3月11日、世界保健機関 (Who) が新型コロナウイルス感染拡大はパンデミック (世界的大流行) に相当すると表明。
「やっと認めたか」という雰囲気があったのは否めませんが、ここから明らかに私たちの生活がどんどん変わって行ったのは事実です。
3月の日常が変化していく様子を日記形式で書いています。私の場合は主にツイッターから感じた主観や個人の考えが中心ですが、色々あり過ぎて4記事になってしまいました。(ちょっとディスる事も書いてますが、あくまでも私個人的な意見です)
【新型コロナウイルス日記 ①】3月上旬 オーストラリアで蔓延し始めるまで
【新型コロナウイルス日記 ②】3月中旬 感染者が拡大し、ついにパンデミック宣言
3月12日 (木) トム・ハンクス感染
前回も同じグラフを載せましたが、もう一度載せておきます。
オーストラリアで感染者が増えていく中、映画の制作のためにオーストラリアを訪れていた俳優のトム・ハンクスさんが新型コロナウイルス陽性だと発覚。妻で女優のリタ・ウィルソンさんも同様で、ゴールドコーストの病院で療養中というニュースはかなり話題になっています。(3月終わりには回復してアメリカへ帰国しました。)
3月13日 (金) まだ認識差があった
そのうち収まると思っていた買い占めも、パンデミック宣言の後にはますます酷くなっているようでした。
都会も田舎もあまり関係なく、オーストラリア全土で「トイレットペーパーがない、あれもない、これもない!」と画像付きのツイートが相変わらず絶えません。
買い占めの様子はテレビでも放送され、それを見て私は思わず愚痴。
でもパートナーは「彼らは引きこもるためにたくさん食料が必要だから、仕方ないんじゃない?」と、パートナーはまだこの騒ぎをあまり認識していなかったようです。
まあ、この後すぐに彼も嫌というほど買い占めの惨状を知る事になるのですが。
3月14日 (土) ない事はないはず!
トイレットペーパーがスーパーマーケットにないとは言え、おそらく行くタイミングも重要だろうと思ってました。
トイレットペーパーなどはスーパーマーケットで1日に出す数量が決まっているので、朝早く売り切れる前に行くとある確率が高いらしいという情報もありましたし、パニックになる必要は何もないのだと。
それを確認したかったのと、我が家のトイレットペーパーも5ロールでは心細くなって来たのとで、早起きしていつもの Coles へ行ってみたんです。
風が強くて寒かったです
朝の7時半過ぎなのに意外と人が多いのに驚いたような納得したような…。買い占めする人を始めてたくさん目撃したのもこの日でした。
詳しくは『新型コロナウィルスの蔓延で何を考え何を思うのか』という記事に書いたのですが、一応トイレットペーパーはあったものの、目の前でどんどんなくなっていきます。
買い占めていた中には白人男性の姿もあり、改めて本当に人種は関係ないんだな、と実感しました。
3月15日 (日) 次々とイベントが中止に
オーストラリアはこの日からオーストラリアに入国する全ての人に対して、14日間の自己隔離を義務付けました。全ての国際クルーズ船も入国拒否。
オーストラリアの大きなイベントも次々と中止の発表があり、シドニーだとビビッドシドニー もアンザックデー もイースターショーも全部中止。
イベント中止を知らせるその日の新聞
私個人的には、今年の4月29日はキャプテン・クックがオーストラリアに上陸してちょうど250周年なので、ボタニー湾で想いにふけろうと思って2年くらい前から楽しみにしてたんですけどね…。まさか250年目にこんな事態になるなんて、クック船長もびっくりですよね…。
まあ、たとえ自宅待機になったとしても私はもともと家にいるし、パートナーも出張が多い事を除けば基本家で仕事しています。だから、今の生活とは大して変わらないだろうなと、まだまだのんびり構える余裕がありました。
3月16日 (月) 行動範囲が極端に狭くなる
パートナーが、急に私に「いつも行ってた徒歩5分くらいの Coles にも行くのはやめて、アパートすぐ下の IGA だけにして欲しい。」と言い出しました。自分たちは良くても彼の母親が感染したら、生き残るのは難しいと思いから、と。
でも、IGA は品揃えが少ないので、Coles に行かないと不便すぎます。それに前から騒がれていたし、つい一昨日まで平気で出掛けていた癖に何急に用心深くなってるの?私はずっとちゃんと予防してるし、とも思いましたが、とにかく彼は本気でした。
正直、私自身は感染して万が一命を落としても怖くないと思ってましたが、怖いのは無自覚で大切な人を感染させてしまう事。そんな事になったら、申し訳なくて悔やんでも悔やみきれないと思ったので、そうする事にしました。幸い当分食料の心配はありません。
ただ、キャットフードと猫のトイレの砂は盲点でした。パートナーはデリバリーで頼むと言いましたが、既にペット関係のものも売り切れが続出しているという情報もあり、実際この後探すのに少し苦労しています。
テレビでは相変わらず買い占めの様子が流れ、前よりもギスギスして来た印象もあり、イライラして怒鳴るスーパーの白人男性の映像を見たら「何でこんな事になってるんだろう?」と情けなくて涙が出てきました。
今からこれではこの先何が起きるか分からない、という不安もよぎります。
3月17日 (火) 完全引きこもり体制に
とりあえず、我が家にどんな食料があるのか見直そうと私に身長では届かないキッチンの棚を整理してみると、結構賞味期限があやしいのが出て来ました。うちでは買いだめどころか消費しないと、と反省です。
電話でパートナーのお義母と話す機会があり、彼女は明るい声で「私が生まれた頃は、まだトイレットペーパーなんて発明されてなかったのよ。いざとなったら新聞紙でも何でもあるから。それに、頻繁に買い物しなくても良いように色んな料理も創作してるから心配しないでね。まあ、面白い映画でも観て過ごしましょう。」と。
アデレード郊外の田舎で生まれ育った彼女はたくましいのです。ただ、お義母さんは意外と気を遣うところがあるので、わざと明るくしているのかも…と思うと胸が痛くなりました。もし彼女命を落とす事があったら、私はきっと泣いて泣いて涙が止まらないでしょう。
この時点でオーストラリアでは375人の感染者が出ていて、27人は回復しましたが、5人は亡くなっています。
3月18日 (水) 混乱していくオーストラリア
オーストラリア政府は国外にいるオーストラリア人に直ちに帰国するようにという警告を出しました。
そしてそれに伴い、もうすぐオーストラリアが完全封鎖されるのでは?というウワサが流れ、特にワーホリや留学生はビザの期限もあるので動揺し、色々な憶測が飛び交っていたようです。
こういう時、英語が苦手だと現地のニュースをチェック出来ない人は大変ですよね。在留届を出してないので日本国総領事館からのメールを受け取れない人もいるでしょうし、更にツイッターもしてなかったら情報格差が大きく出てしまいます。
「周りの人が教えてくれるから!」と言っても、知らなかったでは済まされない状況になって来てますからね。
それにツイッターは情報収集に良いツールではありますが、重要事項をツイッターで確認したり誰かの情報を鵜呑みにしたりするのはダメな使い方ですね。在豪者やエージェントなどにメッセージやコメントなどで色々聞く人も多かったようですが、聞かれた方も「こっちが聞きたいわ!」という状態だったでしょう。
この連日の混乱を見ていて、だんだん静かに怒りがこみ上げてきたので、その時また記事を書きました。
→ 不確かな情報で惑わしたり惑わされたりするのやめて (新型コロナ関連)
恵まれた環境だから落ち着いていられるのは分かってる
こんな混乱が生じている中、私が冷静でいられたのは、恵まれた環境にいたからだと思います。
アパートはオーストラリアでいちばん大きな都市のど真ん中にあり、人口密度が多いので感染には十分に気を付けないといけませんが、セキュリティはしっかりしているし、信頼出来る人たちが周りにいます。
この日、アパートのドアの下に手紙が差し込まれていて、そこには “このアパートもコミュニティである事を思い出して助け合いましょう、私たちもヘルプします。” と書かれていました。
このアパート、早くから消毒液を用意してくれて本当に対応が早かったと思いますし、幸いアパートのすぐ真下には小さなスーパーマーケットとボトルショップ (全然利用してませんが) もあるのでありがたいです。
ちょっと前まで、こんなごちゃごちゃした町の18階なんてもう嫌だ、田舎の地面が違い場所で暮らしたいと思っていましたが。
こんな時に色んな時だからこそ、色んな事が透けて見えますね。良い事も悪い事も。
3月19日 (木) シドニーの町を見納め
どうしても買いたいものがあって、これでしばらく最後だからと Coles に行って来ました…が、この日は素通りしただけです。というのも、どうしても並ぶ気にならなかったからです。
買い物の混乱を避けるために大手スーパーマーケットは午前7時〜8時をお年寄りや障害を持った人たちが買い物出来る時間としたそうですが、7時半にはすごい行列に!
後で8時過ぎに通りかかった時も、まだ列は動いてませんでした。
こちらは Woolworths。買うものの数が制限されています。これをめぐっていざこざになったお店もあったよう。普段田舎から出て来てまとめ買いする人も出来なくなって不便でしょうね。
まあ、ガラガラの棚もありましたが、野菜はどのスーパーもこれでもか! というくらい置いてましたし、アジアンショップに行けばまだインスタントラーメンも買えます。なので、とりあえず餓死する事はまずない事は分かりました。(自給率200%超えのオーストラリアなので、選ばなければ生き延びれるでしょう。ただ、この後野菜の値段が高騰しているようですが、仕方ないのかもしれません…。)
いつも行く韓国のお店でパートナーが好きな豚肉もゲット出来ましたが、狭すぎて誰かとすれ違う時に絶対に接触してしまうので怖かったです。相手も避けようとはしてくれてましたけどね。
あまりにもなじみのあるシドニーのいつもの風景、この10年ここを通って仕事に通ってました。これでしばらく見納めでしょうか。
この日、シドニーに寄港したクルーズ船ルビープリンセス号の乗客2700人が14日間の自主隔離が条件で下船しています。が、その後その中から陽性反応が出た人たちが次々と発覚し、感染者が拡大してしまっています。
それでも旅行に行く人はまだいた
そんな中、アデレードのお義父さん夫婦から当初の予定通りシドニー方面に向かってキャンピングカーでアデレードを出発したという連絡が。
州境が閉鎖されるかもしれないのに大丈夫だろうか?と私はパートナーに言いましたが、多分大丈夫だろうという返事。
もともと彼らと4月にシドニーで会う予定だったのですが、この状況では会うのもちょっと躊躇してしまいます。(この後予想通り州境が閉鎖されたので、1週間で自宅に戻ったそうです。ホッとしました。)
3月20日 (金) 閉鎖されていく国
オーストラリア政府は午後9時よりオーストラリア市民と永住者以外の入国を禁止しました。旅行は国内を含めて自粛するようにとの呼びかけも。
国が閉鎖されるまでに短期ビザの人たちは早く帰国した方が良いという雰囲気が高まっていきます。ビザ申請代や飛行機代を既に払った人たち、学生ビザ等で学費を払った人たち、混乱して大変だったろうと思います。
これは遠距離恋愛していた人たちにとっても一大事で、中には滑り込みで入国した人もいたようです。
そしてこの日、どの州よりも早くタスマニア州に入州制限がかかりました。
3月21日 (土) どの国でもある温度差
シドニーのボンダイビーチでは、屋外で500人以上の集まりを禁止する基準を超えて人が集まったために、ビーチを閉鎖。でも、こういう人たちは結局他のビーチに流れるだけなのですが…。
最近ますます「新型コロナウイルスに対して海外と日本の温度差が違い過ぎる」というツイートが目立って来ていた反面、オーストラリアも人によってかなり温度差があるようです。日本人は日本人はと言う人は多いですが、これに関しては国籍関係ないですね…。
パートナーはあんなに私に出るなと言っておいて、だった3人だからとゴルフに行きましたが、帰ってきて喉が痛いと言い出し「は?」という感じでしたが、彼もこの後しばらくゴルフはお預け…。(普段週2でプレイしてるのに。)
おわりに
中旬頃からバタバタと色んな事が起こり、3月を終る頃には「え?これは現実?」と思ってしまうくらい生活が変わっていくのでした。
とりあえず、この時はまだまだこれから何かありそうな気がして、何が起きても驚かない準備はしておこうとは思ってました。
③ に続きます。
【新型コロナウイルス日記 ①】3月上旬 オーストラリアで蔓延し始めるまで
【新型コロナウイルス日記 ②】3月中旬 感染者が拡大し、ついにパンデミック宣言