世界一長い無声映画 『The Story of the Kelly Gang 』

世界一長い無声映画 『The Story of the Kelly Gang 』

年末年始の旅行中、たまたま滞在したニューサウスウェールズ州のアルバリー (Albury) という小さな町で、思いがけず私の好きなネッド・ケリー (Ned Kelly) に出会いました。

ネッド・ケリーは19世紀に実在したブッシュレンジャーと呼ばれるギャングで、オーストラリアでは未だに人気があります。

そして、今回20世紀初期に製作されたネッド・ケリーの映画『The Story of the Kelly Gang 』に触れる機会があったので、ここに記録しておきたいと思います。

この映画は、オーストラリアがイギリス植民地から独立して間もない1906年に製作された音声や音響が入ってない白黒の無声映画で、60分間の物語は当時5〜10分程度が普通だった時代に “世界一長い映画” と言われました。

(ちなみに有声映画が世に出たのは1932年、カラーになったのが1955年なんだそうです。)

 

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マレーアートミュージアムにて

とは言っても、今どき白黒の無声映画なんて観たくてもなかなか観れないですよね? 今回は本当に偶然だったので、ラッキーでした。

南オーストラリア州からニューサウスウェールズ州のシドニーに帰る途中の最後日、たまたま一泊する事になったホテルのロビーでシドニー・ノーランのネッド・ケリーシリーズの絵が載ったパンフレットが置いてあるのを見つけたんです。

どうやら Murray Art Museum で期間限定 (2019年11月23日〜2月17日) のネッド・ケリー特別展示が開催されているとの事。そこは滞在していたホテルからすぐ近くで、しかも入場無料となると、行かない手はないですよね。

シドニー・ノーラン (Sidney Nolan) は1946年〜1947年に描いたネッド・ケリーシリーズで有名なオーストラリアの画家で、大抵のオーストラリアにある美術館には彼の絵が1枚くらいは展示されているのではないでしょうか。

私は彼の画集を持っているくらい好きなのですが、ネッド・ケリーシリーズを物語として時系列で鑑賞したのはこれが初めてだったので、とても感激でした。彼の絵は不思議な魅力があって、小さい頃に読んだ絵本を見ているような懐かしさがあるんですよね。

そしてその傍らで、例の古い映画が上映されていたんです。

本当はゆっくり全部観たかったのですが、私たちは帰路を急いでいたので少ししか観る事が出来なかったのが少し心残りですけれど。

ケリーギャングの物語

『The Story of the Kelly Gang 』は1906年12月26日からオーストラリアで公開されました。イギリスでも多くの人たちが鑑賞し、商業的成功を収めた作品です。

タイトルThe Story of the Kelly Gang
製作1906年 (60分)
監督Charles Tait

ネッド・ケリーは26歳の若さで処刑されましたが、映画が公開された当時はまだ彼の母親や兄弟のジムは存命していた時代です。

もともとネッド・ケリーは生前から庶民に絶大な人気があり、すでに複数の劇場舞台で彼の演劇は頻繁に上演されていたので、60分という異例の長編映画の製作はごく自然な流れだったのかもしれません。

ちなみに、この映画の監督 Charles Tait は、メルボルンの家族経営シアター Athenaeum Hall のオーナーでもありました。

この映画、またいつかお目にかかる機会があるでしょうかね…。

その他の作品

ネッド・ケリーを題材にした映画はそれ以後も多く製作されていて、Wikipedia で調べたところ、結構な数あります。

The Kelly Gang (1920)
When the Kellys Were Out (1923)
When the Kellys Rode (1934)
A Message to Kelly (1947)
The Glenrowan Affair (1951)
Stringybark Massacre (1967)
Ned Kelly (1970)
Reckless Kelly (1993) (satire)
Ned Kelly (2003)
Ned (2003) (satire)

1970年に公開された『Ned Kelly』は、世界的有名なイギリスのロックバンド、ローリング・ストーンズのボーカル ミック・ジャガーがネッド・ケリーを演じて話題となりました。

観た人によると演技は微妙だったらしいのですが、私はまだ観ていません ^_^;

おわりに

1906年というと日本は明治時代。夏目漱石が『坊ちゃん』を発表した頃です。

ネッド・ケリーはオーストラリア人なら誰でも知っている人物ですが、そこから当時の歴史について触れるのも楽しいかもしれませんね。

私もこれから彼についての映画などを色々観て、どんどん紹介していきたいと思ってます。

 

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