ブッシュの中で食べられて来たオーストラリア伝統料理ダンパー (Damper)

オーストラリアの伝統的な食べ物は何かと考えた時、そんなに多くは思い付かないかもしれません。

1788年に西洋人が入植して以来、多くの移民で成り立って来たオーストラリアでは、この国独自の食べ物は発展しにくかったと言われています。

しかし全くないわけではなく、ダンパー (Damper) やビリーティー (Billy Tea) はまさしくオーストラリア独自のものです。今日ではあまり目にする事はありませんが、キャンプで作ったり、アウトバックツアーなどで目にする機会があるかもしれません。

今回は、そんなダンパーについて焦点を当てていきます。

ダンパーとは

Damper

ダンパー (Damper) は簡単に言うと小麦粉を主原料とする無発酵のパンで、パサパサしていてスコーンにも似ています。

もともとはオーストラリアの原住民から伝わった食べ物とも言われていて、たまーにベーカリーやレストランで売っている事はありますが、観光客が食べるような華やかさはありません。

ただ、発酵させる手間がなくシンプルに作れるので、現在ではキャンプの定番として食べられています。

ダンパーの歴史

もともとダンパーは、別名ブッシュブレッドやシードケーキとも呼ばれていて、オーストラリア原住民たちが古くから植物の種子やナッツ、根っこなどを砕いて粉状にして焼いたものでした。

19世紀後半から20世紀前半頃には、不景気のためオーストラリア各地で荷物を背負って農場から農場へ仕事探しの為に放浪するスワッグマンと呼ばれる人たちの間でもよく食べられていましたが、彼らは小麦粉を使っていたようです。

何もないアウトバックを何週間、何カ月と放浪して歩くスワッグマンたちにとって、小麦粉と水を混ぜて、焚き火で焼く簡単に出来るパンは便利でした。

Eri
Eri
ちなみにブッシュとアウトバックはほぼ同じ意味です。

ちなみに、ワルチングマチルダというオーストラリアの歌にも出て来る事で知られるスワッグマンは、毛布やお茶を沸かす缶などを背負って歩くのが定番のスタイルですが、ダンパーと並んでブッシュを象徴するアイテムになっているのがビリーティーです。

“Some Billy Tea after a hard morning ride” by Johan Larsson 1 May 2006

ビリーというのは空き缶の事で、この缶を使ってちょっと特殊な方法でお茶を作っていました。

なので、ダンパーと一緒にビリーティーを飲めば、完璧なオーストラリアの伝統スタイルと言えるかもしれませんね!

ダンパーを作ってみよう

ダンパーの作り方は簡単で、材料はイースト菌を使わず小麦粉と水とベーキングパウダーのみ。それを混ぜて焼くだけです。水の代わりにビールを入れる場合もあります。

灰の中に直接入れて焼く、ワイルドなバージョン。

セルフライジングフラワー、バター、牛乳、砂糖、ソルタナ (干しブドウ) などを入れるバージョン。

キャンプファイヤーの火なんてあると雰囲気が出そうですが、もちろん家のオーブンで作れますよ

ダンパー自体にあまり味がないので、バターを付けたりスコーンのようにジャムとクリームを付けて食べても良いですが、伝統的にはゴールデンシロップをかけて食べます。

Damper

あとは、ダンパーミックスを使うのもありですね!

https://www.kullillaart.com.au/ というサイトで売られている Tuckeroo Bush Bread Damper Mix です。450gで$10なので、悪くないですよね。

オーストラリアのネイティブフード、ブッシュタッカーとして知られているワトルの種やブッシュトマト入りです。

ダンパーを買えるお店はある?

通常ダンパーは普通のお店では売られてません。

ですが、歴史的背景を売りにしているお店で過去2度ほど見掛けました。現在も売っているかは分かりませんが、一応ここに情報を書いておきますね。

ビクトリア州のあるグレンロワンのカフェ、それからニューサウスウェルズ州のシドニー郊外ウィルバーホースの The Australian Pioneer Village 内にあるレストランです。

運が良ければ、他のどこかでも見つかるかもしれないですね!(そしたらぜひ教えてください)

おわりに

ダンパー自体は別に大した事がない簡単な食べ物ですが、昔の人がブッシュで作っていたんだと思うと何となくおいしく感じてしまうかもしれんね。