アボリジニのヘルシーな伝統食材 ブッシュタッカーとは

アボリジニのヘルシーな伝統食材 ブッシュタッカーとは

オーストラリアの料理と聞いて、最初に思い浮かぶものは何ですか?

オーストラリアは歴史が浅い国で、入植が始まったのは18世紀。その際に移民たちによっておいしい料理が持ち込まれたので、独自の食文化は発展しなかったと言われています。だからオーストラリア料理はないのだと。

でも、何か忘れてませんか〜?

オーストラリア大陸にはおよそ5万年前から自然と共存しながら生活していた原住民の人たちがいて、当然、伝統的に食べられてきた食材があります。

そんなオーストラリア原産の食材は“ブッシュタッカー (Bush tucker) ”と呼ばれ、栄養価が高くおいしい食材として近年注目されるようになって来ました。

現在では数多くの一流レストランのメニューにも取り入れられているので、まだチャレンジしてないならこの機会にいかがですか?

 

Advertisement

ブッシュタッカーとは

ブッシュタッカーは、単純にブッシュフードとも呼ばれる事も多く、オーストラリアの動物・魚・虫・果物・野菜など食材全般を指します。

そんなブッシュフード、よく知られている代表的なものを挙げてみます。

(ちなみに、伝統的にはコアラ・ウォンバット・ポッサムなども食べられていたそうなのですが、そういう一般流通はしていないものは割愛しますね。)

(主な参考記事: https://www.alldownunder.com)

オーストラリアの動物

カンガルー (Kangaroo)
カンガルー肉はスーパーマーケットでも簡単に手に入る人気食材。ビーフのような赤身肉の味には少しクセがあり、脂肪が少なくたんぱく質やミネラルなどの含有量が高いので、健康志向の人たちにも好まれています。

エミュー (Emu)
オーストラリア固有動物 飛べない巨大な鳥 エミューは、アボリジニの人たちの大切な食糧源であると同時に儀式や薬としても使われました。脂肪が少ない赤身で濃厚な味わい肉は、高温で素早く焼くのがポイント。

クロコダイル (Crocodile)
獰猛で危険なクロコダイルの肉は、白身のさっぱりした鶏肉のような味です。食用の肉は養殖で、通常ワシントン条約で捕獲が制限されています。

ワラビー (Wallaby)
カンガルーよりもひとまわり小さいワラビーは、カンガルー肉と同様脂肪が少なくヘルシーですが、味にクセがないので食べやすいかもしれません。

ゴアナ (Goanna)
ゴアナは全長1.6mにもなるオオトカゲ。白身肉は鶏肉のようで、ウワサではヘビよりもおいしいらしいですが、レストランでは流通していません。鋭い爪を持ち噛まれるとかなり痛いようなので注意。

オーストラリアの魚介類

オーストラリアに来たらシーフードというくらい人気の魚介類。

バラマンディ (Barramundi)
スズキの仲間で大きいものは全長2m に達するというバラマンディは、オーストラリアではよく食べられている魚。基本的に暖かい地域に生息しています。

モートンベイバグ (Morton Bay Bug)
赤褐色の甲殻を持つバグは別名ベイロブスターと呼ばれ、その名の通りロブスターにそっくりな食感で人気。主にQLD や NT に生息していて、120〜380gほど。

バルメインバグ (Balmain Bug)
味も見た目もモートンベイバグと似ていますが、比べると80〜200g と小ぶりで、オーストラリア全域で採れます。

マッドクラブ (Mud Crab)
Muddie とも呼ばれ、マングローブの生い茂る泥地に生息する重さ約500g〜1kg ほどのカニ。高級食材として知られています。

ヤビー (Yabby)
主に QLD の淡水に生息するエビですが、現在はほとんど養殖です。ヤビーという名前は原住民 Wemba族の言葉が由来しています。

オーストラリアの昆虫類

ウィチェッティの幼虫 (Witchetty Grub)
ウィチェッティの白い幼虫は、つまりイモムシ。カルシウムや鉄分など栄養価が非常に高く、生でも良し焼いても良しで、甘くてナッツのような味がするらしいです。

オーストラリアの果物・野菜

ここから先は写真がないものもあります。気になる方は、ブッシュフードショップのウェブサイトに写真が載ってますので、下記のリンクから確認してみてください。
http://tasteaustralia.biz/bushfood/

クワンダン (Quandong)
乾燥した地域に生息するビタミンCが豊富なクワンダンの赤い実は先住民の重要な食糧で、これは入植者たちにも好んで食べられました。

ブッシュトマト (Bush Tomato)
別名 Kutjera、 Kampurarpa、Akatjurra、Desert Raisins と様々な呼び名があるトマトは長期保存にも適していて、何千年もの間、砂漠地帯に住む人々にとって重要な食材でした。

イラワラプラム (Illawarra Plum)
別名 Daalgaal、Gidneywallum。濃い赤い実は石のような殻に覆われた変わった果物で、中は鮮やかな紫色。粘着性のある甘い実は、胃腸にとても良い効果を発揮します。

カカドゥプラム (Kakadu Plum)
別名 Gubinge、Billygoat Plum、Murunga。独特の風味を持つ緑色の果実は世界で一番ビタミンC含有量があると言われ、ジャムやジュース、化粧品など幅広く使用され、防腐剤効果もあります。

ワリガルグリーン (Warrigal Greens)
別名 Warrigal Spinach、New Zealand Spinach 、Botany Bay greens。ヨーロッパに広まった最初のオーストラリア原産野菜のひとつ。キャプテン・クック が壊血病予防の為に船員たちに食べさせたと言われ、植物学者 ジョセフ・バンクス によって国外に紹介されました。

オーストラリアのナッツ

マカダミアナッツ (Macadamia Nuts)
今日マカダミアナッツはハワイのイメージがありますが、実はもともとオーストラリア原産。古来よりアボリジニの人々の食材や儀式に用いられていました。

ワトルシード (Wattle Seed)
オーストラリアの国花にもなっている ワトル。頑丈な殻に覆われた種子は、今も昔もオーストラリアに住む人たちにとって貴重な食材です。

ブンヤナッツ (Bunya Nut)
大きな澱粉質のナッツは、NSW や QLD に生息する堅い外皮に覆われたブンヤパイン (Bunya pine) という木から収穫されます。

オーストラリアのスパイス

レモンマートル (Lemon Myrtle)
精油でも知られるレモンマートルは爽やかなレモンのような香りのするハーブで、チキンや魚の香り付けからシャーベットのようなスイーツまで幅広く活用されています。

フィンガーライム (Finger Lime)
熱帯雨林の果物フィンガーライムは、サラダ・シーフード・パスタ・カレー・刺身・デザート・カクテルなどなど、使われ方は無限です。

歴史

伝統的な調理方法は色々ありますが、焚き火の上で焼いたり何時間もかけて蒸したりする事が多かったようです。

ペーパーバーグ (Paperbark) というメルラーカ種 (いわゆるティーツリー) の樹皮は、食べ物を包むのに便利な木として知られています。

種子やトウモロコシを粉にしてパンを作る事もあり、これは後にスワッグマンと呼ばれる季節労働者たちの作る ダンパー と呼ばれるパンの原型になりました。

そんなオーストラリア独自の食材は今でこそ注目を浴びるようになりましたが、植民地時代の白人たちにはあまり定着しなかったようです。

白人がオーストラリアに入植して来たばかりの頃は食料不足もあり食されてはいたものの、ヨーロッパ育ちの入植者にとって食べ慣れないオーストラリアのブッシュフードは好まれなかったのです。

19世紀の植物学者 J.D. Hooker はタスマニアの植物について書いた自身の著書で「食べられはするが、食べるに適していない」と述べていますし、同じく植物学者 Joseph Maiden も「この大陸には果物くらいしか食べられそうなものはない」とコメントしています。

そしてまた、白人入植によって原住民の人たちの食生活も、ヨーロッパ式の食事を食べるようになったり人口密度が増え土地を追われたりした事で、かなりの影響を受けています。

 

Advertisement

80年代のブーム

そんなオーストラリア原産の食材が脚光を浴び始めたのは1970年代に入ってからでした。

植物学者によって書かれたブッシュフードに関する本が人気を博し、オーストラリア原産の食材は次々と商業化していきました。

80年代に入るとマカダミアナッツの小規模な商業用プランテーションが始まり、南オーストラリア州では初めて食用にカンガルー肉が販売されるようになるなど、ブッシュフードは健康的でグルメな食材として世間に認識されていきます。

テレビでは、アウトバックで生き残るサバイバルテレビシリーズやクッキングショーなどブッシュフードに関する人気番組が登場し、ブームに一躍買いました。

当時の人気大テレビシリーズ『Bush Tucker Man』を貼っておきますので、興味があって時間があれば観てみてください。(英語ですが。)

おわりに

食べてみたいブッシュフードはありましたか?

日本でもカンガルーの肉が食べられるレストランがあるらしいですね。機会があれば、ぜひトライして感想を聞かせてください〜。