の夢を彼女自身の手で掴み取った瞬間でした。
それにしても、小さな子供たちまで学校の教室でテレビを囲んでメルボルンカップを観るんですね。そもそもオーストラリアでは競馬は格式高いスポーツなので普通かもしれませんが、日本では考えられませんよね。
あと、子供の頃から大きな家で大自然に囲まれて育ったらのびのびと育ちそうだなあ、良いなあ、と全然内容とは関係ない事も考えてしまったり。
今回の作品は映画館で観たので劇場からは要所要所で笑い声が上がり、ラストシーンでは拍手喝采でした。
私が思わず泣いてしまったのはナイショです。
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おわりに
感想の部分が若干短くなった気もしますが、家族って良いなと思うと同時に、何か夢に向かって取り組みたくなるような爽快感のある映画でおすすめです。
これを機に、ミッシェル・ペインの自叙伝もうちにあるので読んでみたいと思います。
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