ランドウィックと言えば、すぐにこの競馬場を連想する人も多いでしょう。
シドニー中心部から約6km、ランドウィック北西にある『ロイヤル・ランドウィック競馬場 (Royal Randwick Racecourse)』は、Australian Turf Club (ATC) が運営するシドニーで最も大きな競馬場です。
2020年は新型コロナウィルスの影響で、毎年11月に行われるメルボルンカップの会場となるメルボルンのフレミントン競馬場では、異例の入場制限が設けられたそうです。
シドニーでも例年よりは少ないものの、各地でメルボルンカップのイベントが開催されました。
そして、ずっと家に引きこもっていた私も、パートナーの付き合いでロイヤル・ランドウィック競馬場にあるレストランでメルボルンカップを観戦することに。
ギャンブルに興味がない私ですが、初めてランドウィック競馬場の中に入ったので、その様子を紹介します!
※ 一般の入場料は当日開催されるレースによって$10、$20など異なります。
ロイヤルランドウィック競馬場について
最初にちょっとロイヤル・ランドウィック競馬場の歴史について簡単に説明しますね。
ランドウィック競馬場で最初にレースが行われたのは、1833年6月のこと。
まだオーストラリアがイギリスの植民地だった時代、リチャード・バーク NSW 植民地総督 (NSW Governor Richard Bourke) が、この土地を競馬場にすると決定するまで、競馬場と言えばシドニーシティにあるハイドパークでした。
そう、ハイドパークは現在公園ですが、かつてはオーストラリア初の競馬場だったんです。
ランドウィック競馬場は、砂っぽいコンディションのコースだったことから「Sandy Course」と呼ばれ、トレーニングだけにしか使用されていない時代もありました。
1860年にオーストラリアン・ジョッキークラブ (AJC) が本部をランドウィックに移し、同年の5月にはレースを再開。約6千人が来場しました。そして、1863年には正式にこの土地が AJC に付与され、2011年に現在競馬場を運営をしているシドニーターフクラブ (STC) と合併するまで続いています。
ランドウィック競馬場に「ロイヤル」という名前がついたのは、1992年2月に女王エリザベス2世がランドウィック競馬場を訪問してからです。
ロイヤル・ランドウィック競馬場への行き方
今回は車で来ましたが、L3のライトレールや、373のバスが競馬場に止まります。
ちなみにメルボルンカップの時期はちょうどシドニーのジャカランダが見頃なんですよね。駐車場の向こうにもたくさん咲いていたのが見えたので、時間があれば行ってみたかったです。
ライトレールの最寄駅は「Ryoal Randwick」ですが、もし中に入らずに競馬場だけ覗きたいなら、次の「Wansey Road」で降りるとよく見えます。ここからだとランドウィック中心部も近いです。
競馬場へ入場
さて、チケットのバーコードを機械に当てて入り口を入ると、長い通路がありました。
長いトンネルの壁には、競馬の歴史について展示がされていて、まるでミュージアムみたいです。
TAB (Totalizator Agency Board) の車もここに。
パートナーによると、本当は他のレストランに行きたかったそうですが、数週間前に予約しようとした時はもうどこも満席だったそうです。
という事で、私たちのテーブルは特設会場のようなレストランでした。
レストランへ
私たちの席はこんな感じ。ここ、ひとり$275だったそうです。
$500の席とかも聞いたことありますが、食事の値段はお店や行われるレースの大きさによっても変わるとか。
その上みなさん馬に賭けるために来てるんですよね。ドレスアップ代も入れて、出費もすごそうです。
ちなみに、これはレストランを予約する場合で、観戦だけの一般席なら多分$50しないと思います。
ワイン片手に賭けられる
テーブルには、コースメニューと一緒に今回の競馬のインフォメーションが書かれている冊子とペンが用意されていました。
この冊子にはランドウィックやメルボルンのフレミントン競馬場だけではなく、アデレードやブリスベンなどのレースも載っています。
レースは全部会場に設置されたモニターで観る事が出来て、もちろん午後3時のメルボルンカップの様子もここで観れます。(モニターがちょっと小さかったですが)
オーストラリアでは常にどこかでレースが行われていて、賭けたい時にいつでも賭けられる仕組みなのですが、私はいつもこれで混乱するんですよねー。
馬券はスタッフのから買う事も出来ますし、ブックメーカー会社のアプリでスマホから賭ける人もいます。
いやー、あのたった数分間のために皆さん大騒ぎですね。
会場で馬券を買うと、こんな風な紙を渡されて、勝つと現金に変えてくれます。
ランドウィックで行われているレースは小さいモニターより生で実際に見る方が良いので、外に観に行く人が多いです。すぐ目の前ですし。
外にもまあまあ人。ソーシャルディスタンスは…ないですね。
隣のレストラン。
実際のレースの様子。
さて、食事についても触れておきます。
めったにない豪華コースメニューですからね〜!
コース料理と飲み物
今回は赤ワインを飲みました。
特記しておきたいのは、『De Bortoli Woodfired Heathcote』のシラーズが飲みやすくて、おいしかったこと!
甘過ぎず適度にドライで、いかにもシラーズみたいな味なのですが、いつも赤ワインの匂いを嗅ぐだけで「おえっ」となるパートナーも何口か飲めたのはびっくりでした。
酒屋のいっしーさんによるとやっぱりこのワインは人気らしくて、お値段も$20前後でお手頃で手に入るそうですよ!
オントレの 『Poched ocean king Prawn』は、エビがプリプリでとってもおいしかったです。
メインはラムとダックの2種類あって、ランダムに交互にテーブルに運ばれます。私はどっちも苦手なんですけど『Seared caraway duck breast』はクセもなくておいしく食べれました。
こっちがパートナーの食べた『Roasted rack of lamb』。私は絶対食べれませんが、おいしかったそうです。結構大きいポーションですね。
デザートは『Textures of chocolate』。真ん中の白いものは、シャーベットをホワイトチョコレートでコーティングしたものです。
最後のアフターヌーンティーに『cocktail beef pie』。パートナーによると、ランドウィックの他のレストランでもシメにこのミートパイが出て来たそうで、謎だと言ってました (笑)
確かに何でミートパイなんだろう。
2020年のメルボルンカップレース
さて、3時のメルボルンカップが始まりました。
https://youtu.be/M5FHCxWXD98
2020年は Twilight Payment というアイルランドの馬が優勝。
しかし、会場の小さな画面では分からなかったのですが、このレース出走中に期待されていた5歳の Anthony Van Dyck という馬が骨折してしまいました。よく観ると1番のピンク色の服を着たジョッキーが乗っている馬がレースから離れていくのが少し映っています。
残念ながら、すぐに獣医師による治療を受けたものの、安楽死を余儀なくされてしまいました。
競馬はなくなった方が良いのか?
2013年以降のメルボルンカップではレース中に馬が死ぬのは7頭目だそうで、近年、競馬は動物虐待だという批判の声も上がっています。
ただ、「競馬はもう辞めた方が良い」と外野が言うのは簡単ですが、私たち日本人と違って昔から競馬と深い関わりを持って来たオーストラリアでは、小さい頃から競馬に親しんで育つようですし、大きな産業のひとつでもあるのでなかなか複雑な気がするんですよね。
それにオーストラリアはサラブレッド生産大国で、ギャンブルの収益は政府の大きな収入源となっているみたいなので、そういう事も考慮する必要があるかと。そもそも競馬がなくなればサラブレッドは消滅してしいます。
ここら辺はもう少しリサーチが必要なので、またこれは別記事ですね。
とりあえず思ったのは、こういうニュースが流れるとよく知らない人は関係者をサイコパスのように批判しがちですが、生産者も調教師も馬主もジョッキーも、馬に関わった人たちみんな辛いし悲しいんじゃないかなあ…という事。うーん、難しいですね…。
最後に。
競馬場の出口でカラフルなバラの花束 ($20) が売られていて、パートナーが買ってくれました。今、我が家のキッチンで良い匂いを漂わせていて、癒されます。
おわりに
ここまで書いて来たのですが、相変わらず私はギャンブルには興味がもてず、正直、何でわざわざお金を賭けて馬を応援しないといけないのかと思ってしまいます。
うちのパートナーは去年、馬主になったくらい馬が好きなんですけどね。
ただ、競馬に関わる人たちの思いや文化的背景には興味があるので、また機会があれば書こうと思います。
それにしても私、コロナのロックダウンからずっと引きこもり生活してて、何ヶ月も人と直接会わないように、レストランに座るのも極力避けていたのに、いきなりドレスアップしてオージーの中に放り込まれるというこの落差 (笑)
シドニー中心部から約6km、イースタンサバーブに位置するランドウィック (Randwick) と聞くと、真っ先に『ロイヤルランドウィック競馬場 (Royal Randwick Racecourse)』 を思い浮かべる人も多いでしょう。[…]