スワンヒル(Swan Hill)はビクトリア州とニューサウスウェールズ州の州境にある町です。
この町の人口は約9千8百人、オーストラリアで一番長い川 マレー川(Murray River) の近くで発展して来た歴史のある町なんです。
オーストラリアで最初の稲作を始めた発祥の地もこのスワンヒル近くにあります。
高須賀 譲という日本人が100年ほど前にこの地で今のオーストラリアの米産業の基礎を築いたんです。
→ オーストラリアで初めて稲作を始めた日本人
今回はそんなスワンヒルを紹介します。
マレー川の恩恵を受けている町
古くからマレー川流域で発展して来たこの町は、かつてPaddle Steamerと呼ばれる蒸気船による交通が盛んでした。
内陸から羊毛の運搬などに、このマレー川は便利だったのです。
鉄道の発達で運搬等には必要なくなってしまったこのパドルスティーマーは、現在では観光客向けのクルーズ船として利用されています。
そしてこのスワンヒルは、内陸には珍しいフィッシングポイントとしても知られているそうです。
スワンヒル駅前には大きなマレーコッド(Murray Cod)と言う魚のモニュメントがあって、かなり目を惹きます。
(Photo Taken: 30 Jun 2017)
The Giant Murray Cod
139 Curlewis St, Swan Hill VIC 3585
(Swan Hill Railway Station近く)
マレーコッドという魚
マレーコッド、一体どんな魚なんでしょう。
マレーコッドはオーストラリアで最も大型の淡水魚。
昔は多く生息していましたが、現在では絶滅危惧種にリストアップされている魚なんだそうです。
その反面、釣り好きな人たちに依然として人気の魚でもあります。
食用として養殖されている魚もあれば、観賞用として水族館でも人気を集めているようです。
This sizeable en:Murray cod was caught on a lure equipped with barbless hooks, in a shallow fast-flowing run in an upland river. It was carefully released after the photo.
16 December 2007English Wikipedia
Pioneer Settlement
こんなのどかで小さなスワンヒルですが、一番有名な観光スポットは19世紀頃の開拓時代の町並みを見る事が出来る野外博物館 “Pioneer Settlement” です。
Pioneer Settlement
Monash Drive, Swan Hill, Victoria Australia 3585
http://www.pioneersettlement.com.au/
9.30am – 4.30pm
$28〜
リバークルーズや夜のナイトショーなど色々なタイプのチケットがあり、何をしたいかで値段も変わって来ますので、必要な方はウェブサイトでご確認ください。
開拓時代の町並みと言うと、同じくビクトリア州Ballarat(バララット)の “Sovereign Hill” が有名ですが、あちらは後に開拓時代を再現して作られた町並みなのに対して、スワンヒルは過去本当に人々が暮らしていた本物の町をそのまま博物館にしています。
派手さあまりなく、バララットに比べればこじんまりと静かな印象ですが、本物を再現しているだけあってそれが逆にリアルに想像力をかき立てます。
ベーカリーに床屋さん、消防署や薬局、歯医者はちょっと怖かったですね。学校、教会、犯罪者を一時的に入れておく牢屋まで、小さな町には何でも揃っています。
19世紀と言えば、日本は明治時代。
オーストラリアで最初の稲作を始めた高須賀 譲が生きていた時代です。
あの時代の日本からこんなオーストラリアの開拓地に来たら、ものすごいカルチャーショックを受けるんじゃないだろうか、と想像してしまいました。
ましてやそんな慣れない土地での米作りを一から始めるなんて、何て根性と行動力があるんだろう…。
恵まれた地形と古い歴史
そしてこの地域は、少なくとも4万年以上前から先住民アボリジニが住んでいたと言われており、遺跡がたくさん残されているそうです。
Wamba WambaとWadi Wadiと呼ばれる人たちがこの地域における最初の先住民ではないかと考えられており、かつて社交の場や結婚や儀式などに使われていたと思われる場所が残っています。
川が多い為、食料や水の供給やその他の天然資源も豊富に手に入りやすく、今も昔も豊かな自然の恩恵がもらえる場所がスワンヒルなのです。
この町に一泊しましたが、何となく心が元気になるようなエネルギーが湧いてくるような不思議な町です。
機会があれば是非また訪れたい場所のひとつになりました。