オーストラリアのお菓子と言えば甘いメレンゲのお菓子パブロバが有名ですが、ラミントン (Lamington) も忘れてはいけません!
四角いふわふわのスポンジケーキにチョコレートとココナッツがコーティングされているラミントンは、1世紀以上オーストラリアで食べられ続けている人気のお菓子です。
ラミントンって?
ラミントンはチョコレートがコーティングされた四角いスポンジケーキに乾燥ココナッツがたっぷりまぶされたお菓子です。たまにピンク色も見掛けますが、基本は普通のチョコレート。
中にストロベリージャムやクリームが入っているバージョンもあり、ニュージーランドではラズベリージャムを挟むのが人気のようです。
どこで食べれるの?
オーストラリアではベーカリーやスーパーマーケットに行けばたいがい売っています。
それに最近シドニーでは『東京ラミントン』というラミントン専門店も登場しました。こちらのお店は東京にも進出しているので、行ける人はぜひ。
ラミントンをお土産として日本に持って帰るのはちょっと難しいかもですが、ラミントン味のお菓子も時々発売されるので、それなら良いかもしれませんね。
ラミントン関連商品
そう言えば、2020年にセブンイレブン限定でラミントンのチップスが売られていてびっくりしたのは記憶に新しいです。味は「なぜこれ販売許可が降りたんだろう?」というくらい奇妙な組み合わせでしたが、ネタとしてはサイコーでした (笑)
大人気バイロンベイクッキーのラミントン味は、なかなかおいしかったです。
そして2021年はティムタムでも有名なアーノッツ社のお菓子 VOVO にラミントン味が登場。これはめちゃくちゃ甘いので注意です。
さて、そんなラミントンですが、どんな風にしてオーストラリアで生まれたのでしょうか。
次はちょっと過去に遡って見ていきましょう。
ラミントンはどうやって誕生した?
Charles Cochrane-Baillie, 2nd Baron Lamington, Governor of Queensland (1896-1901) by https://en.m.wikipedia.org/
ラミントンという名前は、イギリス出身で1896年から1901年までクイーンズランド植民地の総督を務めたラミントン卿 (Lord Lamington)、もしくはその妻にちなんで付けられたと考えられています。
ラミントン卿の本名はチャールズ・コクラン=ベイリー (Charles Cochrane-Baillie) ですが、父親の爵位であるラミントン男爵 (Baron Lamington) を受け継いだため、こう呼ばれていました。ラミントンは、スコットランドのラナーク州にある村の名前でもあります。
ですが、このお菓子がどうやって生まれた由来については資料が残っていないので定かではなく、考えられているのは2つの説です。
説その① シェフのアーマンド・ガーランドが考案した
最初の説として、ラミントン卿のシェフだったフランス人のアーマンド・ガーランド (Armand Galland) が、あり合わせの材料を使って作ったという話があります。
彼は、突然全く予期していなかった来客をもてなすように言われ、あり合わせで前日に焼いていたフレンチバニラケーキの残りを四角く切り、チョコレートに浸し、ココナッツをまぶしたのがラミントンの原型だったと。
ココナッツは当時のヨーロッパ料理ではほとんど使用されていなかったのですが、彼の奥さんの出身地タヒチではココナッツを日常的に使うので、彼にとっては身近な材料だったようです。
説その② 偶然落として生まれた
そしてもうひとつは、アーマンド・ガーランドかラミントン卿に仕えていた女中かが、誤ってスポンジケーキを溶けたチョコレートの上に落としてしまった説です。
チョコレートまみれのケーキを見たラミントン卿は、手が汚れるのを避けるために来客にココナッツを付けて食べる事を提案したのだとか。
さあ、どちらなんでしょうね?
いずれにしろ、このお菓子を食べた来客たちは「後でレシピを教えて欲しい」と大好評だったようです。
ラミントンが広く食べられるようになったのは20世紀頃
ラミントンが一般的に広く知られるようになったのは、1900年にクイーンズランド州の Country Life という新聞に掲載されたレシピがきっかけでした。
そのレシピは急速に広まり、1901年にシドニーの新聞に、1902年にはニュージーランドの新聞にも掲載されています。
しかし、このレシピの作成者は誰だったのか?なぜラミントンという名前にしたのか?などは分かっていません。
いちばん最初のラミントンについての記述は、クイーンズランド州 Laidley で1896年に発行された新聞の「Lamington Function」という記事ですが、これはラミントン卿を祝うパーティで、食事にはラミントンティやラミントンスープなど全部ラミントンという名前が付いていたそう。なので、これが現在のようなラミントンを指していたのかは疑問です。
ラミントンにまつわるあれこれ
ここからは、ラミントンにまつわるトリビア的な内容を話していきます。
ニュージーランド発祥説は嘘
ラミントンはニュージーランドでも人気なのですが「本当はニュージーランド発祥だ!」という人もいるようです。
これは2014年に The Guardian に掲載されたエイプリルフールの嘘を信じてしまった人がいるからのようです。
そうなんですよ、こっちの新聞は大真面目にエイプリルフールの嘘が仕込まれているので、気を付けた方が良いですね 💦
まあ一方パブロバは、色々調べてみたらニュージーランド発祥もあり得るかもとは思いました。アンザックビスケットと言い、オーストラリアとニュージーランドは何かと似たような伝統的食べ物を共有する事も多いですね。
7月21日はラミントンの日
2006年からは、7月21日がナショナルラミントンデー (National Lamington Day) になりました。
この日はラミントンをたべる事が奨励されたり、ベーカリーのラミントンが無料で振る舞われたりする事もあります。また、“lamington drives” として知られる学校や慈善団体でラミントンが販売される活動も行われているようです。
そして、ラミントンの保存と宣伝に取り組んでいる Australian Lamington Appreciation Society (ALAS) が運営する『オーストラリアのラミントン公式ウェブサイト』も存在します。
このウェブサイトには、世界的に有名なオーストラリアの国民的アイコンであるラミントンという謳い文句がありますが、ラミントンってそんな立ち位置でしたっけ💦 ちょっと大げさな気も…。
でも、オーストラリアでは時々ラミントン味のお菓子もちょこちょこ販売されるので、多くの人に愛されているのは間違いありません。
世界のラミントンに似たお菓子
ところで、世界にはラミントンにそっくりなお菓子も色々あるようです。
南アフリカでは、小さなヤマアラシを意味する Ystervarkies というお菓子があって、これがラミントンにそっくり…というか、まんまラミントンに見えます。(でも丸いやつもあるようです) そしてこれ、アメリカではココナッツバーと呼ばれているのだとか。
気になる人はウェブサイト↓を開いてみてください。
それに、スロベニア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、ハンガリー、ルーマニア辺りで食べられている Čupavci というお菓子もまんまラミントン…。
ウェブサイトではヨーロピアンバージョンのラミントンだと説明されています。
なんだ、オーストラリアだけじゃないんですね〜。まあ、確かにどこにでもありそうなレシピと言えばそうかもしれないです。
おわりに
とにかく、長い間オーストラリアの人たちに愛され続けているラミントン。最近では東京にインスピレーションを得たという『東京ラミントン』というものまで登場しています。
ベーカリーやスーパーマーケットなどで売っているので、ぜひ食べてみてください。(ベーカリーの方がおすすめです)
私自身も、色んなバージョンのラミントンレシピを作ってみたら面白いかなと思いました。