私はシドニーにあるオーストラリアの大手スーパーマーケット “Coles (コールズ)” で、2週間の実習をさせてもらった事があります。
もう5年以上前の話になりますし、結局そこで働く事はなかったのですが、改めてオーストラリアと日本の違いを感じて衝撃を受けた体験でした。
特に20代後半までガッツリ社会人をしていた私にとって、当時は本当にカルチャーショックだったんです。
でも、それが逆に新鮮で面白くもあったので、ここにシェアしようかと思います!
オーストラリアにあるローカルのスーパーマーケットスタッフ目線の日本語記事も少ないと思いますので、ちょっと読んでみてください。
ついでに、将来コールズで働きたいと考えている人もいるかもしれないので、私が当時聞いたインフォメーションも最後に少し書いておきますので、参考程度にどうぞ。
2週間の実習をした経緯
その前に、なぜ私がコールズで実習する事になったか説明しておきますね。
それは、学校のプログラムでした。
オーストラリアでは、移民や難民の人に向けてスムーズに移住が出来るように AMEP (Adult Migrant English Program) という英語コースが提供されています。
そして、そのコースを受講してある程度の基準を満たしたら、希望者は現地就職に向けて3カ月訓練出来る SLPET (Settlement Language Pathways to Employment and Training) というコースにも進めたんです。
※ 2013年の話なので、現在は変わっている可能性があります。
チャイルドケアやエイジドケアなど複数のコースから選べて、日本で保育士や介護福祉士の免許を持っていた私はそういうコースを選ぶべきだったのかもしれません。が、その時の私は日本で十分に経験したのでもう別の事がしたいという気持ちが強く、かと言って特別希望のコースがなかったのでカスタマーサービスのクラスを選びました。
そのコースで職場で使う英語、履歴書の書き方、面接の練習、ロールプレイなど様々な事を学んだ後、最終段階が実習で締めくくりだったんです。
それで私はスーパーマーケット実習でしたが、ショッピングセンターや服屋さんなどに実習に行った人もいましたよ。(本人の大まかな希望をもとに、コーディネーターが場所を振り分ける感じでした)
実習で給料は出る?
学校のプログラムの一環なので無給です。
オーストラリアは経験重視なので、こういった学校の実習やボランティア活動、インターシップなどで経験を積むと就職が少し有利になります。
ちなみに、それ以外 (トレーニング等) の無給労働が違法かどうかはケースバイケースのようです。
この時は自分で白いシャツと黒いズボン、靴を用意して、学校から自分の名前が書かれた名札を渡されました。
実習の様子
私が実習に行ったのはシドニーのシティにあるお店です。(ワールドスクエア店ではありません)
そのお店のスタッフにはオーストラリア人もいましたし、英語が母国語じゃない東南アジア系の人、ヨーロッパ系の人などが働いていて国際色豊かでした。
そして、実習生はお金関係は触れないという決まりだそうで、私がさせてもらったのは商品陳列や裏方的な仕事が中心です。
私も日本では学生時代にスーパーマーケットでバイトした経験がありますし、施設で働いていた頃は私自身が実習生の担当を受け持っていた事がありました。
だからそういうイメージを持っていましたが、実際は全然違ったんですよね。
基本的に放置プレイ
一応ストアマネージャーが私に指示を出してくれる事になっていましたが、基本は放置状態です。
手取り足取り指示はしてくれないですし、それどころかストアマネージャーを探してもいない事が多くて。
だから、自発的にどんどん動いていかないと、何だか場違いのような居心地が悪い思いをします。
それでよく一緒になっていたベテランオーストラリア人男性のスタッフに聞きまくってました。彼は多少無愛想なところはあるものの、親切に色々教えてくれてありがたかったです。
オーストラリアでは仕事において雑談も大事だとよく聞くので、本当はもっと世間話をした方が良かったのかもしれません。が、何しろ当時は緊張してました。
お客さんが商品見てても気にしない
倉庫から商品出して補充、陳列、これが結構忙しいんです。私の他にもスタッフが入れ替わり立ち替わりやって来て、一緒に分担して作業しました。
まるでお客さんの存在がないかのように一心不乱 (?) に…。
スタッフが補充しているところをお客さんが見たそうにしているのに、全然気にする様子もなく黙々と補充。段ボールを積んだトローリーもむしろお客さんの方が邪魔だくらいの勢いで移動。
そう言えば、私もお客さんとしてスーパーマーケットに行った時、よくそういうシーンに遭遇してます。みなさんもそうじゃないですか?
スタッフの態度がでかい
これ!この実習でいちばん驚いたのは、スタッフの態度がでかくて偉そうだった事です!
特に私がよくお世話になったベテランオーストラリア人の男性スタッフ、お客さんが丁寧に「あれはどこにあるかしら?」と聞いているのに、彼は棚の商品を補充していた手を少し止めて「あそこ!!」と指差して怒鳴ってるのが私的にびっくりで。
でも、お客さん側も別に腹を立てる事もなく「ありがとう〜」という反応なんですよ。私はそれにも驚きました。
日本に一時帰国した時、日本のスーパーマーケットのおばちゃんがやたら「すいません」を連発していたので、それはそれで違和感がありましたが、そんな国から来ていきなりこんな人に出会ったら腹立ちますよね?
よくオーストラリアのスーパーマーケットにいるスタッフに怒ってる日本人いますもん。
お客さんはすぐに聞いてくる
これもびっくりしたのですが、オーストラリアのお客さんってすぐ人に聞くんですよね。まるで自分で探すよりも聞いた方が早いというように。
私が忙しく作業してるとお客さんが「○○はどこにありますか?」と頻繁に声をかけて来るので最初は丁寧に対応していたのですが、あまりにも数が多く仕事が進まないので、ベテランスタッフが「あそこ!!」と言っていた気持ちも分かりました。
確かにオーストラリアの陳列は目当てのものを見付けにくいかもしれませんが、ちゃんと上に何のコーナーか看板も出ているのに…。
一度だけ「卵どこ?」と聞いて来た人がいて、さすがに自分で探せよー!と思っちゃいました。
始めの頃は私は商品の場所が分からなかったので、わざわざ他のスタッフさんを呼んでお客さんを案内してもらっていましたが、あまりにも回数が多いので途中から私が案内するようになりました。呼ぶのはどうしても分からない時だけ。
でも、そしたら後でスタッフに「実習生なのにお客さんを案内出来る人、あんまりいないのよ。偉いわ」と謎に褒められました。え、オーストラリア…(汗)
でも、ちょっと失敗もありました
仕事をするうちに商品の場所をだんだん覚えて慣れて来るのですが、後から「お客さんに悪かったな〜」と思った事もあります。
たまに商品名で置いてる場所を聞いて来る人がいるのですが、そうなるとハードルが上がるんですよね。
例えば「Wet Onesってどこ?」とか。
キョトンとしてたら「ウェットティッシュの事だよ」と言い直してくれて「あー、何だ!」となるんですけどね。
あーこれがウエットワンね!
それで、あるオージーのおじいさんに「チャップスティックってどこにある?」と聞かれた時、私はChopsticks = 箸だと思って「あ〜、チョップスティックは置いてないんです、ごめんなさい」と言ったんです。
そしたら「そう…」と言ってお店を出て行ったのですが、でもその後、たまたま補充していて気付来ました。
もしかして、あれって Chap Stick っていうリップクリームの事だったの⁉︎ と。 (紛らわしいなあ〜)
箸なんて使わなさそうな感じなのに珍しいなーと思ったら、どうりで…。
ちょっと申し訳なかったですが、後日クラスの実習報告会でこれを話したら、クラスメイトはウケてました。
ね?ここまででも結構びっくりしませんか?でも実習が終わった後も色々とあったんですよ〜!
仕事がもらえたかもしれなかったけど…
私、もうちょっと積極的に同僚たちとコミュニケーションを取った方が良いとは言われたものの、評価はまずまず良かったんですよ!
実習の終盤にはストアマネージャーから「もしここで働きたいならまた連絡して」と言っていただき、頑張れば雇ってもらえそうな雰囲気。この3カ月で初めて褒められた気がしてとても嬉しかったんです。
…ただ、私のパートナーにそれを話すと、予想外の答えが返ってきました‼︎
な、なんと⁉︎
ローカルのスーパーマーケットよりも、ジャパレスの方が良いですって⁉︎ (ちなみに私は新人教育や予約席の段取り、在庫管理など色々任されてたのですが、マネージャーというタイトルは持ってませんでした。パートナーがそう呼んでただけです)
だって、だって、ローカルのスーパーマーケットで働くというのは、私たち移民にとってある種の憧れの仕事ですよ?
レストランで走り回るよりもお給料が良いんですよ?
学校の先生から「履歴者にジャパニーズレストランと書かずに、ただレストランと書いた方が聞こえが良い」なんて屈辱的な事を言われましたし、ローカルの仕事経験は例え実習でも履歴書に書けば就職に有利になるって…。
何よりも、もしも私がこれでスーパーマーケットの仕事をゲットしたら、クラスメイトたちの羨望の的になれたはず!
…なのにパートナーにとっては、ローカルのスーパーマーケットよりも、ジャパニーズレストランの方が上なの⁉︎
普段は私のする事に口を出さないパートナーですが、この時本気で止められたので意外でした。
じゃあ、私は何のために学校に行ったの?一生懸命に指導してくれた人たちに申し訳ないんじゃ…とも思ったのですが、実はその時ちょうど他に挑戦してみたい仕事が見付かったタイミングもあったので、スーパーマーケットで働くのはやめました。先生、ごめんなさい。
でも、この実習で貴重な経験をさせてもらいましたし、ここで学んだ事は直接仕事には繋がってないものの、次の仕事に就くきっかけになったり TAFE に行くステップになったりしたと思ってます。
だから決して無駄ではなかったです。(このブログネタにもなりましたしね)
一般からコールズの仕事に応募するには?
ではコールズで働きたいと思っている人に向けて、その時に私が知った事をちょっとだけ書いておきます。
私が聞いた話では、コールズの仕事はインターネットからしか募集してないそうです。だから、募集サイトから履歴書を送るか、人の紹介になるみたいですよ。(地域や状況でも違うかもしれません)
そして、基本的に永住権以上のビザ保持者しか採用しないそう。まあ大手ですし、それは納得。
時給は最低賃金より少し上くらいだったように記憶してます。昔なので、今よりも国で定められている最低賃金は数ドル低かったですが。
でも、スタッフになったら社割で商品を買える特典もあるらしいですよ。
※ あくまでも参考です。
実習して思った個人的な話
卒業式にそれぞれの国の衣装を着ました
最後に私がこのクラスの行っていた時の状況と感想を書いて終わります。
実はこの時、私は日本食レストランでホールリーダー的ポジションでガッツリ働いていたので、学校や実習が終わったら自宅で少し休んでからすぐ仕事でした。
仕事が終わって家に帰るのが夜の12時前が当たり前だったので、宿題を徹夜で仕上げた事もあります。
でもぶっちゃけランチタイムに走り回るよりも、体力的には授業や実習の方が数倍楽でした。(精神的には逆ですが)
だから、クラスの実習報告会で「足が痛くてきつかった!」と言っていたクラスメイトがたくさんいてびっくりしました。(だって、たったの数時間…) そもそもその20人くらいのクラスの中で働いていたのは私を入れて2人だったんです。
先生が「立ち仕事で足が痛くなったら、どんなケアをするのが良いか?」とみんなに聞いて来たので、私が「立ち仕事も1週間もしてると慣れて平気になりますよ?現に私、普段は8時間以上立ちっぱなしですが、全然痛くないです」と言ったのですが、変な顔をされるだけでした。
別に日本人だけが働き者とは思いませんが、私は27歳までガッツリと日本で社会人をしていたので、多少無理してもあくせく働いてしまう癖が身に付いていて、当時はそれに疑問も思ってなかったんですよね。それに、あの頃は体力があって無理も効きました。
ああ、それにしても、たった3カ月とはいえ、学校に行きながら働くというのは大変ですね。そうやって生活している人は本当に尊敬します。
おわりに
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくれてありがとうございました。
色んな意味で色んな経験をした私の体験、いかがだったでしょうか。
当時はまだまだ日本人の感覚ガチガチだったので、本当に驚く事が多くて。でも、日本とは正反対すぎて、どっちが良いか?と聞かれれば、良し悪しだよなあと思いませんか?