「中秋の名月」とも呼ばれる “中秋節” を祝う日。
オーストラリアにはアジア系の人たちが多く住んでいるので様々な文化に触れる機会も多いのですが、私がこの行事を意識するようになったのはオーストラリアに来てからでした。
というのも日本ではあまり盛大には祝われていないように思われるこの中秋節は、中国を始めとするアジア圏では春節 (旧正月) の次に大きな祝日らしいのです。(オーストラリアはもちろん平日ですが)
みなさんは日本で今まで祝った事がありましたか?せっかくなら色んな文化を知って楽しみたいものですね。
※ ちなみに、日本では “中秋の名月” と “仲秋の名月” というふた通りの書き方が存在しますが、現代の日本においてはどちらでもオッケーなようです。
古い歴史に起源を持つ中秋節
中秋節の歴史は古く、3000年以上前の中国の故事が由来しています。
唐時代に祝日に制定された中秋節は旧暦の8月15日、日本やヨーロッパ諸国で採用している暦上ではだいたい9月20日前後になる事が多いです。
旧暦は現代の暦とは少し季節の感覚が違って、1月〜3月が春、4月〜6月が夏、7月〜9月が秋、10月〜12月が冬と分類されるので、秋である7月を初秋、8月を仲秋、9月を晩秋と分けます。そして、8月15日は仲秋のちょうど真ん中なので “中秋節” と呼ばれるのです。
ただ、南半球のオーストラリアは季節が逆なので春の行事なんですけどね。
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チャイニーズニューイヤー (旧正月) を春節と呼ぶのはこういう理由からで、日本のお正月は1月でまだ冬なのに “新春” と言うのも、この名残りからです。
旧正月や旧暦については別記事にもまとめているので、興味があればそちらもどうぞ。
では、中秋節はどんな風に祝うのでしょうか?アジア圏、オーストラリア、日本を見比べてみましょう。
中秋節の祝い方
日本の中秋節は秋に豊穣を祝う行事なのですが、アジア圏では家族でテーブルを囲んで月を眺めながら月餅 (げっぺい) を食べて団らんする家族の日なんだそうです。
お世話になった人に月餅を贈る風習もあるので、9月頃になると様々なアジア系のお店で月餅が売られるようになり、シドニーだとチャイナタウンにあるマーケットシティショッピングセンターに特設売り場も登場します。
チャイナタウンのマーケットシティで売られる月餅
ただ、一般的に月餅はアヒルの卵の黄身が入っていて味に癖があり、日本人の口に合わないかもしれないのでお気を付けください。
私もこれがとても苦手なのですが、最近ではあんこやカスタードなど様々な味の月餅が売られていますので、好みのものが見つかると思います。
どこで買えるのか、中国のクラスメイトが持って来たカラフルな月餅。
シドニーではムーンフェスティバルも
シドニー郊外の町カブラマッタでは、毎年中秋節を祝う月祭り (ムーンフェスティバル) が開催されています。
まるで東南アジアに迷い込んだかのような雰囲気のカブラマッタの中心部は、多くの出店や催し物で賑い、、9万人の人が訪れる人気行事です。
カブラマッタのムーンフェスティバル
十五夜さまを見て楽しむ日本のお月見
中秋節は平安時代に中国から日本にも入って来ましたが、日本は独自の文化として発展していきました。
日本のお月見と言えばススキと月見だんごのイメージですが、お芋や季節の果物をお供えする地域もあるようです。
ところで古来の日本では、満月を “十五夜” と呼びました。
もともと旧暦は新月から次の新月までを1カ月と数えていて、日本も明治以前は旧暦を使っていたのですが、月が満月になる頃が月の真ん中の15日辺りなので十五夜なんです。(13日~15日かけて満ち欠けをする月は、きっちり15日で満月になるとは限りません)
だから本来は毎月十五夜が来るのですが、現在は満月というよりも中秋の名月の日という意味で使う事が多いようです。
十五夜、きれいな響きですよね。
大昔、電気がなかったかぐや姫が出て来るような時代には、月はさぞかし神秘的に映ったのではないかと想像してしまいます。
おわりに
オーストラリアにも四季はありますが、同じ時期でも急に寒くなったり暑くなったりと気温差が激しく、日本に比べると緩やかでメリハリがないように思います。
それに季節が日本とは真逆なので、しっくりこない変な気分に感じたり、行事を忘れがちになったりしがちなんですよね。
でも、こういう自然を愛でるような文化は大切にしたいと思ってます。
さあ、あなたは月餅派?おだんご派?