シドニーで行われる世界最大の LGBTQIA+の祭典『マルディグラ (Mardi Gras)』について

毎年2月中旬頃から3月初旬、シドニーでは3週間にわたって LGBTQIA+(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、インターセックス、アセクシャル)の祭典マルディグラ (Madri Gras) が開催されます。

世界中から約30万人もの人が集まる世界最大規模のお祭りで、特に3月の第1土曜日にオックスフォードストリートで行われるマルディグラパレードは、ものすごい熱気です。

そんなシドニーのマルディグラについて、注意点や歴史などをまとめてみました!(2018年を例に挙げていますが、基本は毎年同じです)

 

熱気がすごいシドニーのマルディグラ

毎年テーマが掲げられるシドニーのマルディグラ。40周年の2018年は “40 YEARS of EVOLUTION (進化の40年)” でした。

2018年は18日に Victoria Park で行われた Fair Day から始まり、マルディグラ・パレードで締めくくられます。

このパレードがいちばん有名ですが、シドニー各地で100以上のイベントが開催されますので、詳しくは下記の公式ウェブサイトで確認してくださいね!年によってルートが変わる場合もあります。

2021年は新型コロナウイルスの影響でシドニークリケット・グラウンド (SCG) で形を変えて開催されました。詳しくは Our guide to the must-sees of Sydney Mardi Gras 2021 – Time Outで。

LGBTQIA+とは?

性的マイノリティの人たちのことをまとめてLGBTQIA+と言います。

でも実は、10年ほど前は LGBT と呼ばれていて、2018年頃に LGBTQI になり、2023年頃には LGBTQIA+ に変わりました。

  • L – Lesbian
    女性の同性愛者
  • G – Gay
    男性の同性愛者
  • B – Bisexual
    恋愛対象が男女に限定されない人
  • T – Transsexual
    生物学的性と認識の性が一致しないため、手術で一致を望む人
  • Q – Questioning / Queer
    性別が決まっていない、もしくは同性愛の包括的な意味を持つ
  • I – Intersex
    身体に男女両方の特徴を持つ人
  • A – Asexual
    どの性に対しても恋愛感情を持たない人
  • +
    それ以外のセクシャリティを持つ人々

オーストラリアではゲイやレズビアン、トランスジェンダーなどの人たちは特に珍しくはありません。

日本人でも、日本では黙っていた人がオーストラリアでカミングアウト、というのもわりとあることです。2017年には同性婚も合法となったので、それが理由でオーストラリアに留まる人も。

幼稚園から男の子が女の子の服を着ても別におかしくないと教えられるというオーストラリアなので、誰がどんな格好をしても、基本的は誰も気にしません。

ただ、女の子がショートカットをしていると、レズビアンに間違われる可能性があるとかいう話は聞いたことがあります。

町に溢れるレインボー

Mardi Gras

マルディグラの時期になると、オックスフォードストリートだけではなく、シドニーの町のあちこちでレインボーカラーを見掛けるようになります。

これは、1978年にサンフランシスコのアーティスト、ギルバート・ベイカー(Gilbert Baker) がデザインしたLGBTQIA+を象徴する旗に基づくものです。

そんなレインボーカラーを探したり身に付けたりするのも、楽しいかもしれませんね!

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Mardi Gras

マルディグラ・パレード

色んなイベントはありますが、マルディグラと言えば、メインはやっぱりパレードですよね!

ハイドパーク南側近くの Oxford Street から Flinders Street までの1.7km の区間で行われる大きなパレードです。

2018年は午後7時〜10時まででしたが、2024年は7時半から11時と若干の時間変更があるかもしれませんので、こちらも公式ウェブサイトなどで確認してください。

 

2024年のパレードは1万2千人を越える出場者と、推定25万人もの観客が集まったそうです。これでどれだけ規模が大きいか想像出来るでしょうか?

もしパレードを最初から先頭で見たいなら、最低でも3時間前には場所を確保する事をおすすめします。むしろ、遅いくらいかもしれません。

詳しくは、別記事にまとめています。

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年々大きくなるパレード

私も2018年、シドニー在住10年目にしてやっと初のパレードを観に行けました。

いや、実際はシドニーに来たばかりの2008年にオックスフォードストリートで働いていたので、見たことはあったんです。

店長に「パレード中はお客さん来ないから見て来て良いよ」と言われて、スタッフ2人ずつ交代で観たように記憶しています。

「これを持っていくと良いよ。でも絶対に他の人に貸さないでね、2度と戻って来ないから!」と念を押されながら貸してくれたミルクボックス。

そのおかげで身長が低い私でも何とかパレードは見れましたが、次から次へと「その台貸して!ねっ、ちょっとだけ!お願い!」と頼んで来る人たちが現れ、根負けしそうでした。

店の大事な商売道具なので頑なに断りましたが、個人のものだったら根負けしたかもしれません。

でも、その時は1時間程度だったと記憶してますが、2018年に行った時は3時間くらい盛り上がってました。最近はもっと長くなっているように思います。

通行止めなどもチェック

パレード当日にシティに用事がある人は、事前に閉鎖される道路をチェックしておいた方が良いかもしれません。

ある年は私たちのアパート前が封鎖され、毎週土曜日にゴルフに行くパートナーは、帰ってくる時にやむ終えず一時的に家の近くにある駐車場を利用せざる得なかった事もあります。

あと徒歩も意外と大変で、私はよくシティの QVB 方面から夜11時頃に仕事が終わって歩いて帰る事が多かったのですが、Gorge ストリート側もすごくて、特にマクドナルド周辺は前に進むのもひと苦労なほど混雑しています。

パレードが終わった後、みんなマクドナルドに寄るんだろうと思いますが、本当に尋常ではない混みようでびっくりですよ。

 

それと、これはマルディグラに限らずかもしれませんが、パレード後のパーティ (チケット制) で、日本人の女の子2人が性的被害に遭ってしまい、警察に届けはしたけれど「場所が場所でもう誰かも分からないし、自己責任」と言われて泣き寝入りしたという話もありますので、危機管理はしっかりとしてくださいね。

 

大イベントになるまでのマルディグラの歴史

こんな風に現在では盛大にマルディグラが祝われるようになりましたが、過去にはやはり偏見や差別が根強かった過去があり、戦って来た歴史があります。

このパレードの第1回目は、1978年6月24日の午後10時に始まったデモ行進でした。

1975年に南オーストラリア州では同性愛が合法となっていたものの、ニューサウスウェールズ州はまだ違法行為。このデモパレードは警察沙汰となり53人の逮捕者が出て、職場を解雇された人たちも。

しかしこれがきっかけで翌年には法律が変わり、警察に届ければ自由にデモが行えるようになって無事に2度目のパレードが終了。3000人もの人が参加しました。

80年代にはエイズの問題や色々な事でゴタゴタしたものの、1984年にニューサウスウェールズ州でも同性愛が合法化。開催時期も1981年に6月から季節の良い2月へ変更されています。
(6月だったのは、ニューヨークで起こったストーンウォールの反乱という、同性愛者が初めて警官に立ち向かった暴動事件が1969年6月28日だったからだそうです。)

こうして色んな事を乗り越えながら、今日では他州だけではなく世界中からも人が集まる大イベントとして、ニューサウスウェールズ州の経済効果にも多大な影響をもたらすまでに成長しています。

今では外国人が同性をパートナーとしてビザを取る事は認められていますが、記憶に新しい2017年12月には、同性婚が合法化されました。

そういう過去を乗り越えて、今があります。

おわりに

この時期にシドニーにいるなら、このイベントを実際に味わってみるべきかもしれません。「こんな世界があったのか!」と驚くかも。

 

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Acknowledgement to Country

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