近年、地球平面説や月は巨大宇宙船説など様々な都市伝説がありますが、実はオーストラリアにも色々な話があります。
という事で今回はオーストラリアで密かに語られている都市伝説を10個ほどピックアップしてみました。
都市伝説(としでんせつ、英: urban legend)とは、近代あるいは現代に広がったとみられる口承の一種である。大辞林 第二版には「口承される噂話のうち、現代発祥のもので、根拠が曖昧・不明であるもの」と解説されている。(Wikipedia より)
つまり、本当なのか嘘なのかマユツバな話なので、話半分で楽しんでください。
アウトバックだろうとブッシュだろうと、アーバンレジェンドはアーバンレジェンドっていう名前なの!
旅行者を襲うドロップベア
まずは、かなり昔から目撃情報があるドロップベア (Drop Bear) です。
見た目はコアラにそっくりなのですが、コアラよりもひとまわり大きく鋭い牙を持ち、木の上から突然落ちて来て人や動物を襲います。
でも不可解なのは、なぜか地元の人ではなくバックパッカーや旅行者ばかり狙う事。
彼らはベジマイトの成分が苦手なので、耳の後ろに塗ると被害を避けられるという話もありますが、詳しい生態については謎のまま今日に至っています。
というのも、実はまだ本当に実在しているという証拠をつかんだ人はいないので、UMA (未確認生物) 扱いになっているからです。
ドロップベアについて心配な人は、別記事にもっと詳しい情報を書いていますので、そちらも参考にしてください。
幻の黒ヒョウ
オーストラリア各地に現れる謎の黒いヒョウ (Black Panther)、こちらは目撃情報だけではなく写真やビデオも撮られています。
ニューサウスウェルズ州のブルーマウンテンズ (Blue Mountains)、リスゴー (Lithgow)、ホークスベリー (Hawkesbury)、ビクトリア州のギプスランド (Gippsland)、その他の多くの地域で黒ヒョウのような巨大猫の目撃情報が相次いでおり、1998年から現在まで500件を超える報告があるそうです。
他にも高い木の上に大きな猫のような引っ掻き傷が発見されたり、飼っている羊や牛が被害にあったり、一度は10代の少年が大きな猫のような動物に襲われて酷い傷を負う事件もありました。
実は、こういった報告は100年以上前から度々あるのですが決定的な証拠は掴めておらず、未だ謎に包まれています。
オーストラリア固有動物とは考えにくいので、可能性としては19世紀〜20世紀前半頃に巡回サーカスから逃げ出した動物の子孫、または第二次世界大戦中にパイロットたちが飼っていた動物が放されたなどが考えられますが、あくまでも憶測の域を超えていません。
証拠写真として撮られた写真の中には、ただ普通に散歩している飼い猫を撮ったものも多く含まれているのではという見解もあります。
(参考: Blue Mountains Panther | Cryptid Wiki | Fandom)
ホークスベリー川のモンスター
シドニー郊外にあるホークスベリー川 (Hawkesbury River) は、20世紀初頭からモンスターを見たという話が絶えず、この川にはオーストラリア版ネッシーがいるとウワサされています。
最近では2009年に12mの巨大な生物を見たという報告もあり、巨大ウナギではないかとか、ジュラ紀に生き残った恐竜ではないかとか色々な憶測が飛び交いました。
更に、何千年も前に原住民によって描かれたロックアートにも似たような生物が書かれているのが発見されていて、彼らはその存在を知っていたのではないかと仮説されています。
(参考: We Have Our Very Own Nessie And It’s Apparently Lurking In NSW’s Hawkesbury River – Pedestrian TV)
ビッグフットの伝説
古くから原住民の間でも語り継がれていたビッグフット (Big Foot) の話ですが、実際に姿や足跡を目撃したという話は数多く存在します。
1700年代に西洋人がオーストラリア大陸に来た頃から度々ビッグフットの目撃情報があり、19世期に入っても続きました。そして、それは近年まで続いているようなのです。
もっとも有名な名前はヨーウィー (Yowie) ですが、他にも Bunyip、Quinkin、Joogabinna、Ghindaring、Jurrawarra、Myngawin、Puttikan、Doolaga、Gulaga、Thoolagal、Yaroma、Noocoonah、Wawee、Pangkarlangu、Jimbra、Tjangara など様々な名前で呼ばれています。
ビッグフットの特徴も目撃した人によって異なり、人間より大きい足を持っているというのは共通しているものの、足の形や足の指の数などは一貫性がありません。毛むくじゃらの身長2.1m〜3.6m、鼻は大きくて平たい類人猿のような生き物と言われていたり、沼地や滝壺のような湿った場所に住んでいて夜な夜なおたけびをあげると言われていたり色々な話があり、性格も臆病で恥ずかしがり屋という説もある一方、攻撃的という説もあります。
シドニーの地下には秘密のトンネルがある
都市部でも様々な都市伝説があります。シドニーの地下には秘密の地下世界 (Secret Subterranean World) が広がっているという都市伝説が、一部の人たちの間でまことしやかにささやかれているのです。
オーストラリアで最初に開拓された町、シドニーのロックスなどには初期の囚人たちが作ったトンネルが多く残っているのですが、その中にはお酒や人間を密輸するための秘密の通路があるのだ、と。
St James Station の地下でも秘密の軍事訓練が行われているというウワサもありますが、これは1920年代に地下に電車用のプラットフォームやトンネルが作られたのにも関わらず、実際に運用される事がなかった事から派生しているようです。
※ そのトンネルの写真はこちらのニュースで見れます。
クラウンカジノの地下には…
メルボルンにも色々と不気味なウワサがあり、こちらも地下の話です。
オーストラリア最大の規模を誇るメルボルンのクラウンカジノ (Crown Casino) の地下には秘密の死体安置所があるという話があります。
オーストラリアはギャンブル大国でもあり、残念ながらクラウンカジノ内で自殺や自殺未遂を起こす人が実際に存在するのは事実なのですが、実は報告されているよりももっと数が多いのではないか?あまりにも多いのでそれを隠すために地下に独自の死体安置所があるのではないか?もしくは病院の死体安置所に通じるトンネルがあるのではないか?というウワサがあります。トイレに隠し扉があるとかないとか…。
当然、カジノ側は否定しています。
切り裂きジャックはメルボルンにいた
1888年にイギリスのロンドンで5人の女性が刃物で何十回も刺されるという残忍な連続殺人が起こった切り裂きジャック (Jack the Ripper) の事件は知っている人も多いと思います。
この事件の犯人は容疑者として何人か割り出されてはいるものの、現在まで特定には至っていないのですが、その容疑者の中のひとりであるイギリス出身でメルボルンに住んでいたフレデリック・ベイリー・ディーミング (Frederick fled Britain) だったと信じる人もいます。
というのも、彼はこの後に凶悪な事件を起こした事が発覚し、1892年にメルボルン刑務所で絞首刑になっているからです。
1891年、彼はイギリスから妻と一緒にメルボルンに来て郊外のウインザー (Windsor) に住んでいましたが、後にその家の暖炉の下からセメントで固められた妻の遺体が見つかり、それまでもシドニー、クイーンズランド州、南アフリカなどで詐欺や窃盗などの問題を起こして何度も捕まっていた彼は西オーストラリア州で逮捕されました。
更に、彼はイギリスで最初の妻子も床に埋めていた事が発覚し、彼が逮捕された当時、新聞には「切り裂きジャックだ」と書かれました。
しかし、真相は闇の中です。
オーストラリアにピラミッドがある
これはエジプトです
次は、今までの話の中でももっとも突拍子のない話に思えるかもしれませんが、オーストラリアに古代エジプト人が建設したピラミッドがあると信じる人がいるのはご存知でしょうか。
そのピラミッドだと言われるのは、クイーンズランド州ブリスベン北にある標高992mのウォルシュ (Walsh) という山で、確かに形はピラミッド型をしていますが、普通はただのとんがった山としか思わないでしょう。
しかし、紀元前3千年頃にエジプトから王家の一行がオーストラリアのクイーンズランド州北部ケープヨークに到着し、ク東海岸を南下しニューサウスウェールズに到達したと主張する人たちがいます。
事の発端は、1970年代にシドニーから北にあるゴスフォード (Gosford) で、エジプトと同じシンボルや記号が彫られた象形文字 (hieroglyphics) が発見された事からでした。
アマチュア考古学者であったレイ・ジョンソン氏 (Ray Johnson) が発見した象形文字を解読したところによると、紀元前3千年頃にエジプト王家の一行がオーストラリアを訪れ、2つのピラミッドがオーストラリアで建設されたと示唆されていると言うのです。そして、王家のひとり Nefer-ti-ru はゴスフォードに埋葬されているのだと。
ちなみに、もうひとつのピラミッドはウォルシュからそう遠くないジンピー (Gympie) にあったと言われているそうで、何かの原因で破壊されてなくなってしまったと考えられています。
ただ、これは東ヨーロッパのボスニア・ヘルツェゴビナにあるピラミッド説にもそっくりで、実際はエジプトの象形文字とは一致しない事もあり、専門家は「あり得ない」と否定しています。
まあ真実はどうであれ、面白い話ですよね。でもその象形文字は一体何だったのでしょうね?私は実際にその象形文字を見てみたいと思いました。
※ ウォルシュ山や象形文字の写真を見たい人は、下の参考リンク↓から見れます。
(参考: Egyptian pyramid may have been discovered at Cairns | Daily Mail Online / Did the Ancient Egyptians reach Australia? Archaeologists claim a MAN-MADE structure was built under this mountain 5,000 years ago – The Sun)
数多くの UFO 目撃情報
今年に入ってアメリカの国防総省が海軍パイロットが遭遇した未確認飛行物体の動画を公開して話題になりましたが、オーストラリアでは UFO の目撃情報が多いというのは昔から言われてきた事です。
と言っても私は見た事がないのですが、オーストラリアはあれだけ国土も広く僻地が広がっているので、UFO のひとつやふたつ隠れていても不思議はないのかもしれません。
面白いのは、ノーザンテリトリーのアウトバックに現れる ワイクリフウェル (Wycliff Well) という町では「UFO Capital of Australia」というキャッチフレーズで観光客を楽しませています。
なんでもここでは UFO の目撃情報は日常茶飯事で、もし一晩中起きていて何も目撃しなかったらアンラッキーだというくらい頻繁に現れるのだそうです。
こういう所が面白いですよね。ぜひ一度行ってみたいです。
しかし物騒な話もあり、都市部では小型セスナが飛行機ではない謎の物体につけられた後に消息を絶ったり、負傷した人がいたりという事件も起きているようです。
とりあえず、この類いの話は山ほど出てくるのですが、オーストラリア最大のUFO事件と言われるのは、1966年4月6日午前11時頃にビクトリア州ウエストオール (Westall) で起きた出来事です。
白昼に高校の生徒と教師を含むその地域の200人以上の人々が銀色の物体が空を静かに移動するのを目撃し、その物体は学校の近くに着陸した後、飛び去ったのだと。しかも、物体が着陸した場所には、はっきりと変色した丸い跡が残っていました。
当時、連邦および州の政府はこの事件についてのコメントを否定していましたが、現在では1960年から1969年の間にオーストラリアとアメリカ共同で行われていた秘密の放射線試験、HIBALプログラムだったという説が濃厚です。核実験後に放射線レベルを監視するために使用されたセンサー付きバルーンが、なんらかの理由でコースを外れてしまったのではないかと。しかし、事実は明らかにされていません。
(参考: Westall ‘UFO’ incident was actually government radiation testing, reports reveal | Herald Sun)
オーストラリアは存在しない⁉︎
最後は “オーストラリアは実在しない” という2018年頃に最も盛んに出回った謎の陰謀論です。
オーストラリアという国はデマで、18世期のイギリス政府は犯罪を犯した人たちを国外に追い出すためにオーストラリアに連れて行くと言って本当は船から海に落とされていたとか、オーストラリア人とされて来たのは全て雇われた俳優やコンピュータグラフィックによって信じ込まされていたものだとか言われていました。
オーストラリアに行った事がある人も、実際には近くの島々か南アメリカの一部などに連れて行かれていて、俳優がオーストラリア人を装っていたのだと。
このウワサ発端は2017年3月21日にシェリー・フロイド (Shelley Floryd) という女性が書いた Facebook の投稿で、それが Twitter や Reddit などを通して広がっていったようです。
「オーストラリアの存在は大量虐殺を隠蔽するためのデマだから騙されないで。オーストラリアに80年間で16万2千人連れていかれたという人たちは、誰も約束の地には到達してないの、オーストラリアなんてないのよ。みんな、亡くなった彼らのために立ち上がるのよ」
うーん、どこから突っ込めば良いのか…。
オーストラリアにいて歴史を調べて来た私としては、読んでるだけでニヤニヤしてしまいます。そうそう、このブログも皆さんを信じ込ませるために作り込んでるんですよ〜!
…っつってね (笑)
他にもフィンランドは本当はスウェーデンとロシアの間にないとか、イタリアの Molise は存在しないとか色々な説があるらしいです。
今となっては言い出しっぺの彼女も「あれはジョークだった」と言ってるそうですし、もはや都市でもなんでもないのですが面白過ぎたので紹介してみました。
おわりに
国外ではあまり知られてい都市伝説を多く取り上げてみましたが、いかがだったでしょうか。
実はオーストラリア各地の黒いウワサもたくさん見付けたのですが、出来れば害のないほっこりした話を楽しみたいと思ったので割愛しました。
それにしても、未確認生物、ネッシー、ピラミッド、地下世界、UFO、オーストラリアの都市伝説も結構網羅されていますね (笑)
(参考: Australia’s biggest urban myths | Observer /10 Australian Urban Legends That’ll Creep You The Hell Out! / 7 Australian Urban Legends: From Weird to Unbelievable Stories)