シドニー中心部のハイドパーク南端に “ミュージアムステーション (Museum railway station)” という駅があります。
普段から日常的に利用している、なんて事はない小さくて古い駅なのですが、実は1926年に開通したオーストラリア最初の地下鉄道なんだそうで、1999年4月2日にはニューサウスウェルズ州の遺産登録 (New South Wales State Heritage Register) されているんです。
今回改めて、そんな魅力のあるミュージアムステーションを回ってみたので、この記事で一緒にバーチャル体験してみませんか?
ミュージアムステーションってどんな駅?
ミュージアムステーションは、1926年12月20日に隣のセントジェームスステーションと同時に開通しました。
近くにオーストラリア博物館 (Australian Museum) がある事からこの駅名が付けられたのですが、当時は Mark Foy’s という大きなデパートとも地下で繋がっていましたし、セントラルステーションから David Jones や Farmers (後の Grace Brothers) などにもアクセスしやすくなり、町の発展にひと役買ったんだそうです。
今だとタウンホールステーションがそんな感じですよね。
こちらが昔デパートだったという Mark Foy’s の建物。現在はただのミュージアムステーションに通じる通路が残っているだけで、建物も Downing Centre と呼ばれ裁判所に使われていますが、お店だった面影がたくさん残っています。
ちなみに、かの有名なハーバーブリッジ が開通した1932年には、タウンホールステーションとウィンヤードステーションもオープンしています。
そして、1956年にサーキュラキーステーションもオープンし、今日のシティサークル線が出来上がりました。
ミュージアムステーションの路線
https://transportnsw.info/sydney-trains-network-map
ミュージアムステーションはシティサークル線と、T2 Inner West & Leppington線、T3 Bankstown線、T8 Airport & South線があります。
路線が限られているので、ここから乗っても結局セントラルやタウンホール、ウィンヤードまで行って乗り継ぎしないといけない場合も多いです。
古くてもバリアフリーです
中に入ると左手は地下に降りる階段ですが、奥にはエレベーターがあり、構内にもちゃんとスロープの通路もあります。
こちらがエレベーター。横の壁にはミュージアムステーションの歴史について説明しているパネルも。
左側: プラットホーム1 サーキュラキー方面
右側: プラットホーム2 セントラル方面
プラットホームに出る通路は階段とスロープの2つあります。
左が階段で右がスロープ。当たり前ですが、どちら選んでも出て来るのは同じ場所です。
年季の入った古い駅
それにしても、改めて本当にかなり古い建物だなあ…と思いました。
この切符売り場、現在は閉まったままですが、数年前にオパールカードという IC カードが導入される前はちゃんと稼働していて、私もここでよく切符を買ってたんですよ。
レトロなディスプレイはまるでミュージアム
そしてプラットホームに出ると、多くのレトロな広告が飾られているのが目に入ります。
ティムタムで有名な Arnott’s社やエアプレインゼリー、ブリュッセル紅茶など、今でも売られているオーストラリアおなじみの商品がたくさん!
全部実在する (した) オーストラリアの商品やビジネスの広告なのですが、レトロなだけでかわいく感じてしまいますよね。
女性が芝刈り機を使っている広告も、なんだかオーストラリアっぽい感じがします。
プラットホーム1、2に飾られている広告は多分それぞれ14枚くらいで、両側ほぼ同じものですが、2〜3枚違うものもありました。
先程のMark Foy’s という昔のデパートの広告も4枚ほどありましたよ〜!
階段や通路にも、レトロな絵があちこちに散りばめられています。
ただこの駅、出入り口がやたら多いので、慣れないと迷路のように感じるかもしれません。
迷路のような出入り口
昔、ここで降りた時にうっかり出口を間違って「あれ?」となってしまう事がたまーにあったのですが、出入り口がたくさんあるので “Way out” をちゃんと確認した方が良いですね。
プラットホーム内の出入り口は両側に6カ所ずつあり、手前の3つがリバプールストリート、奥3つがバサーストストリートと書かれています。
…が、リバプールストリートと言っても色んなところに出入り口がありますし、今回改めて出入り口を確認してみると、想像以上にたくさんあって驚いてしまいました。
(ちなみに、メインエントランスから入った場合、いちばん手前の出入り口からプラットホームに出て来ます)
ミュージアムステーションの出入り口は?
https://transportnsw.info/sites/default/files/document/2017/05/museum-station-map.pdf
出入り口は地図で見ると単純に見えるかもしれませんが、実際は通路が多くて結構複雑に感じます。
例えば、メインエントランスの改札口の反対側には他の出入り口に通じる通路が3又に分かれていますし、閉鎖されている通路があったり、同じところに続く通路なのになぜか並行して2本あったり…。
では、具体的に出入り口を見ていきましょう。
① リバプールストリート (ハイドパーク南)
こちらがハイドパーク南端のリバプールストリート (Liverpool Street) にあるメインエントランス。私がいつも利用しているのはここです。
② リバプールストリート南
① のメインエントランス向かい側、リバプールストリートを挟んで反対側にある、わりと新しいモダンな感じのリバプールストリート南の出入り口。出入り口は今風ですが、中に入るとすぐ古めかしい通路に続きます。
③ キャッスルレーストリート
バス乗り場があるキャッスルレーストリート (Castlereagh Street) の出入り口は、元 Mark Foy’s というデパートだった Downing Centre の下を通ります。平日の午前6時から午後8時以外は閉まってます。
④ リバプールストリート北
リバプールストリート北の出入り口は、① のメインエントランスからエリザベスストリートを渡った反対側。こちらはエスカレーターもあります。
⑤ エリザベスストリート
ハイドパーク横にあるエリザベスストリート (Elizabeth Street) の出入り口。
降りると通路が2つありますが、どちらも同じです。
そして、エリザベスストリートを挟んで反対側にも出入り口があります。こちらはエスカレーターですね。
⑥ バサーストストリート
ここがいちばん分かりにくいと思いますが、バサーストストリート (Bathurst St) にあるビルも、ハイドパークスクエアを経てミュージアムステーションに通じています。
⑦ パークストリート
こちらはスターバックス横にあるパークストリート (Park Street) の出入り口。ここもハイドパークスクエアやフードコートに通じていて、ミュージアムステーションに行けます。
⑧ エリザベスストリート & キャッスルレーストリート
⑥と⑦のバサーストストリートとパークストリートのビルの間のスペースからもミュージアムステーションに行けます。出入り口はエリザベスストリート側と、並行するキャッスルレーストリート両側に。
ふたつのビルが、ここで繋がっている感じですかね。
という事で、ミュージアムステーションの出入り口がいかに多いか分かったと思います。
こんな近くにあった不思議な空間
今回この記事を書くにあたって、改めて「見てるようで見てないものだなあ…」と思いました。
ミュージアムステーションに出入り口がたくさんあっても私はいつも決まったルートしか通らなかったですし、昔シドニーに遊びに来ていた友人が「この駅かわいいよね?」と言っていたのに、ふーんくらいで流してしまっていたなあ…と。
そう言えば、私がクイーンズランド州からシドニーに来た時「シドニーの電車って2階建なんだ!めちゃくちゃ長いし都会!」と、とても感動したのに、今ではすっかり当たり前になってしまいました。
いつも見てたはずの風景、もう一度よく見直してみると意外と面白いかもしれませんね。
そして、このハイドパークスクエアに通じる通路は「ああ、何十年か昔に想像されていた近未来のイメージだった世界がボロボロになった感じだなあ…」なんて考えてしまって、ノスタルジックな何とも言えない気分になりました。
はあ、あの頃私も若かった…。
それから、歩いていると閉鎖されている通路もちょこちょこ見掛け、「シドニーの地下には秘密の地下世界が広がっている」という都市伝説を思い出しました。タウンホールステーションも含めてシドニー中心部は本当に地下だらけなので、そんな事を考えたくなる気持ちも何となく頷けます。
うーん、こうやって考えると、ここは不思議な空間ですね。
おわりに
奥が深いミュージアムステーション、まとめるのはとても大変でしたが様々な発見がありましたし、また愛着がわきました。他にも調べたら色々出て来るんだろうなあ…。