シドニー南側の地域はシドニー空港が近いので、マリックビルやマスコット、ボタニーなどでは「わあ、近い‼︎」と驚いてしまうほど頻繁に飛行機が低く飛んでいるのを見掛けます。
ですが、もし近くで飛行機を見たいなら、『ポートボタニー・フォーショア (Port Botany Foreshore)』が絶景なのでおすすめです!
透き通るきれいなビーチのすぐ先に滑走路があり、そこから飛行機の離陸・着陸の様子がとてもクリアによく見えます。
※ 時間や日によっては全然飛行機が飛んでない可能性もあり。
それに散歩コースとしても良い場所で、ネット上にほとんど情報が載っていないのが不思議なくらいの、知る人ぞ知る素敵なスポットと言っても良いでしょう。
おすすめポイント
- 滑走路に飛行機が発着する様子がよく見える
- シドニーの重要なコンテナターミナルの様子が観察できる
- ジョギングや散歩にも最適
- 釣り人も多い場所
- 日によっては水泳も可能 (だが、おすすめはしない)
- バードウォッチング出来る河口もあり
飛行機が至近距離で見えるボタニー
ボタニーの Sir ジョセフ・バンクスパーク東側 (Booralee Street 入り口付近) でも、上の写真のように至近距離で飛行機が見れることがあります。
と言うのも、ここから Foreshore Road を挟んだ向こう側に、シドニー空港があるからです。
で、今回紹介するのが、その空港の手前にあるビーチを含む公園、ポートボタニー・フォーショア (Port Botany Foreshore) になります。
そこから見える飛行機の短い動画も撮ったので、観てみてください。(本当は飛び立つ様子をカッコよく撮りたかったんですが難しかったので、雰囲気だけ分かってもらえらば)
ね、近くないですか⁉︎
ちなみに、フォーショアにはトイレや簡易シャワーはありますが、お店はありません。なので、特に歩いて行く場合は飲み物、場合によっては食べるものは準備して行ってください。
行き方
もし車で行く場合は簡単です。フォーショアの Foreshore Road Boat Ramp と Mill Stream Lookout に大きな駐車場があります。
公共交通機関で行く場合は、まず309のバスで Sir Joseph Banks Park まで行って、そこから公園の西側、プレイグラウンドの近くにある歩道橋 (Foreshore Road Pedestrian Bridge) を渡ってください。
Sir ジョセフバンクスパークについては別記事に詳しく書いているので、そちらも参考にしてみてくださいね。
シドニー郊外にあるボタニー (Botany) には、知られざるオーストラリアの歴史が詰まっています。1770年4月にキャプテン・クックと航海した植物学者ジョセフ・バンクスの由来の地というのもあるのですが、実は19世紀のボタニーは人気[…]
パークから見上げた歩道橋
ここがポートボタニー・フォーショアまで行く歩道橋です。では行きましょう!
歩道橋の上にも展望台が!
歩道橋の上を歩いて、大きな道路を横切ります。
そして歩道橋の中間くらいに来るとルックアウト (展望台) があるので、まずは見てみましょう。
この展望台からは空港の滑走路とコンテナターミナルが見えるので、飛行機が離着陸する様子や、クレーンが荷物を積み下ろしする様子などが観察出来ます。
水平線の向こうに滑走路があるのが分かるでしょうか?右に見えるのは、ポートボタニー・ボートランプです。
Sir ジョセフ・バンクスパークや対岸のカーネルからでも目立つこのコンテナターミナル (国際物流ターミナル) は、ニューサウスウェルズ州最大規模なだけあって、かなり大きいです。
ここから国内外へ輸出・輸入するための船が出航し、下ろされた荷物は鉄道やトラックでニューサウスウェルズ州全域の倉庫や工場へ運ばれて行きます。
そして実は、このコンテナターミナルがあるポートボタニーは三重県四日市港と姉妹関係でもあり、ポートボタニーには記念碑も建ってるんですよ。(ここからだと近いようで遠くて、309のバスでマトラビルまで行く必要がありますが)
「えっ、シドニーのポートボタニーって三重県の四日市港と姉妹関係で、その記念碑まであるんだ⁉︎」シドニーに長く住んでいても、まだまだ知らないことがたくさんあるものです。 シドニー空港も近いポート[…]
展望台にある説明パネル
歩道橋を降りると、最初に辿り着くのがポートボタニー・ボートランプ (Port Botany Boat Ramp) です!
最初に辿り着くポートボタニー・ボートランプ
ボートランプというのは、ボートが海に出入りしやすいために設置されたスロープがある場所。上の地図でいうと、三角形の所になります。
広い駐車場の向こう側がボードランプです。
そのまままっすぐルックアウトに向かっても良いのですが、ちょっとボートランプに寄ってみましょう。
とても広い駐車場です
ちょうどボートが陸地に上がるところ
釣りをしている人もたくさんいます
採ってはいけない魚介類やサイズ
この看板、サメ危険の注意喚起かと思ったら、捕獲したり危害を加えたりしたら、厳しい罰則が科せられることを伝えるものでした。
ここは釣った魚を洗う場所で、網で囲まれているのはカモメやアイビス、ペリカンなどの鳥たちが魚を漁るのを防ぐため。鳥が増えると飛行機に衝突してエンジンや機体に損傷を与えることもあるので、鳥に餌を与えるのは厳禁です。
ボートランプの横に突堤のようなとことがあり、ここを先まで行くと、より近くで飛行機やコンテナターミナルを見ることが出来ます。
向こう側の飛行機が見えますか?この距離でこんなにしっかり飛行機が見れるのは、ちょっとびっくりしません⁉︎
そして、ここがいちばん先っぽ。
ここからもコンテナターミナルがよく見れて、ここにも説明のパネルがあります。
- コンテナターミナルについてはここをクリック
昔のシドニーでは「Wharfies (Wharf を文字ったオージースラングと思われる)」と呼ばれる労働者が肉体労働で荷物の積み下ろしを行っていました。
しかし、1950年代になると貿易量の増加に伴いシドニー港のフインガーワーフ周辺では対応が難しくなったため、1967年にバルメイン (グリーブアイランド) のホワイトベイにニューサウスウェルズ州初のコンテナターミナルを建設。
このコンテナを導入することで、時間や労力がかなり短縮され、盗難のリスクも軽減されたといいます。
そしてその後すぐに輸入がブームとなり、大型貨物船とコンテナの積み下ろしが出来る広いエリアが必要になり、ここボタニーの一部が埋め立てられたのです。
1979年にボタニーの Brotherson Dock がオープンし、それによってシドニーのコンテナ輸送キャパシティは2倍になりました。
ということで、現在もこのコンテナターミナルは、シドニーの重要な場所になっています。
東側のルックアウトにも行ってみる!
さて、次はフォーショア東側にあるルックアウトに向かって歩いてみましょう。
ルックアウトへ行く道の途中には、トイレやシャワーもあります。
シャワーといっても簡単なものですが
ただ、雨が降っている時及び雨が降って少なくとも3日は、水が工場は廃棄物で汚染されている可能性が高いので、泳がない方が良いとのこと。「自己責任で」らしいですよ。
晴れた日の水は透き通っててきれいですが、まあわざわざここで泳がなくても…という気はします…。
そして、ここにも現在地を示す地図。
ミールストリーム・ルックアウトに向かって、さらに歩いていきましょう!
道を歩くかビーチを歩くか、それが問題
私が最初にこの道を歩いた時、海沿いの砂浜を歩けば良かったのかな…とちょっと後悔しました。
というのも、木が生い茂って壁のように海岸沿いの景色を遮り、せっかくのビーチも飛行機も見えない変わり映えのない道が続くからです。
…ですが、いざ砂浜を歩いてみると、それはそれで靴に砂が入って歩きにくいんですよね‼︎
うーん究極の選択…、というほどではないので (笑)、行きと帰りでルート変えても良いかもしれません。
たまーにチラチラと木の間から海が見えて、飛行機が飛んでるところまで見えてしまうと「あっ、見たかったのに‼︎」という気分になるとかならないとか。
でも途中2ヶ所、海岸に出る横道があるので、ここから海岸に出れます。
ビーチへの横道1ヶ所目
ただ、ここにはバンクシアやワトル、ティーツリーなど、オーストラリア固有植物がたくさん植えられているので、そういうのを楽しみながら歩くのも良いのではないでしょうか。
本来は生息していないはずの Bitou Bush や Lantana という雑草とみなされている植物を除去するために、雑草除去プログラムというのが実地されているそうです。
ビーチへの横道2ヶ所目
環境に関する看板も
日や時間帯にもよりますが、ビーチに出ると、飛行機の発着がバンバン見えます。
ミールストリーム・ルックアウト
さて、ミールストリーム・ルックアウトが遠くに見えて来ました。
道側から来た場合の景色
ここでは目の前が飛行機の滑走路、左にはコンテナターミナルが見えます。
ここにあるパネルは、ボタニーの歴史について書かれています。
現在、このボタニー湾は歴史的にも重要な場所として知られていますが、キャプテン・クックがボタニー湾に来た1770年頃の地形は今とは全然違います。
- ボタニーの歴史はここをクリック
- オーストラリアにおける西洋人入植の歴史は、ボタニー湾から始まったとも言えます。
先住民カメイガルの人々 (Kameygal People) のものだったマングローブだらけだった浜は、1877年に西洋人が入植してから、次第に工業や住宅として開発されて行きました。
最初の西洋人による開拓地は、ここから数キロ北のシドニー湾近郊のポートジャクソンでしたが、19世紀初頭にはオーストラリアに連れてこられた囚人たちがこの場所で石灰の採掘に駆り出され、1820年代にはこの土地を与えられた入植者が住み始めています。
そして、Sir ジョセフ・バンクスパークの記事でも書いていますが、1844年にこの近くに Sir ジョセフバンクスホテルが出来たことで、乗馬コースやスポーツスタジアム、動物園などもつくられ、さらに1860年代までにクリケットグラウンド、ボウリング、アーチェリー場などが追加され、観光客で賑わっていました。
1880年に政府の桟橋が建設されボタニーベイは貿易港となり、シドニー空港 (Kingsford Smith Airport) の建設は1947年に始まっています。
この場所は埋め立てられて出来た土地で、昔の海岸線はもっと手前にありました。
飛行機はいつどこから発着するか分からないので、写真や動画を撮るタイミングが結構難しいかもしれません。
ちなみに、ルックアウトの裏手は石が多くてちょっと足元が不安定ですが、ここからも飛行機はよく見えます。
違う土曜日に2回来ましたが、1回目は飛行機があちこち飛んでいたのに、2回目はあまり飛んでませんでした。なので、シャッターチャンスは運やタイミングも大事ですね。
さて、今度はコンテナターミナルのあるボートランプ方面に戻って、反対側のバードウォッチングが出来るペンリン河口に行ってみましょう!
反対側のペンリン河口
ボートランプまで戻ると、二手に分かれた道があります。
最初の Sir ジョセフ・バンクスパークがある歩道橋戻るなら右側の道ですが、ペンリン河口は左側の道です。
ここにある地図で現在地が分かりますが、ちょうど二つの道が交差するようになってます。
上の写真で見ると、もっと分かりやすいでしょうか。最初に来た歩道橋の下をくぐるような形でまっすぐ進みます。
コンテナターミナルが右にありますが、こちらの角度から見ると、やはりなかなかの規模です。
途中で分かれ道がありますが、どちらに行っても最終的に同じ場所に出るので、好きな方に行ってください。
大きな十字路のようなところに出るので、信号を渡ります。右側はポートボタニーのコンテナターミナルに行く道です。
信号を渡ったら、またまっすぐ。
しばらく歩くと、柵のある入り口に到着します。
この柵の向こうは Shorebird (日本語ではシギチドリ) と呼ばれる渡り鳥の生息地です。
数が少なくなって来ているシギドリには湿地帯が必要で、ここは鳥たちにとって重要な場所になります。
BirdLife Australia のサイトによると、37種のシギチドリが定期的にオーストラリアを訪れていて、1種を除く全ての種類が毎年最大6ヶ月間をオーストラリアで過ごすとのこと。
夜間、入り口は施錠されていますが、明け方から日暮まではオープンしてます。
鳥に餌をあげることも、犬を連れて入ることも厳禁です。ルールをよく読んで、中に入ったらしっかりと入り口のドアを閉めましょう。
「ペンリン河口は産業汚染のため、娯楽目的のフィッシングが禁止されています」という看板も。
中に入ると道があるので、進んで行きます。
ぐるっとバードウォッチング出来る場所に着きました。
このパネルには、この河口をシギチドリの長期的な生息として確保し保護することで、教育や研究の機会を提供していることなどが書かれています。
他にもたくさんのパネルがあるので、行ったら読んで見てください。
座る場所もあります
ここにも歴史が書かれたパネルが。
良い写真がないのですが、ここの右側に1880年に建設された政府の桟橋の名残があり、主な用途はニューカッスルから石炭を運んでくるためでした。
当時、石炭はボタニーやバンクスメドウの産業を確立させるためには必須で、長い桟橋としても知られていましたが、その頃の海岸線は今よりももっと北、歩道橋が架かっているフォーショアロードよりも手前だったそうです。
ここにはシギチドリの種類が書かれています。
小窓から覗くコンテナターミナル
おわりに
長くなってしまいましたが、ボタニーは歴史あり豊富な自然ありで、掘り下げると色々出てきます。
冒頭でも書いたように、このフォーショアの情報はネットで検索してもあまり出てきませんが、とても良い場所です。
ですが、そこそこ人もいたので、地元の人だけが知ってるような、とっておきの場所なのかもしれません。