アンティークショップの似合う町ボウラル (Bowral) にある『ダーティ・ジェーンズ (Dirty Janes)』には、70店舗以上のアンティーク & ビンテージショップが入っています。
家具、家庭用品、美術品、衣類、宝石、台所用品、ガラス製品、陶器など、幅広い商品が売られていて、カフェも併設。年代を感じる商品を見ていると、想像力が掻き立てられて、夢が広がりますね。
アンティークが好きな人は、ぜひ訪れてみてください!
※ キャンベラに2号店もあります。
ボウラルのダーティ・ジェーンズ
『ダーティ・ジェーンズ』はボウラルの中心部、メインの Bong Bong Street を南に行ったら見えてくる『The Acre』の建物の裏手になります。
2009年オープン当時はこの建物の中にお店があったのですが、大規模な改装工事が始まったため2016年に裏へ移転しました。
Banyette Street にある黒っぽい建物がそのお店です。(向かい側は駐車場、裏手は ALDI)
Your Vintage Occasion Tea House (カフェ)
併設されているカフェ『Your Vintage Occasion Tea Salon』の外にあるテイクアウェイコーナーは、毎朝7時から午後4時までオープンしています。外に座る席もありますが、中のカフェは10時からの営業です。
ハイティー (グルテンフリーもあり)が人気のカフェでは、スコーン、ピンホイールサンドイッチ (ラップのように丸めたサンドイッチ)、軽食、日替わりメニューなどもビンテージの食器で提供されます。コーヒーは Seven Miles coffee の豆を使っているそう。
https://www.yourvintageoccasion.com.au/
毎日 10am-4pm
Dirty Janes (アンティークショップ)
ではお店に入ってみましょう。まずグリーンレーンの門をくぐります。
このグリーンレーンの敷地内にはレストランやガーデニングショップ、雑貨を売る店などもあるのですが、ダーティジェーンの入り口は、門を入ってすぐ右側です。
中に入ると、お店がたくさん!目移りしてしまいます。
わあ、かわいい!と思ったこの鳥籠のお値段は$490でした。こんなのが庭や玄関先にあったら楽しそうですね。
こんな家具の似合う家に住んだらどんなだろう
かなりの重さがある丈夫そうなベンチ
色々な夢をみさせてくれる家具や雑貨たち
このグリーンの食器 ($45)、かなり好みでしばらく買うか悩みましたが、今回はやめておきました。でも本当にかわいかった…。
お店について
『ダーティ・ジェーンズ』は、もともと2009年12月にミッタゴンで20年営業していた『The Shed』というアンティークショップを閉め、ここに移転したのだそう。
2020年3月にはキャンベラに2号店もオープンしています。住所も載せておきますね。
80 Collie St, Fyshwick ACT 2609
毎日 10am-5pm
このお店の名前になったダーティ・ジェーンズさんという実在した人物についての説明も貼ってありました。
本名ジェーン・ダンフリー (Jane Dumphrey)、1841年7月13日にシドニーに流刑囚として到着した女性だそうです。
彼女は19世紀にニューサウスウェルズでアンティークの商売人として名が知られていた人で、調べても特に文献が出ては来ませんでしたが、彼女の人生がまるで小説を読んでいるみたいにドラマチックだったので、日本語でシェしておきますね。
ダーティ・ジェーンの人生
北アイルランドの小さな家で生まれたジェーンは、5歳になる頃には父親の Rag & Bone Man (馬に乗って遠くの町まで行き、家を回って古い衣服や家具を回収して売る仕事) を手伝っていたと言います。
9歳頃からは痛風を患っていた父親の代わりにジェーンが中心となって働いていましたが、父親は15歳の時に他界。
しかし、身を寄せた家の主人に気に入られ、その紹介で立派な医師の屋敷で家政婦として働くことになりました。
ひとまず順調に見えたジェーンの人生は、ビルという男性に出会ってから雲行きが怪しくなります。
ビルに医師の屋敷から貴重品を盗み出せばそれなりの生活が出来るとそそのかされ、ジェーンはダチョウの卵の彫刻を盗んでしまったのです。そしてそれはすぐに見つかり、彼女に有罪判決が下されました。
こうしてジェーンは27人の女性受刑者と共に、流刑地になっていたオーストラリアに送られることになったのです。
ですが、その移送される船サリー1号で、ジェーンは船長夫婦に気に入られ、当時のニューサウスウェルズ植民地総督チャールズ・フィッツロイの許可のもと、罪が免除されることに。
サリー1号の船長ジョージ・シンクレア (George Sinclair) は、ジェーンを内陸の町ガンダガイ (Gundagai) で雑貨屋を経営していた従兄弟のトム・ガリー (Tom Gully) のもとへ、紹介状と一緒に送りました。
ダーティ・ジェーンのあだ名は、彼女がガンダガイに到着した時に長旅で泥まみれだったことからつけられたものです。
彼女は12年にわたってガリーのもとで働き、それにより店の営業ついて学びました。それと同時に、彼女もまたガリーにそれまでに培って来た経験から品物の価値を見分ける手助けをし、良い関係を築いています。
1852年、マランビジー川 (Murrumbidgee) の氾濫によりガリーが亡くなった後には、彼の遺言によってジェーンがビジネスを引き継ぎました。
その後店は繁栄し、ダーティ・ジェーンの名前は広く知られるようになっています。
老衰で永眠したのは、1883年5月13日のことです。
(参考にしたウェブサイト: Dirty Janes – A Place All About The Vintage Experience / Who is Dirty Jane?)
これを読んだ時、本やドラマになってもおかしくないくらい面白い話だな、と思ったのですが、情報はネット上にほとんどありませんでした。
でもこういう実際の物語はとても興味深いです。
おわりに
ボウラルでいちばん大きなアンティークショップというと、2022年現在はこのダーティ・ジェーンズのようです。
古いものに込められた歴史は重みを感じて、見てるだけも楽しいですね。
年中無休ですし、ボウラルに来たらかならず寄りたい場所です。