ウィロビーの歴史的建造物『インシネレーター・アートスペース (Incinerator Art Space)』

定期的にアート展が開催されている、シドニー郊外ウィロビー (Willoughby) のインシネレーター・アートスペース (Incinerator Art Space)には、素敵なカフェもあります。

ですが「インシネレーター」というのは、日本語で「焼却炉」のこと。つまり、この建物はかつてゴミ焼却炉でした。

実はこの建物、20世紀初頭にキャンベラ都市計画のデザインコンペで優勝したウォルター・バーリー・グリフィンによってデザインされた焼却炉で、1999年にはニューサウスウェルズ州の遺産登録もされています。

ということで、ここはアートだけではなく、シドニーの歴史や建物などに興味ある人も楽しめる面白い場所なんです!

 

歴史あるインシネレーターの建物

Incinerator Art Space

1932年にゴミ焼却炉と下水処理場として選ばれたこの場所は、キャンベラの都市計画デザイン国際コンペで優勝 (1912年) したアメリカ人建築家ウォルター・バーリー・グリフィン (Walter Burley Griffin 1876–1937) によって建物がデザインされ、1934年から稼働を開始しました。

※ 正確にはビクトリア州生まれのエリック・ミルトン・ニコルズ (Eric Milton Nicholls) も一緒にデザインしています。彼らは1921年頃から共に十数ヶ所の焼却炉を設計しました。

Incinerator Art Space建物の壁には2人の名前が

しかし、1965年に地元住人から煙や臭いの苦情もあり、焼却炉は1967年に停止。

現在インシネレーターの近くにあるバイセンテニアルリザーブ (Bicentennial Reserve) は、ゴミを燃やした廃棄物でクリークを埋め立てて出来た場所です。

下水処理場も1972年に停止し、建物は1980年にレストラン、そして後にはオフィスとして使用されましたが、1990年から長い間空室になっていました。

その後、ウィロビーカウンシルは2007年から大規模な改修工事を開始し、2011年4月2日にカフェを併設するアートスペースをオープン。それが現在の『インシネレーター』です。

(参考: Willoughby Incinerator | Willoughby City Library)

 

そんなインシネレーターの建物は、シドニー CBD からバスで20分程度の場所にあります。

インシネレーターへの行き方

Incinerator Art Space

ウィンヤードや QVB の前から出ている120のループバスに乗って、Willoughby Rd at Armstrong St で降りてください。そこから徒歩5分程度です。

このバスはシドニー CBD からチャッツウッド間を10分〜20分おきに巡回しています。

Incinerator Art Space

バス停がある Willoughby Road から Small Street に入り、Willoughby Squash Club や Hallstrom Park を通り越してまっすぐ歩きます。

Incinerator Art Space

インパクトのある銀色のオブフェが見えたら『インシネレーター』に到着です!

Incinerator Art Space
2 Small Street Willoughby NSW 2068
https://www.willoughby.nsw.gov.au/
水〜日 10am-4pm

 

Incinerator

この銀色のオブジェはシドニーのアーティスト、リチャード・グッドウィン (Richard Goodwin) の Exoskeleton Lift というアートワークで、この建物をデザインしたウォルター・バーリー・グリフィンに捧げる賛歌を表現したものなんだそう。

Incinerator

実はこれ、Lift という名前の通りエレベーターなんですよ。これで下にあるアートスペースに行けます。

Incinerator Art Space

そう、アートスペースは下なんです。

私は最初来た時に間違えてグラウンドフロアにあるカフェの方へ行ってしまったのですが、カフェとアートスペースは繋がっていませんので、下に降りてくださいね。

Incinerator Art Space

もちろん階段もあって、そこからも降りることが出来ます。

Incinerator Art Space

行けばすぐ分かると思いますが、降りたら左手の入り口です。

Incinerator

ちなみにエレベーターは、階段の正面にあるここに出てくるようですね。そしてトイレは上 (中二階というのでしょうか) にあります。

 

歴史を感じる建物にあるアートスペースの様子は、ここで開催された展示会の紹介と一緒に別記事に書いているので、気になる人はそちらも覗いてみてください。かっこ良いですよ〜!

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Incinerator Art Space
アートスペースの展示内容は、随時こちらのウェブサイトから確認できます。

 

そして、私が最初に間違えたグラウンドフロアにあるカフェ『The Incinerator』も、おしゃれで良い感じです。

カフェ『The Incinerator』

Incinerator Art Space

カフェ『ザ・インシネレーター (The Incinerator)』は、銀色のエレベーターのすぐ横とその反対側に入り口があり、すぐに分かります。

Incinerator Art Space閉店後のカフェ

Incinerator Art Space営業時間はこちら

Incinerator Art Space

 

カフェについて

限りなくシドニーのナランバーン寄りのウィロビーにある、ここら辺では唯一のカフェ『ザ・インシネレーター (The Incinerator)』は、かつて焼却炉だった歴史的な建物の中にあります。同じ建物内にはアートスペースもありますし、近[…]

Incinerator

 

もし時間があれば、ぜひ建物周辺も散策してみてください。

建物周辺の散策

Incinerator Art Space

インシネレーターの建物を反対側から見てみたくて、裏に回ってみました。

カフェはいちばん上の階、アートスペースはその下。こちら側から見ると、また印象が違いますよね。

Incinerator Art Space柵があって、これ以上は近付けませんでした

 

それにしても、自然いっぱいのこの土地にゴミ処理所と下水処理場があったなんて、今では想像出来ません。

でもここはバイセンテニアルリザーブ (Bicentennial Reserve) といって、焼却炉が稼働していた時代にそのゴミを焼却して出た廃棄物でフラットロッククリークという小川を埋め立てて出来た場所です。

1983年には公園にするため、さらに土を足しています。

 

さて、このインシネレーターに来た際は、周辺にある公園でのんびりしたりウォーキングしたり、お隣のサバーブまで行くなど、色々と組み合わせるとさらに楽しいのではないでしょうか。

ということで、次の項目ではインシネレーター周辺の情報も書いておきますね。

インシネレーター周辺のお出掛け情報

バイセンテニアルリザーブ

Incinerator Art Space

西洋人がシドニーに入植して200年目を記念して名付けられたバイセンテニアルリザーブ (Bicentennial Reserve) は、ホールストロームパークの南側に位置します。

焼却炉が稼働していた頃はゴミを焼却して出た廃棄物でフラットロッククリークを埋め立て、運動出来るような場所にしていました。1983年には公園にするため、さらに土を足しています。

 

このリザーブの主な見どころは先住民アーティストのシェーン・ハウラマ (Shane Haurama) が2007年に描いた壁画と、詩人で作家のヘンリー・ローソン (Henry Lawson 1867-1922) が滞在した洞窟です。

ヘンリー・ローソンは、1907年から第一次世界大戦直後までの短期間を Naremburn で過ごし、Crows Nest Hotel に滞在した後、世間から距離を置くためにしばらくこの洞窟に身を置いたそう。

現在の洞窟はクリス・ベネット (Chris Bennett) が石に彫ったヘンリー・ローソンの横顔が目印です。

ホールストロームパーク

Incinerator Art Space

バス停からインシネレーターまで歩く途中にあるホールストロームパーク (Hallstrom Park) には、動物をモチーフにした遊具やバーベキューエリアなどがある公園です。

公園の名前の由来は、この場所をレクリエーションとスポーツが出来る場所にするため、1946年に3,000ポンドを寄付したエドワード・ホールストローム (Edward Hallstrom 1886-1970) にちなんでいます。

彼はウィロビーに『Silent Knight』という冷蔵庫工場を所有し、自宅はノースブリッジにありました。

Incinerator Art Space

動物のモチーフが多く使われたプレイグラウンドは、ホールストロームが10年会長を務めたタロンガパーク動物園をイメージしたものです。

Incinerator Art Spaceこれはカメでしょうか?

Incinerator Art Space

Incinerator Art Spaceお手洗いもここにあります

Incinerator Art Spaceこれ、何の絵か分かりませんでした

Incinerator Art Space

 

そして、これらはフラットロックガリーの一部でもあります。

フラットロックガリー

Incinerator Art Space

フラットロックガリー (Flat Rock Gully) は、自然と文化遺産の両方が楽しめる往復4km、中級レベルのウォーキングトラックです

Tunks Park、Northbridge Park、Cliff Ave Reserve、Bicentennial Reserve、Artarmon Reserve には様々な鳥やカエル、爬虫類が生息していますし、1880年代からのサンドストーン採石跡や、開拓者たちの廃墟なども見ることが出来ます。

地図はこちらから PDF をダウンロードするのも良いですが、スマホをオーストラリアに設定しているなら Willoughby Walks というアプリをインストールした方が分かりやすいと思います。

 

そして、もうひとつのウォーキングトラックがグリフィン・フェデレーショントラックです。

グリフィン・フェデレーショントラック

Incinerator Art Space

グリフィン・フェデレーショントラック (Griffin Federation Track) は、インシネレーターの東、フラットロックガリーの北にあるウォーキングトラックで、片道2km、難易度は初級〜中級くらいです。

Willoughby のインシネレーターから Northbridge の Warners Park を通過し Castlecrag Estate まで行き、ウォルター・バーリー・グリフィンの建築が見られるコースになります。

地図はこちらのウェブサイトからダウンロードできますが分かりにくいので、、Walter Burley Griffin Society に書かれているセルフガイドツアーと合わせて参考にすると良いかも。

隣のサバーブ、ナランバーンへ

Naremburn

もちろんバスで移動しても良いのですが、インシネレーターからだとウィロビーのお隣ナランバーン (Naremburn) のお店がたくさんある場所まで徒歩15分くらいで行けるので、散歩がてら歩いても良いかもしれません。

Naremburn

そこまで行くには、ハイウェイの下を通り抜けます。

Naremburn

ナランバーンへ向かって歩いていると、

Naremburn

Northcote Street 辺りで偶然ライムの無人販売を見付けました。

こういうのも歩いてたからこそ見付けれたものですよね。何だか嬉しいです。

Naremburn$2を家のポストに入れるらしい

Naremburn

さて着きました!

Naremburn

この通りにはレストラン、スーパーマーケット、カフェ、ブリュワリーなど色々あります。

Naremburn

私はこの時『Flat Rock Brew Cafe』に寄りました。とっても良かったです。

Naremburn

このカフェも良い感じなので、また今度来たら入ってみたいなと思いました。

おわりに

インシネレーターの建物も面白いですが、周りにある公園やウォーキングトラックもとても興味深いです。

これは何度かここに足を運んで探索しなければ!…と、そう思わされるような場所でした。

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