オーストラリアのチェリーキャピタルとして知られる町ヤング (Young) は、ニューサウスウェールズ州の南西部斜面地域 (South Western Slopes) にある、丘陵に囲まれたヒルトップスで最大の町です。
ヒルトップ地域は標高が高く、肥沃な土地に恵まれているため、年間を通して様々な果物が栽培され、冷気な気候に適したブドウでワインも作られています。
また、ゴールドラッシュ時代に金鉱があった町でもあり、歴史も豊富です。
そんなヤングの楽しみ方は、ワイナリー巡り、フルーツピッキング、歴史散策、フェスティバル、アウトドアなど色々あります。
ヤングについて
ヤングで最も有名なのはチェリーです。
オーストラリアのビッグシングスとして知られるビジターインフォメーションセンター前にあるビッグチェリーのモニュメントがそれを象徴しています。
ヤング周辺の土地は肥沃で、プラム、アプリコットイチゴなど一年中果物で溢れていますので、フルーツピッキングを楽しんだり、マーケットなどで地元の新鮮な農産物を購入したりするのも楽しみのひとつでしょう。
ヤングの主な楽しみ方
- フルーツピッキングやマーケットで果物や名産物をゲット
- ワイナリー巡り
- 歴史散策 (博物館やウォーキングなど)
- フェスティバル
ヤングはシドニーから車で片道約4時間、キャンベラからは2時間程度です。最寄りの空港はキャンベラ、ワガワガ、バサースト。シドニーからメルボルンへのロードトリップで立ち寄るにもちょうど良い場所にあります。
ただ、シドニーから公共交通機関で行こうとすると、バスを乗り継ぎたどり着くまでに10時間くらいかかってしまうので、車か旅行の途中に行くのがおすすめです。(ただ、バスも通っていない町から離れた見どころもあるので注意)
モーテル、B&B、キャンプ場など、宿泊場所はたくさんあるので、上手く利用してください。
知っておきたいヤングの歴史
ヤングはもともとランビングフラット (Lambing Flat) と呼ばれていましたが、1863年に当時ニューサウスウェールズ植民地総督だったジョン・ヤングにちなんで「ヤング」と改名されました。
町は1882年に正式に認められ、1889年にヤングがオーストラリアで初めて道路や家に電気が通った町になりました。(その次がタムワース) また、旧ヤングシャイア時代、ニューサウスウェールズ州で初めて農村部のスクールバスシステムを導入しています。
1904年、国内初の労働党政権の代表クリス・ワトソン (Chris Watson) は、ヤング出身でした。
19世紀にはゴールドラッシュで賑わった町でもあり、西洋人と中国人の間で起こった「ランビングフラットの暴動 (Lambing Flat Riots)」と呼ばれる事件は有名です。
- 歴史についてさらに詳しくはここをクリック
- この地に最初に来たヨーロッパ人はジェームズ・ホワイト (James White) という人物で、1826年に「Burrangong」と名付けた牧場を設立。(彼の物語は Brothers in Exile という小説にも書かれているようです) 1860年には金塊が見付かり、人が集まるようになりました。
そして、1860年11月から1861年6月にかけて起こったのが、「ランビングフラットの暴動 (Lambing Flat Riots)」です。これは、実質的にオーストラリアで初めての西洋人と中国人の対立でした。
ランビングフラットの暴動
ヤングの金鉱では1万5000kgの金が採取され、約2000人の中国人鉱夫を含む約2万人の鉱夫が金鉱で働いていたと言われています。
金の採取量が減るにつれて西洋人の鉱夫たちが、より勤勉な中国人の方が成功していると考え、憤慨して起こった暴動で、3000人にも上る反中国派の鉱夫によって、多くの中国人が強盗や殺人などの襲撃に遭いました。
最終的には鎮圧され、中国人鉱夫の権利は回復したものの、ニューサウスウェールズ植民地政府は中国人移民法案を可決し、中国人の入国数を制限するとともに、入国の際には1人当たりの税金を課したのです。
1860年代後半、この地域に残った中国人の一部は野菜作りに成功し、ヤングや近隣の町、遠くはワガワガまで野菜を供給しました。
(この情報は主に Wikipedea を参考にしています)
これについては、ヤング歴史博物館 (Young Historical Musium) で詳しく知ることが出来ます。
ヤングのイベント
ヤングの主なイベントは、Lambing Flat Chinese Festival や、National Cherry Festival です。
ランビングフラット・チャイニーズフェスティバル
ゴールドラッシュとオーストラリアの発展における中国人コミュニティの貢献を記念して、3月頃に行われるランビングフラット・チャイニーズフェスティバル (Lambing Flat Chinese Festival)。
獅子舞や龍の舞、パレード、屋台など盛りだくさんのイベントですが、2020年に新型コロナウィルスの影響で中止になって以降の情報が見付かりませんので、現在も開催されているかは不明なので、要確認です。
ナショナルチェリーフェスティバル
毎年11月から12月にかけて1週間ほど開催されるナショナルチェリーフェスティバル (National Cherry Festival) では、パレードやチェリーパイ早食い競争、タネ飛ばし競走、ライブミュージックなどが開催され、花火も上がります。
こちらはウェブサイトもありますので、詳しくはそちらを確認してみてください。
ヤング & リージョン・ファーマーズマーケット
新鮮な地元の名産品をマーケットで買うのもありですよね!
Young and Region Farmers Market は、ヤングのビジターインフォメーションセンターの近く、Anderson Park で第1土曜日と第3土曜日に、開催されます。
正午までと終了時間が早いようなので、気をつけてください。
ヤングのライオンズクラブやその他の地元団体によるバーベキューもあり、お茶、コーヒー、ソーセージ サンドイッチ、ベーコン エッグ ロールなども提供されています。
ヤング中心部の観光
ヤングの中心部にはブティックやレストラン、カフェ、パブなど数多くの店があります。高品質の肉屋、受賞歴のあるコーヒーやワイン、名産品など、おいしいものがたくさんです。
まずはビジターインフォメーションセンターへ!
ヤング・ビジターインフォメーションセンターは、1885年に建てられた、かつてのヤング鉄道駅にあります。ビッグチェリーのモニュメントやアンダーソンパーク (Anderson Park) のすぐ近くです。
まずはここで色んな情報を入手しましょう!
ジャムやオリーブオイルなど、このエリアの名産品やお土産も購入出来ますし、地元のワイン試飲も出来ます。
また、館内には 1982年に設立されたヒルトップス地域の非営利団体 Young Society of Artists Inc による Burrangong Art Gallery も併設。展示されている地元のアーティストの美術作品は、購入も可能です。
Lovell Street, Old Railway Station, Young NSW 2594
https://www.nsw.gov.au/
9am-5pm
ヤング・タウンホール
町の中心にあるヤングのタウンホールは、ニューサウスウェールズ州で最大の大きさを誇り、第一次世界大戦の記念碑としてそびえ立つ時計塔が印象的です。
1889年、この場所に発電所があり、ヤングが大英帝国のどの場所よりも早く電力供給の先駆者となった歴史が感じられます。
町には他に19世紀に建てられた教会や銀行、公的機関の建物などが色々と残っているので、歴史散策の散歩をしてみても良いかもしれません。
ヤング歴史博物館
ヤング歴史博物館 (Young Historical Museum) は、1883年に建てられたかつて学校だった建物にあります。
珍しい昔の家庭用品や農機具、金採掘道具、歯科用器具、学校の記念品、退役軍人関連のものなど様々な展示を通して、バランゴン金鉱の歴史や、世界中からやって来て今日のヤングの基盤を作った多くの鉱夫とその家族について知ることが出来るでしょう。
1860年に人々は金塊に惹きつけられてここへやって来ましたが、この地に留まる理由となったのは豊かな土壌でした。
そして小麦、野菜、チェリー、ブドウなどを植え、牛や羊を飼育して生計を立てた彼らの陰には、もともとここに住んでいたウィラジュリ (Wiradjuri) の人々の土地を奪ったことや、彼らの労働力があったことも忘れてはいけません。
見どころ
- 1861年6月、ランビングフラットの暴動の際に、約千人の西洋人鉱夫たちが Sawpit Gully や Back Creek のキャンプから中国人鉱夫たちを追い出すために掲げた「Roll Up No Chinese」の旗。
- ウィラジュリのバロウマンディトリー (Burrowmunditory) グループのリーダーであるコボーン・ジャッキー (Coborn Jackey) が、1830年代にこの地域に最初に移住した西洋人のひとりジェームズ・ホワイトから受け取った胸当て。
- 19世紀後半に警察が先住民トラッカーを使ってブッシュレンジャーを追跡していた頃のフランク・ガーディナーの祈祷書 (Frank Gardiner’s prayer book) や、先住民トラッカーの小屋にあった椅子など。
2 Campbell Street, Young, NSW 2594
https://younghistoricalmuseum.wordpress.com/
火〜土 10am-4pm / 日・月 閉館日
入場料: 大人$7、子供$3
おすすめのお店
Poppa’s Jam and Fudge Factory
2005年にオープンしたギフトショップでは、手作りのファッジをはじめ、ジャムやチャツネなどが買えます。
21 Lovell Street Young NSW 2594
https://poppasfudgefactory.com.au/
月 9am-3pm / 火〜木 9am-4pm / 金 9am-5pm / 土 9am-2pm / 日 10am-2pm
Hussy Specialty Coffee
おいしいコーヒーと食事が出来るカフェです。
35 Main Street, Young NSW 2594
https://www.hussyspecialitycoffeeandkitchen.com.au/
月〜金 6.30am-4pm / 土 7.30am-3pm / 日 8am-2pm
The Cranfield
2022年にオープンしたヒルトップスのワインと豊富な食材を使った料理を提供するワインバー兼レストランは、1888年に建設されたフリーメイソンの建物にあります。
タウンセンターから車で
ヤングの公共交通機関はあまり発達していないので、町 (タウンセンター) から出るなら車が必要です。
Lambing Flat Chinese Tribute Gardens
町の中心部から4kmほど南にあるラビングフラット・チャイニーズトリビュートガーデン (Lambing Flat Chinese Tribute Gardens) は、チャイナマンズダム・リバース (Chinaman’s Dam reserve) にあります。
1860年代のヤング入植における中国人コミュニティの貢献、そしてオーストラリア国家に対する中国コミュニティの継続的な貢献を称えるために設立された庭園は、1992年から整備が始まりました。
ピクニックやバーベキューを楽しめる静かな場所です。
※ 公共交通機関はありません。
Pitstone Road Young NSW 2594 Australia
https://www.visithilltopsregion.com.au/
Chinamans Dam
ソピットガリー (Sawpit Gully) のピットストーン (Pitstone) と呼ばれる場所にあるチャイナマンズダム (Chinamans Dam) は、現在カウンシルが管理していますが、もともとは1860年代にビクトリアヒルにある金鉱に水を供給するため、ドイツ人兄弟、Herman と John Tiedemann によって建設されたものです。
彼らは1870年代にダムを含むその周辺の土地を中国人グループに売却し、1882年からダムは蒸気機関車に水を供給するため、そこから396km離れたヤングタンクと呼ばれる施設に水を送ることを目的に、鉄道の施設として使用されています。
1885年から1901年まで、蒸気機関車は水を補給するためにヤングタンクに停車し、1901年にかつてのヤング駅に給水施設が建設されてからも、水はチャイナマンズダムのものでしたが、Burrinjuck Dam から水を供給するようになり、1936年にチャイナマンズダムの水供給は停止しました。
1962年に、ダムは王室に変換されています。
チェリーピッキングをしよう!
さて、せっかくならチェリーのピッキングをしたくないですか?チェリーシーズンは、11月から12月 (長くて1月) です。
Ballinaclash
3世代にわたる家族経営の果樹園では、1965年からチェリー、1997年からはブドウの栽培を始めているので、チェリーピッキングだけではなく、ワインも楽しめる場所です。
季節によってアプリコットなどもピッキング出来る他、農場直売店もあり、手作りジャムなども購入も出来て、一年中楽しめます。
4321-4335 Olympic Hwy, Young NSW 2594
https://ballinaclash.com.au/
Valley Fresh Cherries
ここでは11月中旬から12月下旬までのチェリーピッキング、1月下旬から2月下旬にはシュガープラムピッキングが出来ます。
4179 Olympic Highway South, Young NSW 2594
https://www.valleyfreshcherries.com.au/
9am-4.30pm
Stony Creek Orchard
ストーニー クリーク・オーチャードは、4世代にわたって管理されている小さな果樹園で、オーストラリアで最も上質なチェリーを生産することに情熱を傾けながら、チェリー栽培の伝統を引き継いでいます。
Backcreek Orchard
プレミアムチェリーを栽培するという夢を抱いて1993年に植えられたチェリーの木から始まった家族経営の果樹園で、チェリーをピッキングしましょう。
Backcreek Orchard
727 Back Creek Road, Young NSW 2594
https://backcreekorchard.com/
ワイナリー
ワインも栽培されているヒルトップス地域。Young、Boorowa、Harden 周辺には、海抜500メートル以上の高地でブドウを栽培するブドウ園が20か所ほどあり、場所によっては試飲可能です。
Grove Estate Wines
オーストラリアや海外で高い評価を受けているワインを作るグローブエステートは、1989年にブドウの木が植えられ、1999年にかつてのチェリーピッカーの小屋だった場所にセラードアが設立されました。
Chalkers Crossing Winery
チョーカーズクロッシング・ワイナリーは、フランス風のワインを専門とするワイナリーです。
ブドウ畑はニューサウスウェールズ州のヒルトップスと、スノーウィマウンテンズの麓に位置するタンバランバ地域にあります。
285 Henry Lawson Way, Young NSW 2594
https://www.chalkerscrossing.com.au/
月〜金 9.30am-4pm
おわりに
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