シドニー最古の住居と言われる観光地ロックスに佇む『カドマンズコテージ』

シドニーのロックスは1788年にイギリス入植者が最初に作った町なので、歴史を感じる古い建物が多く残されています。

その中でもカドマンズコテージ (Cadmans Cottage) は、1816年に建てられたシドニー最古の住居とよく紹介されている貴重な建物です。

オーストラリア全体では3番目の古さらしいですが、1840年以前に建てられたジョージアン様式の建物はもう約10棟しか残っていないそうで、1999年4月2日にはニューサウスウェルズ州の遺産に登録されました。

ロックスにあるカドマンズコテージ

Cadmans Cottage

カドマンズコテージが建っているのは、ロックスの中でもハーバーブリッジやオペラハウスが見えるウォーターフロントの目立つ場所です。…が、そのわりには敷地が広いせいか、ひっそりと佇んでいるように見えます。

しかし、かつてはシドニーの商業的発展に重要な意味を持つ場所でした。

Cadmans Cottage

このコテージは1816年に政府の船を管理する人の住居として建てられ、隣には造船所もあったそうです。

カドマンズコテージという名前は、ここで船の管理者として長く務めていたジョン・カドマン (John Cadman) にちなんで名付けられました。

10年くらい前はコテージの扉が開いたままになっていたので、いつでも自由に中を見る事が出来たのですが、2013年頃から鍵がかけられ、無料ツアーのみオープンという事になったようです。…が、現在はそれもなくなっています。

Cadmans Cottage数年前はこんな看板がありました

Eri
Eri
なので、現在は建物を外から眺める事しか出来ず、あとは看板に書かれているインフォメーションを読むしかありません。

とりあえず観光地の良い場所にあるので、チラッとでも見てみてください。

カドマンズコテージをよく知るためのインフォメーション

Cadmans Cottage

看板の絵は1803年のシドニー。今と全く違いすぎて別の場所みたいですね。

カドマンズコテージも昔はもっと海岸線に近かったとの事ですが、今は埋め立てられたので海から100メートルほど奥に建っています。

ちなみに、ハーバーブリッジが開通したのは1932年、オペラハウスは1973年に完成なので、今のような景観になるのは、まだずっとずっと後の話です。

Cadmans Cottage

当時使われていた船はスクーナーと呼ばれる帆船とジョリーボートと呼ばれる手漕ぎボートの2種類で、帆船は木材や貝、家畜の餌用の草など様々なものを運び、手漕ぎボートは人を運んでいました。1797年には2隻しかなかったものが、1821年には28隻にまで増えていたそうです。

そこで働く労働者のほとんどは囚人であり、ジョン・カドマンもそのひとりでした。

the Rocks現在のロックス・サーキュラキーはこんな感じ

ジョン・カドマンとコテージ

Cadmans Cottage

コテージの前には、ジョン・カドマンの人生について書かれたパネルもありました。

1797年馬を盗んだ罪で1797年にオーストラリアに送られる。
1806年キャッスルヒルで囚人として働いたカドマン、今度はロックスに送られる。
1813年木材とそれを運ぶ船や労働者の管理者に抜擢され、条件付きの釈放。
1817年〜1821年4年間アンテロープ号の艦長、および船の管理者として従事し、釈放される。
1823年〜1826年ポートスティーブンスで難破するまで、30トンのカッター船マーズの船長を務める。
1827年再び政府の船の管理を任命され、コテージに住む。
1830年囚人として来た女性と結婚。コテージに住み続け、2人の娘を授かる。
1845年退職金をもらい退職。
1848年1844年に買った彼のホテルで亡くなる。

はあ…馬とかパンとかを盗んだ軽犯罪でも、この時代にオーストラリアに連れて来られて2度と故郷に帰れなかった人がほとんどだったんですよね。改めて考えるとなんか切ないですねえ。ネットも電話もなかったわけですし。

Eri
私がオーストラリア に来た時はネットも普及し出した頃でしたけど、4〜5年は日本恋しくて泣いてましたよ。

 

カドマンが退職したその後、この建物は様々な用途で使われています。

  • 1816年〜1845年
    政府の船の管理者が住む住居
  • 1845年〜1864年
    水上警察の本部
  • 1865年〜1970年
    船乗りの家
  • 1972年
    シドニーコーブ再開発局のもとで法律に基づき遺産として管理

1970年から1999年には、ロックスの再開発計画のためにシドニーコーブ再開発局 (Sydney Cove Redevelopment Authority) という政府機関が発足し、ロックス、サーキュラキーは大規模な取り壊しが行われています。

Cadmans Cottage裏手の Gorge St 側から見たコテージ

その他のインフォメーション

Cadmans Cottage

ところで、カドマンズコテージの隣の敷地には、銅像が立っています。

ウイリアム・ブライ像

Cadmans Cottage

この銅像はウィリアム・ブライ (William Bligh 1754-1817) という1806年から1809年までニューサウスウェルズ州総督だった人で、1987年に建てられました。

長くなるのでここでは詳しく書きませんが、1776年にキャプテン・クックの3度目の航海レゾリューション号の航海長に選ばれた人物でもあり、バウンティ号の反乱 (Bounty mutiny) やラム酒の反乱 (Rum Rebellion) で有名な人物です。

1800年代のジョージアン様式建物

Sergeant Lok

同じくロックスの Gorge St にある元警察署の建物は、1882年に建設されたジョージアン様式の建物で、オーストラリア で最初に出来た病院跡でもあります。

現在はモダンアジアンバーになっていて、普通に今でも使われている建物です。

カドマンズコテージのすぐ近くなので、興味があれば覗いてみてください。

オーストラリアでいちばん古い建物は?

冒頭でカドマンズコテージはオーストラリアに残っている建物の中で3番目に古い住居と言いましたが、いちばんはパラマタ近くにある1793年建設のエリザベスファームのようです。

2番目はおそらくウィルバーホースのThe Australian Pioneer Village内にある1811年建設のローズコテージではないかと。

もし “住居” という縛りがなければ、もっとたくさんの建物があります。

おわりに

せっかく古い町ロックスに来たのなら、やっぱり歴史的建造物も見ておきたいもの。

パッと見よく分からない建物ですが、歴史を知ると何となく見る目が変わりませんか?

たまにはこういう角度からも良いものです。