シドニーを象徴するランドスケープと言えば、オペラハウスとハーバーブリッジ。観光するならこの2つのスポットは絶対に欠かせません。
そんなハーバーブリッジの楽しみ方は、主に「見る」「渡る」「登る」の3つではないでしょうか。
ということで、今回はシドニーハーバーブリッジ (Harbor Bridge) についての概要と楽しみ方を紹介します!
ハーバーブリッジについて
シドニーハーバーブリッジは、シドニーの中心部 (CBD) とノースショアエリアを繋ぐアーチ橋で、ハンバーに似ているのでコートハンガー (The Coathanger) という愛称で呼ばれることもあります。
1923年7月28日に建設が始まり1932年3月19日に完成したこの橋は、全長1149m、幅49m、高さ134m、世界で6番目に長く、2012年にバンクーバーに抜かれるまでは、ギネスブックに「世界で最も広い橋」として載っていました。
オペラハウス建設が1959年3月2日〜1973年10月20日なので、それよりも数十年前には完成していたことになります。
ちなみに、橋の上の車道は8車線で、電車の線路と歩行者・自転車も通れるようになっています。
まずは、そんなハーバーブリッジをよく見てみましょう。
1. 見る・撮影する
ハーバーブリッジは大きいので、いろんな場所から見ることが出来ます。
せっかくなので思い出にカメラに収めてみてはいかがでしょうか。シドニーらしい写真になりますよ。
ノースのミルソンズポイントやキリビリに行くと、ハーバーブリッジを間近くで見ることが出来ます。
ロックスの Observatory Hill Park から見えるブリッジも素敵です。
良いアングルで写真が撮れるおすすめの場所は別記事にまとめてますので、そちらも参考にしてみてください。
シドニーに来たなら、やっぱりシドニーのアイコンであるオペラハウスとハーバーブリッジを写真に収めたい!という人は多いのではないでしょうか。せっかくなら最高のロケーションで撮りたいですよね?そういうことなら、今回はオペラハウスと[…]
2. 歩く・渡る
もし時間に余裕があれば、ぜひハーバーブリッジ を歩いて渡ってください。景色も良いですし、良い散歩コースになります。
橋の上は、ジョギングしている人や観光客が大勢いる事が多いですし、大概は警備員も立っているので安心です。
散歩コースは 南→北 か 北→南か、好きな方を選んでください。
- 南→北 ロックスからミルソンズポイントへ歩くコース
- 北→南 ミルソンズポイントからロックスへ歩くコース
ロックスから歩く
ロックスからミルソンズポイントへ歩く場合は、橋の入り口が Cumberland Street の体育館横にあります。
橋の入り口はちょっと分かりにくいかもしれませんが、オーストラリアンホテルを目印にすると分かりやすいと思います。そこから道路を挟んで斜め右側が橋の入り口です。
階段が嫌な人は、最近近くに上まで一気に行けるエレベーターも出来たので、それを利用するのも良いですね。
ところでちょっと余談ですが、オーストラリアンホテルではエミューやカンガルー、クロコダイルのピザやハンバーガーなどが食べれるので寄ってみてはいかが?
The Australian Heritage Hotel
100 Cumberland St, The Rocks NSW 2000
http://australianheritagehotel.com
ミルソンズポイントから歩く
ミルソンズポイントからロックスへ行く場合は、シティからだとフェリーか電車でミルソンズポイントまで行きます。
ミルソンズポイント駅近くのトンネル横の階段を上がると、橋の上に出ます。
3. 登る
ハーバーブリッジを上から見下ろすには、橋の上にある展望台に登るかブリッジクライミングをするかです。
パイロン展望台
橋を渡って行くと石造りの支柱があり、この石造りの支柱をパイロンと言い、ここを支えにアーチ橋が吊り下げられています。
ロックス側のパイロンに展望台入り口がありますので、そこから上へ上がります。
Pylon Lookout
South East Pylon of the Sydney Harbour Bridge
http://www.pylonlookout.com.au
10.00am − 5.00pm
Concession (Seniors & Student) $10.00
Children (5歳〜12歳) $8.50
Children (4歳以下) 無料
階段を上がると中に受付があるので、そこでお金を払って更に上へ行きます。
受付の上の階には小さなおみやげ屋さんもあります。
この階段、200段あるそうなので、ちょっとした運動になります。
階段途中に人形がぶら下がっていたりしてちょっと怖いですが(笑)、展示物やパネルも置かれていたり、疲れたら座れるイスも置いてあります。
一番上まで来ると、ハーバーブリッジについて色々書かれた展示パネルが。
ブリッジのペイントにどれくらいかかったの?ペンキはどれくらい必要だったの?何故グレイの橋にしたの?などなど、子供も楽しめるクイズが書いてあります。
そして展望台は、ぐるーっと360度の景色を楽しめるようになってます!
ブリッジクライムしている人たちも上から見下ろす感じ。
階段を降りて下の受け付けに戻ると、小さなパネルの部屋を通って、来た階段とは違う階段から出口に出ます。
ブリッジクライム
ハーバーブリッジを眺めていると、人が登っている姿が見えるかもしれません。これは、ブリッジクライムという人気のアクティビティで、普段は歩く事の出来ないハーバーブリッジの上を歩くツアーです。
早朝、日中、日没、夜間と時間を選べて、所要時間は基本3時間半ですが、90分のコースもあります。
値段は$200〜$300以上までありますので、ウェブサイトでチェックしてみてください。
https://www.bridgeclimb.com
Vivid Sydney などのオペラハウスライトアップするイベントの時期は特に夜間が人気があるようです。
実はハーバーブリッジの上で結婚式を挙げるカップルもいます!
ドレスは着れませんが、2008年に初めてスコットランドのカップルがブリッジの上で結婚式が行われてから、今まで27組の夫婦がここで式を挙げているとの事。当時ニュースで話題になっていたのを覚えています。
クライムの時は専用スーツ着用し、危険なので自分のカメラを持ち込めません。(写真はスタッフの人が撮ってくれます。)
経験した人の話を聞いたら意外と筋肉痛になるそうですが、眺めは最高でしょうね!
橋を車で渡る
ハーバーブリッジは車やバス、電車、自動車などで通る機会も多いかもしれません。
現在 (2018年)、このハーバーブリッジは南から北へ行く時は無料ですが、北から南に行く時は有料となっています。
6:30am – 9:30am $4.00
9:30am – 4:00pm $3.00
4:00pm – 7:00pm $4.00
7:00pm – 6:30am $2.50
注意しないといけないのは、ここは無人の有料道路なので、E-Tollという日本のETCのようなセンサーのタグでしか支払いが出来ないという事。
もし搭載していなくて知らずに通過してしまったら、48時間以内に支払わないと罰金請求が送られて来るようですので気を付けてください。(支払いはネットで出来ます。)
レンタカー会社で貸してくれる場合もあるようですので、確認してみてください。
タクシーを利用する場合、南から北でも帰り道の通行料金を含んで請求されるかもしれません。
[adchord]
歴史
さて、そんなハーバーブリッジですが、完成までに様々なアイディアが繰り返し提案され、建設着工までにとても長い時間を要しています。
建設の計画が最初に持ち上がったのは1815年ですが、建設は実行はされないまま時が過ぎ、1840年に浮き橋の案が出たり、1879年にはトラス橋 (細長い鉄などを三角形に繋いでいく橋)の提案が出たり、案だけは色んな人が提案していました。
1900年に入ってから、政府はハーバーブリッジのデザインを国際的に募集し、2度のコンテストを主催してデザインの決定までしたものの、建設計画は1904年の景気低迷と政権交代によって、結局計画倒れになってします。
1914年、現在のハーバーブリッジ建設の指導をする事になるジョン・ブラッドフィールド (John Bradfield) がブリッジと鉄道の責任者として任命されました。
彼の橋の建設計画は議会にかけられ、途中まで法案を通過しましたが、第一次世界大戦の影響で費用のかかる橋の建設は却下されてしまいます。
その後もブラッドフィールドは、橋の建設に向けて計画し、1921年の海外視察でニューヨーク市のHell Gate Bridge の単独アーチ橋を見て、ハーバーブリッジのデザインを決定。1922年になってやっと法案が通過しました。
(画像: Hell Gate Bridge https://hellgate100nyc.comより)
建設と開通
ハーバーブリッジ建設は、現在シティー・サークル (City Circle)と呼ばれている地下レールウェイの建設と同時に始まりました。
現在、橋の車道が8車線なのは、実は1958年まで路面電車が通っていたからです。路面電車廃止後、道路2車線が追加されたのです。
建設にあたって、ノースショアの推定469の建物が補償もほとんどされずに取り壊され、土台などの基礎工事を終え、1928年10月26日にアーチ橋の建設を開始。
1929年に世界恐慌 (The Great Depression) が始まり世界は不景気でしたが、シドニーでは多くの労働者が雇用されました。
橋に使われた鉄の79%はイングランドから輸入、21%はオーストラリア産だそうです。
建設は橋の両側から始まり、最終的に中央で繋がるように計画され、1930年8月19日にアーチが完成。
更に鉄道や道路、電話線、水道管、ガス管、下水管などの工事も進めました。
現在ルナパークがある場所は、橋の建設作業小屋だった場所です。
1932年に安全確認の実験を何度も行い、3月19日の日曜日についに開通式を迎えました。
開通を祝って橋の両側でリボンが切られる予定になっていて、南側にはNSWのジャック・ラング (Jack Lang) 首相が待機していました。が、突如軍服を着て馬に乗った男性が現れリボンを切るというハプニングがあったそうです。
慌ててリボンを結び直してリボンを切り直したそうですが、その男性は右派のグループで、これは左派の政策に反抗しての行為で、この後も色々とあったようです。
開通祝いは空包を発射し敬意を表明する礼法 (Gun Salutes) 、橋の下を通る客船、ベネチアンカーニバル、スポーツカーニバル、花火、展覧会など盛大に祝われました。
1934年になると、パイロンにカフェやアボリジナル博物館、暗い部屋で映像が観れるカメラオブスクラなど、様々なアトラクションが設置され、観光客で賑わいましたが、1939年に第二次世界大戦が勃発してから一変。
観光地は閉鎖され、橋の4つのパイロン部分は軍が防御用の壁を作り、対空砲を設置した時代もありました。
1948年〜1971年には、イボンヌ・レントアウト (Yvonne Rentout) による『All Australian Exhibition』という展示がパイロンで行われていた事も。
屋上に飼われた猫たちは、観光客に大人気だったそうです。
その後は1982年まで閉鎖されていましたが、たびたび展示会などが開かれるようになり、今は展望台となっています。
おわりに
オペラハウスの建設も長かったですが、ハーバーブリッジも長かったですね!
今では当たり前のようにあるハーバーブリッジとオペラハウスの景観ですが、そう思うと歴史を感じますね。
オペラハウスについては別記事に詳しく書いてありますので、そちらもどうぞ。
→ 世界遺産 オペラハウスを楽しもう!