初心者でも分かるオーストラリアのマッサージ事情とリメディアルマッサージとは

オーストラリアのマッサージ事情は、システムや施術内容など日本とはちょっと違うので戸惑う人もいるのではないでしょうか?

私は以前、一生の仕事としてオーストラリアでマッサージセラピストを目指していた時代があったので、ある程度は説明出来ます。なので、オーストラリアのマッサージについて詳しく書いてみようと思います。

 

フィジオセラピー (Physiotherapy) やカイロプラクティック (Chiropractic) などとは別分野です。

オーストラリアのマッサージ

最初に言葉の定義の違いについてですが、オーストラリアでは「マッサージ」という言葉は誰でも使えます。

日本では国家資格であるあん摩マッサージ指圧師の保持者以外は 「マッサージ」という言葉を使う事が出来ないので、それ以外の施術は「トリートメント」 「リラクゼーション」 という表現になっているはずです。

オーストラリアでは特にそういった言葉に対する規定はないんです。だから、オーストラリアの国家資格 (ディプロマ) 保持者とそうでない人が同じように働いている事もあり、治療なのかリラクゼーションなのか曖昧で見分けにくい場合もあります。

あと、オーストラリアのマッサージ店は、マッサージと謳っておきながら怪しい性的サービスをするお店もあるので、お店選びは慎重になってしまいます。

もしかしたら、町でよく目につくのはタイマッサージ店中国系のお店かもしれません。

タイマッサージはストレッチの多い比較的強めのマッサージで、中国系はオイルを使わず手技も手を早く動かす感じの所が多いです。日本人のところは指圧ベースのゆっくり目のマッサージをしてくれる傾向がありますね。

Eri
Eri
せっかく相性の良いセラピストさんを見つけても、しばらくすると帰国してしまうのはわりとオーストラリアあるある…。

日本人セラピストも経験は豊富なのにオーストラリアのディプロマは持っていない人、現在学校で勉強中の人、職場でトレーニングを受けて学んだ人など、色んなセラピストがいます。

色んな種類のマッサージ

オーストラリアで主流のマッサージはリメディアルマッサージ (Remedial Massage) という治療を目的とされたマッサージです。プライベート保険によっては、このマッサージで保険が適用されるんですよ。

オイルを使ったマッサージなので、日本人はアロママッサージやリラクゼーションのイメージが強いせいか、よく「オイルマッサージは圧が弱くて好きじゃない」という人がいますが、リメディアルマッサージの圧は決して弱くはないです。テクニックによっては痛いくらいのものもあります。

もし、やっぱりオイルじゃなくて指圧が好き!という人がいたら、Shiatsu というメニューがある店を探してみてください。日本系のお店なら大概あると思います。

リメディアルマッサージ (Remedial Massage)

リメディアルマッサージ (Remedial Massage) は、決められたマニュアルや手順に従って行うマッサージではなく、クライアントさんの体の状態を把握しながら施術プランを決めて治療する代替医療マッサージです。なので、クライアントさんやその日の状態によってアプローチが変わります。

  • トリガーポイント (Trigger point)
  • 筋膜リリース (Myofascial release)
  • マッスルエナジー (Muscle energy)
  • リンパドレナージュ (Lymphatic drainage)
  • ディープティッシュ (Deep tissue)

オーストラリアのディプロマを持ったリメディアルセラピストは上記以外にも様々なテクニックを持っているのが普通で、最低1年半〜2年学校で解剖生理学・病理学・ケーススタディ・実践などをみっちり勉強しています。

リメディアルマッサージの平均価格は私の中ではだいたい1時間$85前後ですが、当然お店によって全然違うのでそれはご確認ください。もしもプライベート保険に加入しているなら、保険会社やプランにもよりますが保険も適用されます。(ただし、そのセラピストが保険を扱える資格があるのかも確認する必要もありますが。)

他にも「これ何?」と思うメニューがあるかもしれないので、簡単に説明しますね。

アロママッサージ

アロマの精油を使うマッサージ店も多いのですが、ただのリラクゼーション効果として使っている印象が強いです。

でも本来、精油というのは体に作用をもたらすもの。もしも本格的にアロマトリートメントを受けたいのなら、Perfect Potion などのアロマ専門店で施術を受けるのもおすすめです。国家資格を持つプロは症状に合わせて精油を調合してくれます。

アロママッサージは精油を体に浸透される事が目的なので、優しいタッチのリラクゼーション系のマッサージが基本になります。まれにリメディアルマッサージとアロマセラピーの資格両方を持っている人もいますが、基本的に手技は筋肉を揉んだりしてほぐすマッサージとは別物と考えた方が良いです。

オーストラリアでアロマセラピーは代替療法のひとつとして考えられていて、アロマセラピーの資格は成分から効能までかなり難しい試験をクリアしなければいけません。

リフレクソロジー (Reflexology)

リフレクソロジー (Reflexology) は神経の集中している足の裏の反射区を刺激する事で体を改善していく、いわゆる足裏マッサージです。

実はリフレクソロジーにはイギリス式台湾式と大きく2種類あり、イギリス式は気持ち良い刺激、台湾式は強めで棒でグリグリしたりする痛いタイプです。オーストラリアは中国系のお店でなければイギリス式が多い印象ですが、ミックスしたような施術をするセラピストもいます。(とはいえ、イギリス式でも老廃物が溜まっていれば十分痛いです。)

※ 反射区は体の器官や機能と繋がっていると考えられていますが、その反射区の効能部位は流派によって若干異なります。

スウェディッシュマッサージ (Swedish Massage)

スウェディッシュマッサージ (Swedish Massage) は比較的優しいタッチのオイルマッサージなので、リラックスしたい人に最適です。でもかなり多くの手技があり、肩こりや腰痛、むくみなど様々な効果が期待出来ます。リメディアルマッサージを習う人が最初に学ぶ基本的なマッサージでもあります。

ディープティッシュ (Deep Tissue)

ディープティッシュ (Deep Tissue) もわりとよく目にするメニューですが、そもそもディープティッシュマッサージはリメディアルマッサージの手技のひとつなので、リメディアルマッサージとは何がどう違うのか?と、色んな人に確認してみましたが、あまり明確な答えをもらった事がありません。

多分、一般の人はマッサージについて詳しくないので、ディープティッシュと書いておけば強めのマッサージを希望の人が選ぶだろうという感じなのかもしれません。ぶっちゃけてしまうと、よく分かってない人が何となくの施術している場合もあるし、分からなければそのお店に聞いてみるのがいちばんだと思います。

※ ちなみにティッシュ(Tissue) とは皮膚の細胞組織の事です。

ホットストーン (Hot Stone)

ホットストーン (Hot Stone) もよく見かけるトリートメントで、体を石で温める事によって血行が良くなり、施術後は体がポカポカします。

 

 

治療というと他にもオーストラリア発祥の筋膜に働きかけるボーエンセラピー (Bowen Therapy) やシドニーで密かに流行っている日本のさとう式リンパケアを取り入れているマッサージ店もありますが、ここら辺になるともうマッサージではないので省略します。気になる人は調べてみてください。

マッサージは保険が適用?

最近はセラピストが保険を出す条件もどんどん厳しくなって来てるようですが、クライアント側のあなたがもしメディケア以外のプライベート保険保持者でマッサージがカバーされるプランに加入していれば、保険が適用されます。

ただ、セラピストによって「この会社は出せるけどこの会社はダメ」などがあるので、施術前に聞いておいた方が良いです。

保険はセラピストが個人の ABN (Australian Business Number) というビジネス番号の書かれたレシートを発行して、それを元に自分でインターネットで申請する場合と、ハイキャップという保険カードを通せば勝手に金額を割り引いてくれる機械で済む場合があります。

要するに最初から割り引かれるか後で戻って来るかの違いですが、機械を導入してないお店もあるのでこちらも必要なら要確認です。

保険の対象になるマッサージは基本的にリメディアルマッサージが多いですが、もしセラピストが指圧やリフレクソロジーのディプロマを持っているなら、それも保険の対象になる可能性はあります。

お店の選び方

さて、ではお店の選び方ですが、ここで要注意!

マッサージの事情をよく知っている私は怖いので気軽に知らないお店には入りません。というのも、実は普通のマッサージ店に隠れていかがわしいお店も多く存在するからです。しかも厄介な事に、そういうあやしいお店は外観だけでは分からない事が多いのです。

一歩入ってから雰囲気で「間違った!」と気付く事もあれば、男性の場合は施術中にセラピストの対応で分かる事もあるようです。どっちにしろ、がっつりとマッサージを受けたいのに、間違ってそんなお店に入ってしまったら最悪じゃないですか?

マッサージと言えばこういうあやしいお店とイメージを持っている人も多く、プライドを持って真面目に働いているセラピストも迷惑しています。なので、口コミや情報誌などで事前に確認した方が良いです。

シドニーには日本人経営のお店がまあまあ存在し、そこは普通に安心して大丈夫ですが、“ジャパニーズ” と言うとお客さんが入るので、わざと書いているあやしいお店もあるのでそれは注意してください。

他にはショッピングモールやホテルのスパ、明らかに普通のお店で受けるのも良いですし、探せば個人の自宅や出張専門でやっているセラピストもいます。

裏技はマッサージ学校のクリニックに行く事。リメディアルマッサージなどの資格を取る為にはステューデントクリニックで何十時間かの実技が必要で、そのクライアントさんをよく一般から募集しているのです。ただ、安く受けられますが、まだ勉強中の生徒なので技術の当たりハズレはあります。

 

おわりに

という事で、なるべく分かりやすく一通りの事を書いてみました。みなさま、お店選びには気を付けて快適な施術を受けてくださいね。

では次回は、これからマッサージ業界で働きたい人に向けて詳しく書いてみようかと思ってます。さて、どのくらいぶっちゃけようかな…。

 

資格がなくてマッサージの仕事をする人へ

Down Under オーストラリア

この記事は2019年に書いたもので、Eri がシドニーのマッサージ店について実際 […]…

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