イギリスと英連邦王国の女王であるエリザベス2世が2022年9月8日に逝去したことにより、オーストラリアの祝日であるクイーンズバースデーに若干の変更があります。
と言っても、もともとオーストラリアでは実際のエリザベス女王の誕生日である4月21日に祝っている州はありません。
ということで、祝日の名前がクイーンズバースデー (Queen’s Birthday) ⇨ キングズバースデー (King’s Birthday) になるくらいで日にちは特に変わらない可能性が高いです。
ちなみに、それとは別に今年の9月22日木曜日はエリザベス女王を追悼する日として祝日になるという発表がありました。これによってビクトリア州だけはAFL (オーストラリアンフットボール) のグランドファイナル前日と合わせて22日(金)〜25日 (日) まで4連休になります。
さて、この記事ではクイーンズバースデーの祝日について、なぜ州によって日付が違うのかなど詳しく掘り下げてみようと思います。
州によっては日程が違うキングズバースデー
今のところキングズバースデー (旧クイーンズバースデー) の祝日は、クイーンズランド州と西オーストラリア州以外は6月の第2月曜日です。
クイーンズランド州は10月の第1月曜日、西オーストラリア州は9月の最終月曜日になります。
ということで、2022年はクイーンズランド州の10月3日と西オーストラリア州の9月26日が、さっそくもうすぐキングズバースデーを迎える予定です。
でもなぜクイーンズランド州と西オーストラリア州は、祝われる日が他の州とは異なるのでしょうか。
QLD州とWA州の祝日が他州と異なる理由は…
クイーンズランド州と西オーストラリア州の祝日が9月、10月なのは、要するに年間を通して均等に祝日が配置したためです。
西オーストラリア州は6月の第1月曜日に西オーストラリアデー(旧ファウンデーションデー)の祝日があるため。
クイーンズランド州は3度変更されていて、2012年にエリザベス2世60周年を祝うダイヤモンドジュビリー (Diamond Jubilee) のためにこの州だけ祝日を10月に移動させたものの、2013年にもとの6月に戻しました。ですが、2016年に勤労感謝の日であるレイバーデーが5月になったので、また10月になっています。
では、なぜ実際の誕生日とは関係ない6月に祝うのでしょうか。
なぜ祝う日が実際の誕生日ではないのか
なぜ6月なのかというのは、やはり行事の関係です。詳しく知るには、少しだけ歴史を遡って見てみる必要があります。
国王、もしくは女王の誕生日が公式にイギリスで祝われるようになったのはグレートブリテン王国時代だった1748年、ジョージ2世 (在位期間1727年6月11日〜1760年10月25日) の誕生日からで、それ以来イギリス及び英連邦国で祝われるようになりました。
オーストラリアもイギリスの入植が始まった最初の年である1788年から、初代総督アーサー・フィリップによって祝われています。
その当時の国王はジョージ3世 (在位期間1760年10月25日〜1820年1月29日) で、実際の誕生日である6月4日に祝われていました。そして1936年にエリザベス2世の祖父であるジョージ5世 (在位期間1910年5月6日〜1936年1月20日) が亡くなるまでは、本当の誕生日に祝われていたのです。
しかし、その後に即位したエリザベス2世の父ジョージ6世 (在位期間1936年12月11日〜1952年2月6日) の誕生日が1895年12月14日だったため、クリスマスなどのイベントが近くて大変ということで、6月がキングズバースデーが継続されました。
1926年4月21日のエリザベス2世 (在位期間1952年2月6日〜2022年9月8日) の誕生日もイースターやアンザックデーと行事が重なるので、6月のままということに。(エリザベス女王の祝日は1957年までジョージ6世と同じ6月の第2木曜日でしたが、その後6月の第2月曜日に変更)
こうして現在の祝日になりました。
イギリスではもっと早いエドワード7世 (在位期間1901年1月22日〜1910年5月6日) の時代から実際の誕生日には関係なく5月や6月に祝われています。というのも、エドワード7世の誕生日が11月だったため、キングズバースデーに行われるパレードは北半球の寒い冬に祝うよりも天候の良い時期が好まれたからです。
こういう王室関係は名前やら年号やらごちゃごちゃしていてややこしいですね。
これにオーストラリアが絡むとますますこんがらがりそうになるので、とりあえず簡単な年表↓を作ってみました。
そしてこの祝日、当然ですが国によっても違います。
国によっても違う祝日
この祝日は国によってもバラバラで、例えばキングズバースデーはこれからどうなるか分かりませんが、クイーンズバースデーはイギリスだと6月の第2土曜日、ニュージーランドは6月の第1月曜日でした。
カナダに関しては、5月25日の前の月曜日にビクトリア女王 (在位 1837年〜1901年) を祝うビクトリアデーが盛大に行われていて、一応エリザベス女王の誕生日も兼ねているそうですが、ほとんど言及されないのであまり知られてないようです。
オーストラリアもかつて祝っていた5月24日のビクトリア女王の誕生日ですが、1901年に女王が死去した後の1903年からはエンパイアデー (Empire Day) と名前を変えて祝われ、夜には花火で盛り上がっていました。ですが、エンパイア・デーが行われたのは1958年が最後だったようです。
おわりに
この記事を書いている時点ではまだエリザベス女王が亡くなって日が浅いので、これからもっと変更されることがあるかもしれません。
とりあえず、オーストラリアはイギリスと密接に関わっている連邦王国なので、イギリスについても知っておかないと理解出来ないことが色々あるなと思いました。
参考にしたウェブサイト: King’s Official Birthday – Wikipedia / Queen’s Birthday in Queensland in 2022 – Office Holidays / Victoria Day | Canadian holiday | Britannica / Queen’s Birthday holiday changed | The Courier Mail / Public holiday change for Queensland – The Courier Mail