オーストラリアで人気の伝統的なお菓子『ラミントン』

オーストラリアのお菓子と言えば甘いメレンゲのお菓子パブロバが有名ですが、ラミントン (Lamington) も忘れてはいけません!

四角いふわふわのスポンジケーキにチョコレートとココナッツがコーティングされているラミントンは、1世紀以上オーストラリアで食べられ続けている人気のお菓子です。

ラミントンって?

ラミントンはチョコレートがコーティングされた四角いスポンジケーキに乾燥ココナッツがたっぷりまぶされたお菓子です。たまにピンク色も見掛けますが、基本は普通のチョコレート。

中にストロベリージャムやクリームが入っているバージョンもあり、ニュージーランドではラズベリージャムを挟むのが人気のようです。

しかし、このお菓子がどうやって生まれたのかについては、はっきりとした資料が残っていません。

ラミントン誕生の謎

Charles Cochrane-Baillie, 2nd Baron LamingtonCharles Cochrane-Baillie, 2nd Baron Lamington, Governor of Queensland (1896-1901) by https://en.m.wikipedia.org/

ラミントンという名前は、イギリス出身で1896年から1901年までクイーンズランド植民地の総督を務めたラミントン卿 (Lord Lamington)、もしくはその妻にちなんで付けられたのだろうと考えられています。

ラミントン卿の本名はチャールズ・コクラン=ベイリー (Charles Cochrane-Baillie) ですが、父親の爵位であるラミントン男爵 (Baron Lamington) を受け継いだため、こう呼ばれていました。ラミントンは、スコットランドのラナーク州にある村です。

ただ、そのラミントンがどうやって生まれたのか?というのは、主に2つの説があります。

説 ① シェフのアーマンド・ガーランドが考案

ラミントン卿のシェフだったフランス人のアーマンド・ガーランド (Armand Galland) が、あり合わせの材料を使って作ったという説。

彼は、突然予期せぬ来客をもてなすために、前日に焼いていたフレンチバニラケーキの残りを四角く切り、チョコレートに浸し、ココナッツをまぶしだというのです。

ココナッツは当時のヨーロッパ料理ではほとんど使用されていなかったのですが、彼の奥さんがココナッツを日常的に使うタヒチ出身だった事から、彼にとっては身近な材料でした。

説 ② 偶然落として生まれた

もうひとつは、アーマンド・ガーランドかラミントン卿に仕えていた女中が誤ってスポンジケーキを溶けたチョコレートの上に落としてしまったという説です。

それを見たラミントン卿が、チョコレートで手が汚れるのを避けるために来客にココナッツを付けて食べるのを提案したとかしないとか。

いずれにしろ、このお菓子を食べた来客たちは「後でレシピを教えて欲しい」と大好評だったと言います。

この時ラミントンが振る舞われた場所も、ラミントン卿がブリスベンの蒸し暑さから逃れるために訪れたトゥーンバ (Toowoomba) 近くの Harlaxton House という説と、1901年にオーストラリアがイギリスから独立して連邦国に至る忙しい期間を過ごしたブリスベンの Queensland’s Government House という説があります。

ラミントンが広く食べられるようになったのは20世紀頃

ラミントンが一般的に広く知られるようになったのは、1900年にクイーンズランド州の Country Life という新聞に掲載されたレシピがきっかけでした。

そのレシピは急速に広まり、1901年にシドニーの新聞に、1902年にはニュージーランドの新聞にも掲載されています。

しかし、このレシピの作成者は誰だったのか?なぜラミントンという名前にしたのか?などは分かっていません。

いちばん最初のラミントンについての記述は、クイーンズランド州 Laidley で1896年に発行された新聞の「Lamington Function」という記事ですが、これはラミントン卿を祝うパーティで、食事にはラミントンティやラミントンスープなど全部ラミントンという名前が付いていたそう。なので、これが現在のようなラミントンを指していたのかは疑問です。

謎のニュージーランド発祥説

New Zealand

ラミントンはニュージーランドでも人気なのですが「本当はニュージーランド発祥だ!」という人もいるようです。

これは2014年に The Guardian に掲載されたエイプリルフールの嘘を信じてしまった人がいるからのようです。

そうなんですよ、こっちの新聞は大真面目にエイプリルフールの嘘が仕込まれているので、気を付けた方が良いですね 💦

まあ一方パブロバは、色々調べてみたらニュージーランド発祥もあり得るかもとは思いました。アンザックビスケットと言い、オーストラリアとニュージーランドは何かと似たような伝統的食べ物を共有する事も多いですね。

7月21日はラミントンの日

2006年からは、7月21日がナショナルラミントンデー (National Lamington Day) になりました。

この日はラミントンをたべる事が奨励されたり、ベーカリーのラミントンが無料で振る舞われたりする事もあります。また、“lamington drives” として知られる学校や慈善団体でラミントンが販売される活動も行われているようです。

そして、ラミントンの保存と宣伝に取り組んでいる Australian Lamington Appreciation Society (ALAS) が運営する『オーストラリアのラミントン公式ウェブサイト』も存在します。

このウェブサイトには、世界的に有名なオーストラリアの国民的アイコンであるラミントンという謳い文句がありますが、ラミントンってそんな立ち位置でしたっけ💦 ちょっと大げさな気も…。

でもその普及活動、私もささやかながら応援したいです。

世界のラミントンに似たお菓子

World Map

ところで、世界にはラミントンにそっくりなお菓子も色々あるようです。

南アフリカでは、小さなヤマアラシを意味する Ystervarkies というお菓子があって、これがラミントンにそっくり…というか、まんまラミントンに見えます。(でも丸いやつもあるようです) そしてこれ、アメリカではココナッツバーと呼ばれているのだとか。

気になる人はウェブサイト↓を開いてみてください。

それに、スロベニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、ハンガリー、ルーマニア辺りで食べられている Čupavci というお菓子もまんまラミントン…。

ウェブサイトではヨーロピアンバージョンのラミントンだと説明されています。

なんだ、オーストラリアだけじゃないんですね〜。まあ、確かにどこにでもありそうなレシピと言えばそうかもしれないです。

 

おわりに

とにかく、長い間オーストラリアの人たちに愛され続けているラミントン。最近では東京にインスピレーションを得たという『東京ラミントン』というものまで登場しています。

ベーカリーやスーパーマーケットなどで売っているので、ぜひ食べてみてください。(ベーカリーの方がおすすめです)

私自身も、色んなバージョンのラミントンレシピを作ってみたら面白いかなと思いました。