越谷市の姉妹都市で幽霊伝説も残っている町『キャンベルタウン (Campbelltown)』

シドニー中心部から南西へ約55km、電車で約1時間ほどのところにあるキャンベルタウン (Campbelltown) は、知る人ぞ知る興味深い町です。

埼玉県越谷市の姉妹都市であるため、日本庭園やコシガヤパークがあるにも関わりがあるにも関わらず、日本人がほとんどいないというのも面白いですが、キャンベルタウンは幽霊の目撃情報が多いことでも知られていて、毎年11月には19世紀に実在した人物の幽霊に由来するお祭りもあります。

ですが、町自体は明るく飲食店も多いですし、19世紀の古い建物と近代的な建物が共存する「田舎のそこそこ栄えた町」という感じです。

Eri
2024年現在は、まだ意外とそんなに一般的な知名度はないように感じていますが、ぜひキャンベルタウンもお出掛けリストのひとつに入れて欲しいと思っています!

※ キャンベルタウンはシドニーと同じく、キャンベルタウン CBD を指す場合と、キャンベルタウン市 (City of Campbelltown) 全体 を指す場合があります。この記事は キャンベルタウン CBD、つまり中心部の観光記事です。

 

キャンベルタウンについて

Campbelltown

キャンベルタウンは、ダラワル国立公園 (Dharawal National Park)オーストラリアン・ボタニックガーデン (Australian Botanic Garden) にも近く、シドニー中心部から電車で約1時間ほどです。

また、マッカーサー地域に位置するキャンベルタウンを含むキャンベル市 (City of Campbelltown) は、コアラが多く生息する場所でもあり、コアラの保護も積極的に行われています。

でもキャンベルタウンでいちばん有名なのは、19世紀に殺された農夫のフィッシャーの幽霊の伝説です!11月にはそれにちなんだ『フィッシャーズゴーストフェスティバル (Fisher’s Ghost Festival)』が開催されています。

お祭りについてはこのブログでも2018年に記事にしていますが、あの頃と比べると、最近は観光にももう少し力を入れているようです。

ここ10年くらいでもキャンベルタウンは変化してきていて、住んでいる人の治安についての評価を見ると悪くはなさそうですが、自動車盗難などは多いという話もあるので、注意は必要かもしれません。

歴史

もともと Tharawal の人々が暮らしていたこの土地に「キャンベルタウン」という町として正式に設立されたのは、1820年12月1日のことでした。

シドニーのインフラを整えたことでも知られている5代目ニューサウスウェールズ植民地総督ラクラン・マッコーリ (Lachlan Macquarie 1762–1824) は、先住民と入植者の間のいざこざを見て、町にした方が秩序が保たれると考えたからです。

キャンベルタウンの「キャンベル」は、彼の2番目の妻であるエリザベス・マッコーリ夫人の旧姓から名付けました。

※ マッコーリ婦人と言えば、シドニーオペラハウスの近くにあるロイヤル・ボタニックガーデンにある有名なミセス・マッコーリチェア、そしてシドニーのエリザベスストリート、タスマニア州ホバートにあるエリザベスストリートも彼女の名前が由来しています。

しかし、マッコーリ総督は町を完成させられないままイギリスへの帰国しなければならず、彼が去った後の町の発展はとてもゆっくりしたものでした。

 

現在、毎年11月に開催されている『フィッシャーズ・ゴーストフェスティバル』のもととなるフレッド・フィッシャーの殺人事件が起こったのは、1826年のことです。

事件については別記事にまとめているので、詳しく知りたい人はそちらからどうぞ。

観光に役立つオーストラリアの歴史

ニューサウスウェルズ州のシドニー郊外にあ […]…

 

キャンベルタウンの人口は少しずつ増えていき、1858年に鉄道が開通。1882年にキャンベルタウンカウンシルが設立されたことにより、更に開発が進みました。

1960年代頃からは、シドニーのサウスウエスト地域の中心地となっています。

 

そして、キャンベルタウンが埼玉県の越谷市と姉妹都市提携したのは、1984年です。

キャンベルタウンと越谷市の姉妹都市提携

キャンベルタウンと越谷市が姉妹都市提携を締結したのは、1984年 (昭和59年) 4月11日でした。シドニーが名古屋市と姉妹都市提携したのが1980年なので、そのちょっと後ですね。

キャンベルタウンと越谷市は地理的条件や市の特色が似ていて、お互いの青年使節団の派遣や2000年のシドニーオリンピックの時に応援グッズが送られるなど、さまざまな交流をしています。

後でも紹介しますが、キャンベルタウンには1984年に開園したコシガヤパーク (Koshigaya Park) があり、1988年にはオーストラリア建国200周年を記念して日本の茶室「越谷亭」が Campbelltown Arts Centre に建設され、1994年には桜180本がコシガヤパークに樹林されています。

 

一方、越谷市には1986年にキャンベルタウン公園が開園 (正式には鷺高第五公園というらしいです)、1995年には姉妹提携10周年を記念してオーストラリアの野鳥73羽を寄贈、1998年にはワラビー4頭、1999年にエミュー4羽も寄贈され、キャンベルタウン野鳥の森公園で一般公開されています。

詳しくは越谷市のウェブサイトを読んでみてください。キャンベルタウン公園キャンベルタウン野鳥の森公園のリンクも貼っておきます。キャンベルタウン公園にはオーストラリアのエアーズロックをイメージした遊具があるらしいですよ。

 

Eri
Eri
キャンベルタウンにはたまに行くけど、日本庭園があるのは知らなかったという人もわりといるみたいです。確かにアーツセンターの中にあるので、見つけにくくはありますよね。

キャンベルタウンを観光しよう!

Campbelltownキャンベルタウン駅

キャンベルタウンには、キャンベルタウン (Campbelltown) 駅と、その先のマッカーサー (Macarthur) 駅の2駅あり、マッカーサー駅で終点になります。

マッカーサー駅周辺にはウエスタンシドニー大学や、Macarthur Square というシドニー南西部最大のショッピングセンターもあり、映画館やボウリングなども楽しめますが、観光で行くならキャンベルタウン駅で降りる人が圧倒的に多いでしょう。

イベント

詳しいイベントはキャンベルタウンのウェブサイトを見て欲しいのですが、最も有名なのが冒頭でも説明した『フィッシャーズゴーストフェスティバル (Fisher’s Ghost Festival) 』です。

2018年に記事にしていますので、こちらで様子が分かるかと思います。

フィッシャーズゴーストフェスティバル

毎年11月になると、シドニーから電車で1時間ほど行ったキャンベルタウン (Campbelltown) で『フィッシャーズ・ゴースト・フェスティバル (Fisher’s Ghost Festival) 』が開催されます。このフェスティ[…]

私がキャンベルタウンを訪問した2024年1月には、町のあちこちにストリートアートが施されていました。

見どころ

Campbelltown

キャンベルタウンの Queen Street 周辺はショッピング街で、飲食店も多くあります。

たくさんのカフェやレストランが並んでいて、キャンベルタウン駅から10分ほど歩いたところには Kmart や Coles スーパーマーケットなどが入っている Campbelltown Mall もあり、その周辺にはマクドナルドや KFC、レッドルースターなどのファーストフード店も。

Campbelltown

ですが、せっかくわざわざこの町に来るのなら、見どころはやはり歴史ゴースト、それに日本に関することです!

詳しいことを知らずにこの町に立ち寄る日本人の中には、名前から Koshigaya Park だけ寄って帰る人もいるようですが、そこまで来たらぜひ、キャンベルタウン・アーツセンターの日本庭園も見て帰ってください。

歴史的建造物でもあるキャンベルタウンのビジターインフォメーションセンターで情報収集したりお土産を買ったりするのも良いですし、その近くにある Rydges ホテル内にあるマイクロブリュワリーでゴーストラガーを飲むのもおすすめです!

 

ちなみに、諸説あるフィッシャーの幽霊が出た場所ですが、現在は Queen Street と Dumaresq Street の交差点がいちばん有力と言われているようで、自分の遺体が埋まっているところを指差すフィッシャーの看板が建てられています。

Campbelltown

こちらもお見逃しなく!

Campbelltown Visitor Information Centre

Campbelltown Visitor Information Centre

まず最初に寄りたいのがビジターインフォメーションセンター (観光案内所) です。

この建物はオーストラリア初のカトリックスクールとして、1840年に建てられたもので、当初は「セント・パトリックス (St Patrick’s)」と呼ばれていたのですが、その後にこの建物購入者が、この敷地にオーストラリア固有植物クオンドンの木があったことから (実際は違う木だった)、「クオンドン・コテージ (Quandong)」と名付けられています。

Campbelltown Visitor Information Centre

ここでキャンベルタウンを含むマッカーサ地域の情報収集が出来ますし、ローカルなお土産も豊富です。当時の学校を再現した部屋や、コアラについて学べるコアラルームも必見!

 

Campbelltown Visitor Information Centre
15 Old Menangle Road, Campbelltown 2560
https://www.campbelltown.nsw.gov.au/
水〜金 10am-4pm / 土・日 10am-2pm / 月・火 休館日

Campbelltown Arts Centre

Campbelltown Arts Centre

ビジターインフォメーションセンターの向かい側にあるキャンベルタウン・アーツセンターでは、無料のアートギャラリーカフェ日本庭園スカルプチャーガーデンなどがあります。

Campbelltown Arts Centre

手前にはおしゃれで個性的なショップもあるので、お土産探しにも良いかもしれません。

毎年11月のフィッシャーズゴーストフェスティバルの時には、60年以上続くフィッシャーズゴースト・アートアワード (Fisher’s Ghost Art Award) の作品展も開催されます。

Campbelltown Arts Centre
1 Art Gallery Road, Campbelltown 2560
https://c-a-c.com.au/
毎日 10am-4pm

日本庭園

Campbelltown

アーツセンターカフェの近くにある茶室がある日本庭園は、1988年に姉妹都市である越谷市から寄贈されたものです。池には鯉も泳いでいます。

スカルプチャーパーク

アーツセンターの敷地内には、有名アーティストの彫刻作品が並ぶスカルプチャーパークもあります。もちろん入場無料です。

Koshigaya Park

姉妹都市の越谷市にちなんだコシガヤパークですが、期待し過ぎるとプレイグラウンドやバーベキュー台、トイレなどがある普通の公園なので、がっかりするかもしれません。

ですが、よく見ると越谷市との姉妹都市関係についてや文化、歴史などが説明された看板が建っています。

2020年には Yarning Circle というアボリジナルサイトも作られました。

Koshigaya Park
Cnr of Hurley St & Camden Rd, Campbelltown 2560
https://www.campbelltown.nsw.gov.au/

Mawson Park

モーソンパークは、オーストラリアの南極探検家ダグラス・モーソンにちなんで名付けられた公園で、プレイグラウンドの他に、戦争に関する記念碑などが飾られています。

歴史的建造物

キャンベルタウンには歴史的建造物がたくさんありますが、キャンベルタウン中心部にある主要なものを紹介します。

Town Hall Theatre

Campbelltown

ビジターインフォメーションセンターやアーツセンターの近くにあるタウンホールシアターは、1862年に建てられたもので、かつてフィッシャーを殺害したジョージ・ウォラルの所有していた家がありました。

そのため、1926年にウォラルの家に滞在して殺害されたフィッシャーの霊が出るという噂があり、謎の足音や音楽が聞こえたりするという話もあります。

無声映画を上映していた時代もあったこの建物は、現在でも使用されているマッカーサ地域では最大のコミュニティシアターのひとつです。

Town Hall Theatre
297 Queen Street, Campbelltown NSW 2560
https://www.campbelltowntheatre.com.au/

Emily Cottage

廃墟のようになっているエミリーコテージと呼ばれている小さく古い建物は、1823年から1827年の間に建てられたと推測されています。

コテージの名前の由来にはいくつかの説がありますが、いちばん知られているのが1883年に Emily Denmead という少女が2階のベッドルームで雷に打たれて亡くなったという話だそう。しかし、実際に打たれて亡くなったのは妹の Mary Ann で、彼女のベットの鉄枠に窓から雷が落ちたと。

このことから彼女たちの幽霊が出ると主張する人もいますが、その後も肉屋やバーなど、様々な用途で使用されていたとのことです。

(参考: The stories behind Campbelltown’s Emily Cottage are detailed in a new journal | Daily Telegraph / Emily Cottage | Campbelltown Council)

Emily Cottage
1 Old Menangle Rd, Campbelltown NSW 2560

Glenalvon House

グレナルボンハウスは、アイルランドのウィックロー反乱軍 (Irish Wicklow rebels) のひとりだった Hugh “Vesty” Byrne の息子、Michael Byrne が1840年に建てたジョージアン様式のタウンハウスです。

応接室、図書室、子供部屋、子供部屋など12室が公開されている2階建ての植民地時代の家は、19世紀初頭のキャンベルタウンの生活を垣間見ることができます。

オープンデイにしか開放されていないので、日程は要チェックです!

Glenalvon House
8 Lithgow St, Campbelltown 2560
https://www.campbelltown.nsw.gov.au/
毎月第2、第4土曜日

おわりに

キャンベルタウンは州都シドニーからちょっと離れてますし、ガイドブックにもほとんど載っていない場所なので知らない人も多いと思います。

ですが、とても興味深いことがたくさんあるので、機会があればぜひ行ってみて欲しいです!

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Acknowledgement to Country

This website would like to acknowledge Gadigal peoples of the Eora nations, Aboriginal and Torres Strait Islander people, the traditional custodians of this land and pay our respects to Elders both past and present.このウェブサイトは伝統的な土地の所有者であるエオラ、ガディガルの人々を含むアボリジナルおよびトレス海峡諸島の人々、そして過去と現在の長老に敬意を表します。